AIを使って成果を再現できる組織になるには?|第33回DX担当者勉強会レポート
コムデックが4か月に一度、お客様向けに開催している「DX担当者勉強会」。
「DX担当者勉強会」は、人時生産性の向上や新規市場の開拓、新商品やサービスの開発、お客様のファン化、従業員の満足度向上、賃上げなどに取り組みたいと考える企業様が、それらを実現しながら「良い会社作り」を目指すための考え方や具体的な手法をお伝えするものです。
第33回となる今回のテーマは「AIを使って成果を再現できる組織になる」。
個人の業務効率化に留まらず、組織全体でAIを活用し、成果につなげるための考え方や実践方法について解説しました。
目次
AI活用は「個人」から「組織」へ
AIが身近になり、業務で活用して成果をあげる人が増えています。
これまでのIT活用やAI活用は、個人ができることを拡張したり、効率化したりすることが中心でした。
チャットツールは管理職や経営者と社員の意思疎通を円滑にし、クラウド会計ツールは集計やミス削減などをサポート。
生成AIは、文章やコンテンツ作成などを助けてきました。
「個人でのAI活用」は、人の作業時間を短縮し、一人ひとりの生産性を高めてくれています。
AIは更なる進化を続けており、エージェント機能の搭載に加え、AI-OCRによる自動データ化やバイブコーディング(Vibe Coding)なども可能になっています。
今後も、個人で活用できる領域は広がり続けていくでしょう。
一方で、AIの価値は個人の業務効率化だけに留まりません。
従来のAI活用からさらに一歩踏み込み、組織全体でAIを活用して、「AIを使って成果を再現できる組織」になっていくことが重要だとコムデックは考えています。
成果を再現する鍵は「組織知」
「AIを使って成果を再現できる組織」とは、単にAIをうまく使える組織ではなく、「組織知」を持つ組織だとコムデックは考えています。
「組織知」とは、個人が持つ知識やノウハウなどを組織全体で共有・蓄積し、組織の資産として活用できる状態にしたものです。
そこには、業務の進め方や判断基準、社内ルール、企業文化などが含まれます。
この「組織知」は「人的資本」と「AI資本」によって構成されています。
「人的資本」「AI資本」とは
「人的資本」とは、社員一人ひとりが持つ知識や判断力、人間関係を構築する力、発想力、パターンを見抜く力などを指します。
日々の業務を通じて培われる「感覚知」や「暗黙知」もその一つです。
これまでの組織では、こうした「人的資本」は個人の中に蓄積され、優秀な人材が自身の経験や知見を活かして成果を生み出すことが一般的でした。
「AI資本」とは、社内のワークフローや独自データ、AIロジック、アウトプットに対する評価の蓄積など、会社として構築・蓄積していくAI活用の仕組みのことです。
例えば、社内に蓄積された情報をAIが分析したり、AIが複数の情報源から必要な情報を収集・整理したりする仕組みも、「AI資本」です。
「AI資本」は企業ごとのデータや業務プロセス、ノウハウによって形成されるため、その内容は企業ごとに異なります。
「組織知」はどのようにつくられるのか
「人的資本」と「AI資本」がうまく組み合わさることで、企業独自の「組織知」が形成されていきます。
具体的なステップを見ていきましょう。
はじめに、「人的資本」をAIが活用できる形で整理・蓄積します。
ここには、顧客データなどの一次情報も含まれます。
すると、AIは「人的資本」の内容をもとに、アウトプット(回答や提案など)を生成できるようになります。
ここまでの流れは、すでに実践している企業もあるでしょう。
ポイントになるのはここからです。
AIからのアウトプットに対して、「なぜ良いのか」「なぜダメなのか」という理由や判断基準を添えて人がフィードバックをおこないます。
このフィードバックを重ねることで、AIは企業独自の考え方や判断基準、価値観をより深く理解し、次のアウトプットではそれを反映した回答や提案ができるようになります。
このループを、個人とAIの間だけで終わらせるのではなく、組織全体とAIでおこなうことが重要です。
知識やフィードバックが蓄積される量も速度も高まり、企業独自の「組織知」が形成されていきます。
”AI資本”を形成するための4ステップ
