kintoneの過去の見積をコピーして見積書作成を効率化!利用プラグインとアプリの仕組みを解説

見積書の作成を効率化するために、複数の過去データから必要な情報をコピーしたり、過去の見積書をコピーして編集したりすることも多いでしょう。
しかし、kintoneの標準機能だとレコード単位での複製しかできないため、過去に似た見積書を作成していても、新たに手打ちで見積書を作成することになりがちです。
そんな時は、無料のプラグインを組み合わせることで、過去データの任意の部分を使った見積作成が可能になります。
今回は、kintoneの無料プラグインを使い、過去の見積明細をコピーして新たな見積書に反映することで見積書の作成を効率化した事例と、そんな見積管理アプリの作り方をご紹介します。
「kintoneにおける見積書の作成を効率化したい」「過去データをコピーして見積書を作成したい」という企業さまは、是非ご覧ください。
目次
kintoneの見積書作成が非効率的……あのときのお客さまの見積明細をここに持ってきたい!
見積書の作成で、たとえば見積書Aの明細テーブルだけを見積書Bへコピーして編集できれば、作業は大幅に効率化できます。
しかし、kintone(キントーン)の標準機能ではレコードを丸ごと複製することはできても、部分的なコピーはできません。
そのため、見積書Aを複製して、顧客名や単価、数量などを手作業で修正し、新たな見積書を作成するという運用になりがちです。
場合によっては、新規に見積書Bを作成し、既存データを見ながら手打ちで転記したほうが早いこともあるでしょう。
これらの方法だと、手作業による誤記や入力漏れといったヒューマンエラーの発生リスクが高まります。
そこで今回は、kintoneの無料のプラグインを組み合わせることで、過去の見積明細から使いたいデータのみを新しい見積書に反映する仕組みを構築しました。
この仕組みを活用すると「あのときのお客さまの見積明細をここに持ってきたい!」というニーズを満たすことが可能です。
3つの無料プラグインを組み合わせてkintoneにおける見積書作成の効率化に成功!
今回は3つの無料プラグインを組み合わせて、過去の明細データを再利用して見積書を作成できるkintoneアプリを構築しました。
これにより、制約が多い標準ではできない、柔軟な運用が可能になります。
ここでは、今回利用した3つの無料プラグインの特徴を解説します。
テーブルデータコピープラグイン
TISが提供するテーブルデータコピープラグインは、テーブル化したデータをレコードに変換して、他アプリへコピーできるプラグインです。
kintoneアプリではテーブルを多用しますが、標準機能ではテーブルの中身を個別のデータとして扱えないため、「テーブル内の情報を、別アプリ等からコピーしてくる」「テーブル内の一行だけをコピーしたい」といったことができません。
見積書はその性質上テーブルを使わざるを得ないため、これはかなり致命的と言えます。
そこで活躍するのが、テーブルデータコピープラグインです。
テーブルデータコピープラグインを使うと、テーブルの1行ごとがバラバラのレコードに変換されたうえでコピーされます。
コピーされたデータは通常のレコードと同じように検索・集計が可能です。
ルックアップレコードコピープラグイン
TISが提供するルックアップレコードコピープラグインは、他アプリのレコードをテーブルにコピーしたり、ルックアップフィールドのレコードを複数選択したりなどを実現するプラグインです。
kintoneのルックアップ機能は、たとえば顧客IDをキーにして、そのレコードの登録されている顧客名や電話番号、住所などを指定した他アプリの対応フィールドへ自動入力する機能です。
ただし、取り込めるのは 1レコードのみなので、テーブル形式のデータや、複数レコードをまとめて参照することはできません。
この「複数のレコード情報を参照する」ことを可能にするのがルックアップレコードコピープラグインです。
ルックアップレコードコピープラグインを使えば、テーブルデータコピープラグインで1行ずつをレコードにバラした過去の明細データを複数選択して他アプリに一括コピーでき、見積書を効率よく作成できます。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
▼kintoneのルックアップ機能設定方法、よくあるご要望を徹底解説!
