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kintoneで回収実績をデータ化して自治体とのシームレスな情報共有を実現|資源ごみ回収事業 一般社団法人伊勢資源回収事業協同組合さまのアプリ開発事例

kintoneで自治体と連携!ごみ回収記録をデータ化

自治体の公共事業のうち、建設業や施設管理業、清掃業などの多くは、民間の請負業者と連携して運営されています。

例えば「施設が壊れている」「ごみが放置されている」などの問題が起きた場合は、市民が自治体に連絡を入れ、自治体から請負業者に作業を依頼するという流れです。
市民からの要望や問い合わせは自治体に届きますが、実際に作業をするのは請負業者であるため、両者間の連絡や情報共有がスムーズにいかず苦労している関係者の方も多いのではないでしょうか。

自治体から請負業者へ電話で確認し、報告書は紙で作成する、といったようにアナログで対応している自治体や請負業者が多いのが現状ですが、情報共有にkintoneを活用することで大幅な効率化を実現できます。

そこで今回は、kintoneを使って自治体と請負業者の円滑な情報連携を実現した、一般社団法人伊勢資源回収事業協同組合さまの事例を紹介します。
問い合わせ対応を効率化したい企業さまや、自治体を巻き込んで業務効率化を実現したいとお考えの方は、ぜひご覧ください!

問い合わせ対応はムダなやりとりが多い…回収実績をデータで管理して情報共有をスムーズにしたい!

一般社団法人伊勢資源回収事業協同組合さまは、伊勢市の資源ごみ回収事業を請け負う6つの清掃業者からなる協同組合です。
伊勢市内をパッカー車やパワーゲート車(いわゆる「ごみ収集車」)で回って、資源ごみを回収し、清掃工場に運んでいます。

自治体には日々、市民から「次の資源ごみ回収日を教えてほしい」「資源ごみ回収場所が汚れている」などの問い合わせが入ります。

自治体の職員からは現場の状況はわからないため、「自治体の職員が回収業者に電話で確認→電話を受けた請負業者がドライバーに連絡→ドライバーが回答→請負業者から自治体に回答→その後自治体から市民に回答する」という対応が必要となります。
しかし、この方法は1件の問い合わせに対して多くの人が連絡を取り合う伝言ゲームのような状態で、時間と手間がかかっていました。

また、資源ごみ回収は自治体の委託事業なので、回収業者は定期的に事業報告をしなければなりません
一般社団法人伊勢資源回収事業協同組合さまでは、日々の回収量を手書きで記録されており、月ごとに手計算で集計した報告書を紙で自治体に提出しているため、報告書の作成に時間がかかるという状況でした。

そこで一般社団法人伊勢資源回収事業協同組合さまでは、問い合わせ対応や報告業務の効率化を図るため、回収実績をデータで管理して紙の資料作成をなくしつつ、自治体と回収業者でスムーズに情報共有できるようにしたいと考えました。

回収実績はkintoneアプリを活用して写真付きデータで記録

問い合わせ対応に手間がかかるのも、報告書の提出が大変なのも、そもそも情報をデータで共有できていないことが原因です。
もし回収場所や日時、状況がリアルタイムで確認できるツールがあれば、わざわざ作業の手を止めて電話でやりとりをしなくても済みます。

そこで一般社団法人伊勢資源回収事業協同組合さまは、ネット環境があればどこでも使えるkintone(キントーン)を活用し、回収データや作業前・作業後の写真をクラウドで管理することにしました。
kintoneなら、回収履歴を写真付きで記録でき、いつでもどこでも最新情報を確認できます。

kintoneにログインした状態のタブレットとQRコードを活用し、以下のような流れで回収状況を記録していくことにしました。

  1. パッカー車やパワーゲート車が資源ごみ回収場所に到着したら、タブレットで該当場所のQRコードを読み込む
  2. 「回収実績登録アプリ」が開くので、回収前・回収後の写真を撮影して登録する
  3. 「回収実績確認用アプリ」を開くと、登録した情報を一覧表で確認できる

上記の仕組みを実現するため、一般社団法人伊勢資源回収事業協同組合さまでは以下の4つのアプリを作成しています。

回収場所マスタアプリ

まずは、資源ごみ収集ルートをマスタ化し、「この回収ルートの時にはどの場所に行くか」を登録します。
この情報をもとに、実績を登録するためのQRコードを作成します。

コムデック kintone 自治体 事例

回収場所マスタQR作成用アプリ

回収場所マスタQR作成用アプリで、「回収場所マスタアプリ」の情報を「回収実績登録アプリ」に登録するためのQRコードを作成します。

コムデック kintone 自治体 事例

作成されたQRコードはプリントクリエイターを活用することで一覧で印刷できるため、これをタブレットで読み取ることで実績を登録します。

コムデック kintone 自治体 事例

プリントクリエイターは、kintoneのデータをワンクリックで帳票に出力できるサービスです。
請求書や契約書はもちろんのこと、後述する自治体指定のフォーマットに合わせた帳票も作成できます。
出力用紙も、ハガキや宛名ラベルなどさまざまなサイズに対応しているのがメリットです。