では、「組織知」の形成に欠かせない独自の「AI資本」をどのように作っていけばよいのでしょうか。
そのプロセスは、大きく4つのステップに分けられます。
- ステップ①:AIが学習するためのデータベースを作る(一次情報、一次解釈の蓄積)
- ステップ②:AIがデータベースからアウトプットを生成
- ステップ③:②のアウトプットに対して、人の意見・判断・成果をフィードバック
- ステップ④:AIがフィードバック内容を学び、次のアウトプットに活かす
ここで見直していただきたいのが、管理されている情報の種類です。
一次情報(打ち合わせ履歴や契約内容、CRMなど)はしっかり管理されていることが多いでしょう。
そこに加えて、一次解釈として、担当者の感じたことや成功・失敗などの要因、振り返りなどを登録できるようになっているかがポイントです。
もし不足している場合は、入力項目を見直し、ぜひ記録・蓄積していってください。
一次情報に加え、一次解釈が蓄積されることで、AIはより皆さんの会社らしい、適切なアウトプットを生成できるようになります。
このように、AIと現場で働くスタッフの「人的資本」の組み合わせによって、会社独自の「組織知」が形成されていくわけです。
ここからは、コムデックがお客様への付加価値向上を目指して取り組んでいる「組織知」の形成について、具体例を交えながらご紹介します。
実例1 営業会議
例えば、営業会議にAIを活用する場合、以下の4ステップで進めると効果的です。
| 区分 | 内容 |
| ステップ① データベース作成 |
問い合わせ、商談内容、日々の対応記録、クレーム対応、リードタイム、受注結果をkintoneに記録 |
| ステップ② アウトプット生成 |
様々な営業活動記録から、現在の課題や改善案を作成 |
| ステップ③ フィードバックの実施 |
営業部長が本当にやるべきことを選択し、判断の理由をフィードバック |
| ステップ④ 次のアウトプットに活かす |
より自社の方針/考え方に適した、営業活動施策と改善案を提案 |
コムデックではこれら一連の流れを、業務データを蓄積しているkintoneのアプリ内で実現しています。
アプリ内のボタンをワンクリックすると、データベースをもとに、AIが営業活動の現状分析や今後の見通し、具体的な施策案や実施した際の見込み値などを自動で生成。
その内容を営業部長が確認し、判断理由や改善点をフィードバックすることで、AIのアウトプットをよりコムデックの方針や考え方に沿った内容へと高めていく仕組みです。
営業会議を例にご紹介しましたが、この仕組みは営業に限ったものではありません。
さまざまな会議の資料作成をAIが担い、それをもとに施策を検討、意思決定するなど、幅広い場面で活用できます。
実例2 お客様への提案活動
既存のお客様への追加提案を考えるなら、次の4ステップでAIを活用することができます。
| 区分 | 内容 |
| ステップ① データベース |
お客様からのご要望、自社が提供できる商品、コミュニケーション履歴(MTG,電話,チャット)をkintoneに記録 |
| ステップ② アウトプット生成 |
お客様への提案内容を作成 |
| ステップ③ フィードバックの実施 |
お客様の現状や今後の方針を共有している担当が喜んでいただける提案かどうかを判断しその結果をフィードバックする |
| ステップ④ 次のアウトプットに活かす |
①に加え、③のフィードバックをもとにさらに良い提案を作成 |
この取り組みで特に重視しているのが、お客様とのコミュニケーション履歴です。
打ち合わせや電話、チャットなどのやり取りをkintoneと連携して自動的に記録し、お客様の情報として蓄積しています。
kintoneアプリ内のボタンをクリックすると、蓄積されたデータをもとに、AIがお客様のありたい姿やコムデックのサービスを利用する目的、KGI・KPI、各担当者がやるべきこと、提案内容などを出力。
提案内容に加え、その根拠や関連する事例(コムデックラボに掲載した事例記事)も合わせて提示されます。
担当者の役割は、そのアウトプットを確認し、お客様の現状や繁忙期といった個別の事情も踏まえながら、本当に喜んでいただける提案かどうか判断することです。