関連付けないルックアッププラグイン
Ribbit’s worksが提供する関連付けないルックアッププラグインは、kintoneのルックアップ機能の便利さはそのままに、設定したキー項目にデータが縛られるという制約を取り払うプラグインです。
ルックアップ機能では、設定したキーを入力しない限りデータを検索・取得できません。
そのため、関連データを転記するには、コピー先のアプリにも同じキーを入力する必要があります。
顧客IDをキーに設定したのなら、顧客管理アプリを開いて顧客IDをコピーし、コピー先のアプリに貼り付けるという手間が発生します。
このような標準のルックアップ機能の使いにくさを取り払うのが、関連付けないルックアッププラグインです。
関連付けないルックアッププラグインを利用すると、レコードの作成画面にルックアップフィールドと同じ「取得」「クリア」ボタンが追加されます。
顧客名のように覚えやすい項目を入力して「取得」をクリックすれば、ルックアップ先から該当データを取得して、対応フィールドに関連データを反映できます。
このとき、フィールド値だけではなく、レコードや他のフィールドも含めてデータを参照するのが特徴です。
また、標準機能ではできない1文字検索にも対応しており、対象レコードを素早く見つけられます。
無料プラグインを組み合わせて見積書作成を効率化する仕組み
今回は、無料のプラグインを有効活用して、商品の見積書を作成するアプリを構築しました。
このアプリでは、商品リストアプリから型番や商品名、単価などをコピーして見積書を作成できます。
過去の明細データを一覧で表示させる
見積書の新規作成画面上で「【明細ルックアップ】からレコードをコピー」というボタンを押すと、過去の見積書の明細データを一覧表示させ、その中から複数を選択することが可能です。
この設定はルックアップレコードコピープラグインを活用しており、以下のように設定を行っています。
この時、コピー元アプリ指定フィールドと選択レコード表示フィールドについては、見えないところに格納しておくのがポイントです。
明細データの一覧からは複数の明細を選べる仕組みで、ユーザーが選択した明細データは新しい見積書に反映されます。
たとえば、過去明細の「A商品」「B商品」「セットA」のデータをまとめて選択すると、新規見積書にあらためて商品名や単価を入力する必要はありません。
必要に応じて数量を調整すれば、明細データの完成です。
過去の明細データをキーワード検索で絞り込む
過去の明細データが一覧表示されても、データが増えると探すのが大変になります。
そこで、関連付けないルックアッププラグインの機能を活用して「【明細ルックアップ】」という項目を設けました。
これにより、たとえば「顧客A」というキーワードを入力したとき、「顧客A」の明細データのみに絞って表示させることが可能です。
【明細ルックアップ】の「取得」を選択すると、過去の明細データが一覧表示されます。
その後、画面上部の検索窓に欲しい情報を引き出すキーワードを入力し、「【明細ルックアップ】からレコードをコピー」のボタンをクリックすれば、キーワードに関連する明細データのみが表示される仕組みです。
このプラグインの設定を行うためには、まず以下の文字列・数値の項目を設置します。
次に、プラグイン側で以下の二つの設定を行いましょう。
①自アプリルックアップの設定
②転記元レコード番号を取得
これにより、対象の見積もりを絞り込んだうえで明細を選べるようになりました。
過去の明細データを蓄積・展開する
この見積書アプリの大きな特徴は、過去の明細データを展開して、その後の見積作成に活用できるという点です。
これを実現するためにテーブルデータコピープラグインを活用し、新規見積書の作成後に「見積書明細へコピー」をクリックすると、コピーした明細を1レコードずつ記録するアプリに飛ばす仕組みを作りました。
この仕組みがあるからこそ、ルックアップレコードコピープラグインと関連付けないルックアッププラグインの機能を十分に活かして、柔軟な情報検索と過去明細の参照・コピーを実現できます。
プラグインの設定は以下の通りです。
kintoneの無料プラグインを組み合わせた見積書作成のメリット
kintoneの無料プラグインを組み合わせて見積書を作成するアプリを構築すると、手打ちやコピペなどの手作業がなくなり、スピーディーに見積書を作成できるようになりました。
今回使っているのは全て無料のプラグインなので、コストをかけずに運用することが可能です。
今回は見積書の作成に活用しましたが、同じ仕組みを顧客や案件管理など転記が必要な作業に応用できます。
無料プラグインを活用してkintoneの見積書作成を効率化しよう!
無料のプラグインを組み合わせれば、kintoneのルックアップ機能の不便さを解消して、柔軟なデータの参照および他アプリへのコピー・反映が可能です。
コストをかけずに仕組みを構築できるほか、手作業の削減によるヒューマンエラー発生リスクの低減など、さまざまなメリットを得ながら見積書の作成を効率化できます。
コムデックでは、お客さまのニーズに合わせてその場でアプリを構築する「kintone対面開発」を提供しています。
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