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kintoneを社内に浸透させたい!方針発表会を開催、kintoneの使い方を解説|製造業 上村工作所様のkintone活用事例

kintoneの使い方を解説!方針発表会を開催

コムデックが中小企業のIT活用を支援していく中で、「社長やIT担当者主導でkintoneやクラウドサービスの導入を進めてきたものの、いまいち社内に浸透していかない」、という声をよく伺います。
kintoneについては、「せっかくアプリを作ったのに使ってもらえない!」という経験をした方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回ご紹介するのは、社内へのIT浸透を目指し、従業員さんに向けて改めてkintoneを活用する目的や使い方を伝える「方針発表会」を開催したことで社内全体の意識向上を実現した製造業の企業さまの事例です。
kintoneというひとつのツールに留まらず、会社全体の状況や今後の方針を従業員さんに伝えられる良い機会となりました。

ITツールやクラウドサービスを導入したけれどなかなか浸透していかない、という課題をお持ちの方はぜひご覧ください。

kintoneを導入して丸2年…生産性向上には今一歩

三重県伊勢市に工場を構える有限会社上村工作所さまは、モーター電子機器の巻線加工事業を手掛けられて半世紀以上の歴史を持つ製造業の企業さまです。
熟練の職人さんがひとつずつ手作業で加工されることが特徴で、多品種少量生産にも対応されています。

有限会社上村工作所さまでは近年、先代社長から会社を引き継いだ上村社長が主体となり、kintone(キントーン)をはじめとするクラウドサービスの導入とそれを活用した業務改革を進めてこられました。
これまでに取り組んだのは、エクセルで管理していた製品の工程表をkintoneへ置き換えて工程管理をデジタル化したり、不良やミスをデータベース化して手戻り削減を目指したり、といった取り組みです。

業務の柱となる作業工程納期管理をkintoneへ移行し、手間やミスを減らしたアプリの対面開発事例はこちらをご覧ください。
▼kintoneで製造業の工程管理アプリを作る!対面開発で脱紙・脱エクセル!

製造業の手戻りをデータベース化!現場でのミスやロス削減を目指したkintone活用事例は以下の記事でご紹介しています。
▼【製造業のkintone活用事例】不良・ミスのデータベース構築で手戻り削減へ

kintone以外にもLINE WORKS(ラインワークス)Dropbox(ドロップボックス)等を導入し、生産性向上を目指してきた有限会社上村工作所さまですが、社内全体にデジタル化やkintone活用が浸透しているか、というと、決してそうとは言い切れない状況でした。
kintoneを積極的に利用しているのは社長だけで、従業員さんに使ってもらえているのはほんの一部だけだったのです。

従業員さんたちに使い方を覚えてもらってITをもっと業務に活用し、生産性向上まで繋げていきたいと考え、そのための打開策を模索していらっしゃいました。

まずは社長と作戦会議!これまでの取り組みと現状を振り返り

導入済のkintoneをはじめとするITの活用を社内全体に浸透させることにより、会社全体がひとつのチームとして仕事を進めていける意識・体制を形作ることで生産性向上につなげたいと考えていた有限会社上村工作所さま。
どうやったらこの目標を実現できるかを考える前に、コムデックでは改めて上村社長に「現状」と「社長が考える理想の状態」をヒアリングしました。

kintoneアプリの利用状況はもちろんのこと、会社としての今後のビジョンや現在の課題などについてもじっくりと伺うことで、理想と現実にどれだけのギャップがあるかそのギャップをどう埋めていけばいいのかを検討することができます。

洗い出された状況と課題、そして目指す姿をまとめると、以下の通りです。

現状:取引先以外からも問い合わせがあるが、生産能力都合で現在受け入れが難しい状態
目指す姿:生産性をアップし、受注できる体制を構築したい現状:2021年にkintoneを導入してから、1年目は特に変化や効果を実感したが、2年目は「社長一人で行っていること」のkintone化が多く、その後社内全体への浸透が進んでいかない
目指す姿:社内全体へのIT浸透・活用を進め、物理的に離れていても社内がチームとして業務に取り組める体制にしたい現状:新規で採用する方がすぐに離職してしまうことがある
目指す姿:定着する人材を採用したい、定着しやすいチームづくり・会社づくりをしたい