内容やタイミングが適切と判断したものは、実際にお客様への提案に活かします。
そして、担当者の判断理由や優先順位付けをAIへフィードバックすることで、次回以降はよりコムデックの考え方が反映され、なおかつお客様に寄り添った提案を行えるようになります。
AI活用の第一歩は、一次情報・一次解釈の蓄積
ここまで、「組織知」やそれを構成する「人的資本」「AI資本」の考え方、形成の流れを解説してきました。
では、実際に何から取り組めばよいのでしょうか。
最初に注力すべきは、お客様に関する一次情報と一次解釈の蓄積であるとコムデックは考えています。
はじめに、お客様との接点がどこにあるのかを洗い出します。
電話や商品の納品時、対面でのサービス中など、お客様との接点は企業や業態によりさまざまです。
次に、それぞれの接点で得られる情報が、どこに記録・管理されているかを確認します。
kintoneに蓄積されているのか、他のツールで管理されているのか、それとも担当者の頭の中にあるだけなのか。
現状を確認、整理し、それらをどのように蓄積していくかを検討しましょう。
この時、手作業に頼るのではなく、システム連携やAIエージェント機能などを活用し、できるだけ自動的に情報を蓄積できる仕組みにすること、そして、蓄積された情報に対する人の一次解釈を添えられる仕組みにすることが重要です。
「AIを使って成果を再現できる組織」を実現するためには、この土台づくりが欠かせません。
AI活用で気をつけたいセキュリティと運用のポイント
組織でのAI活用を進めるにあたって、押さえておきたいポイントがあります。気になる方も多いであろう、セキュリティへの配慮です。
「人的資本」をAIで活用できる状態にするためには、一次情報や一次解釈を入力します。
顧客情報など機密性の高い情報を扱う機会も増えるため、AIツールは有償プランでの契約を強く推奨します。
さらに、学習機能をOFFに設定するなど、情報が意図せず利用されない環境を整えておきましょう。
また、AIには個人ライセンスと企業ライセンス(チームプラン)があります。
「組織知」を形成してくのであれば、企業全体・チームで利用できるプランの選択がおすすめです。
個人のアカウントに依存せず、チームの共有資産を形成でき、担当者の異動や退職があった場合でも、これまで蓄積してきたデータやノウハウを継続して活用できます。
さらに、AIのプロジェクト機能(Claude Cowork/ChatGPT Workなど)も積極的に活用しましょう。
「営業会議」「お客様への提案」など、テーマごとにプロジェクトを分けて運用することで、余分な情報を入れずに「組織知」を形成していくことができます。
AIで成果を再現できる組織になるために
AIの進化によって、AI活用の可能性は個人の業務効率化から、組織全体で活用する段階へと進んでいます。
その実現の鍵となるのが、「組織知」です。
「人的資本」と「AI資本」を組み合わせ、相互に学習し続けることで、企業独自の「組織知」が形成されていき、これまで優秀な人だけが生み出していた成果を組織全体で再現できるようになります。
社歴の長いベテラン社員は、業務の進め方や判断基準、社内ルールなど、日々の経験を通じて培った「感覚知」や「暗黙知」を持っています。
しかし、こうした知識やノウハウを新入社員へ伝え、理解・定着させることは容易ではありません。
ある大手総合重機メーカーでは、熟練社員が持つ暗黙知をAIがインタビュー形式で引き出し、要約・整理してノウハウとしてデータベース化。
そのデータをもとに、AIが新入社員や若手社員からの質問に回答することで、知識の共有と伝承を実現する仕組みが実用化されているそうです。
先輩の背中を見て学ぶOJTももちろん重要ですが、属人化しがちな知識や経験を組織全体のものとして共有・活用できる環境を作り、会社の資産として形成していくことが重要な時代になってきています。
AIを個人で使う時代から、組織で活用する時代へ。
コムデックとともに、「AIを使って成果を再現できる組織」の実現を目指して、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。

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