回収実績登録アプリ

印刷したQRコードを読み取って、回収の日時、場所、回収前・回収後の写真を記録します。
ここに写真を登録しておくことで、ドライバーに確認しなくても現場の状況を把握できるようになります。

コムデック kintone 自治体 事例

回収実績確認用アプリ

回収場所ごとに登録された実績を、日別の一覧で確認するためのアプリが回収実績確認用アプリです。
日付とルート情報を条件に、関連レコードで「回収実績登録アプリ」に登録された情報を写真付きで一覧表示します。

このアプリを見れば、「このルートの今日の回収状況」が一目でわかるようになっています。

コムデック kintone 自治体 事例

これで、パソコン操作が苦手な人でも、タブレットで写真撮影するだけで、簡単に回収記録を登録できる仕組みが完成しました。

集計作業と自治体への報告書作成はkintoneアプリで自動化

次に、手計算が大変だった報告資料用の集計作業もkintoneで自動化していきます。
集計作業については、次のように業務を設計しました。

  1. 回収した資源ごみを清掃工場で降ろすときにQRコードを読み込む
  2. 該当する回収区分(「紙・布」や「プラスチック」など)と回収量を登録する
  3. krewDataで月別の数値を自動集計する
  4. 集計結果をプリントクリエイターで出力し、市に提出する

krewData(クルーデータ)は、複数のkintoneアプリ間のデータを集計できるプラグインです。
今回は、報告書の作成に必要なごみ回収データを自動集計するために活用しています。

集計作業を自動化するために、kintoneでは次の3つのアプリを用意しました。

回収量入力マスタ

回収区分と車両を登録しておくアプリです。

コムデック kintone 自治体 事例

回収場所マスタQR作成用アプリと同じように、アクションボタンで「回収量入力アプリ」にレコード追加するためのQRコードを作成します。

コムデック kintone 自治体 事例

回収量入力アプリ

「紙・布」や「プラスチック」などの回収区分ごとに回収量を記録します。

コムデック kintone 自治体 事例

報告資料集計アプリ

「回収量入力アプリ」のデータを元に、krewDataで区分ごとの回収量を集計します。
集計結果が自動登録されるアプリが報告資料集計アプリです。

コムデック kintone 自治体 事例

集計結果をプリントクリエイターで市の書式に合わせて出力することで、報告書が作成できます!

コムデック kintone 自治体 事例

これらのアプリ開発により、日々の回収データを登録するだけで、報告書作成に必要なデータが自動集計されるようになりました。
プリントクリエイターのおかげで、自治体への報告書も印刷するだけで完成します。

業務管理と集計・報告書作成をkintone化するメリットとは

一般社団法人伊勢資源回収事業協同組合さまでは、業務管理と集計・報告書作成をkintone化したことで、次のようなメリットがありました。

  • 資源ごみ回収前・回収後のデータを写真で残せるようになった
  • 手計算していた集計作業が自動化され、作業時間がゼロになった

今後は、回収業者だけでなく自治体の担当者にもアカウントを付与することで、問い合わせ対応に必要な情報を確認してもらえるようになる予定です。

今まで行っていなかった回収前・回収後の写真撮影を開始したことにより現場での作業は増えましたが、その分これまで何度もやりとりが必要だった問い合わせ対応の手間は削減できるため、業務量をトータルで見るとメリットが大きいと考えています。

しかし、kintoneをタブレットで操作する際の画面の見やすさや、操作性については一部課題が残ります。
この点については今後、Unifinity(ユニフィニティー)というサービスを使って改善する予定です。

kintoneを使えば自治体への情報連携や報告書作成もラクラク!

自治体の公共事業は、委託業者と連携して運営されていることが多いため、どうしても問い合わせ対応には時間がかかりがちです。
しかし、kintoneで情報をデータ管理することで対応がスムーズになり、市民の満足度向上にも期待できます。

一般社団法人伊勢資源回収事業協同組合さまでは、kintoneで資源ごみの回収実績をデータ管理することで、スムーズな情報共有と集計作業の効率化を実現されました。
伊勢市との連携がうまくいけば、今回の事例をモデルにして、他の自治体でも導入していきたいと考えていらっしゃいます。

自治体でkintoneを活用する事例も増えてきておりますので、「kintoneを使ってみたいけれど、どんなところに使えるのかわからない」「この業務をkintone化して効率化したい!」という企業様・自治体様はお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

西道 涼

『クラウドサービスの先導者』

日本人の心のふるさとである”三重県伊勢市”を拠点に、中小企業のDX化を支援しています。 主に中小企業のクラウドサービスの提案から導入支援まで、一貫してサポートさせていただいております。 たくさんのクラウドサービスが普及する中、どのクラウドサービスが自社に合っているのか…お悩みではありませんか? 是非一度御社の理想をお聞かせください。ぴったりのクラウドサービスをご提案させていただきます!

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