コムデック 上村工作所 kintone 方針発表会

目指す姿に向けて、「どうやったら実現できるか」を検討

上村社長が掲げる2023年の目標は、「会社にkintoneをはじめとしたIT活用を浸透させること」。そして、「ITをチーム形成や意識向上、業務効率化に活かしていくこと」

その目標に向けて、現状の課題に対して具体的にどういったことを実施していくかを検討していきました。

スペース機能を活用して社内にkintoneやITを浸透させ、チーム意識を高める

社内へのkintone浸透を目指すため、有限会社上村工作所さまではkintoneのスペース機能を活用することにしました。
スペースはチーム単位でのコミュニケーションに利用でき、話題が複数ある場合はスレッド化もできる便利な機能です。

これを活用して「朝礼・昼礼」「上村工作所ルールスペース」「一日の業務の流れ」というスペースを作成。
kintoneに最新の情報や業務・会社の基本となる情報がそろっている状態にし、従業員さんが「仕事に関することはkintoneをチェックする」ことが日常になるような状態を目指しました。

kintoneのスペース活用についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneのスペース機能とは?作成手順・活用方法を紹介

これまであいまいだった社内ルールを明文化する

これまでに導入したkintoneもLINE WORKSも、「使いたい人が使う」「使える人が使う」というようなグレーの部分がありました。
これを改めて社内でルール化し、情報共有や管理に使うツールを固定することに。

ITツール活用以外の面でも、例えば喫煙休憩のルールなど、「昔からの慣習で続いているが曖昧」な部分を明文化し、社内の不平等を無くしていきたいという思いがありました。

そこで、ルールを明らかにすることに加えて、そのルールをkintoneのスペースに記載し、「誰でもいつでもルールを参照できる」状態を実現できるようにしました。

コムデック 上村工作所 kintone 方針発表会

給与の査定基準作りや採用時のミスマッチを減らす取り組み

給与体系や昇給の基準を整えることは、従業員さんたちのモチベーションを上げることはもちろん、採用時の待遇のブレ防止にも繋がります。
製造業の有限会社上村工作所さまの場合には、「この作業をこれくらいの時間で実施できるようになったら給与がこの金額になる」という基準が必要です。

しかし、その基準を作るためには「現状、その作業をするのにどれくらい時間がかかるのか」のデータを集め、その上で「どれくらいを理想、基準とするのか」を検討しなければなりません。
各作業の基準工数を決めることが重要となるため、すでにkintone化している日報をしっかり入力してもらえるよう働きかける必要があります。

それに加えて、採用時に使えるITツールの導入をおすすめしました。
おすすめした「ミツカリ」は、受けた人の性格や価値観、人物像、どのようなコミュニケーションの取り方が適しているのかを分析してくれます。
入社後のミスマッチやチームのアンバランスを防ぎマッチング性の高い採用を実現できるツールです。

ミツカリについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼採用DX~ミスマッチを無くす採用のために明日から使えるITツール~

情報管理のデジタル化、ペーパーレス化を進める

紙書類をデジタル化することでペーパーレスの推進と検索性・共有性が向上します。
図面の情報はすでにデジタル化した有限会社上村工作所さまですが、紙資料はまだまだたくさんある状態。
これらをデジタル化することで、「紙の資料を探す」という無駄な時間を無くしたいという思いがありました。

ペーパーレス化の一環として、有限会社上村工作所さまでは在庫管理をkintone化する取り組みを進めていました。
在庫管理が不十分なことに起因して現場で急に在庫不足に陥り、とりあえず間に合わせで購入するという状況を未然に防ぐため、従業員さんに入庫・出庫情報の入力を依頼する必要があります。

在庫管理のkintone化についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼【事例3選】kintoneで在庫管理を実現!在庫管理プラグインの設定方法も解説

社長の想いを従業員さんは知っているか?今後の方針の効果的な伝え方とは

今回、上村社長とコムデックでじっくり話し合う中で話題になったのが、「社長の想いや会社の方針、現状を従業員さんはご存じなのか?」ということ。
上村社長がこれまで従業員さん全員の前で振り返りや今後の方針を話してきたのは決算のタイミングだけで、「従業員さんたちがどこまで理解してくれているかはわからない」とのことでした。

業務改善や生産性向上に向けた取り組みも、「やってください」「使ってください」だけでは浸透していきません。
「どうしてそのツールを導入したのか、なぜ使ってほしいのか」
「どんなメリットがあるのか」
など、目的や効果をていねいに伝え、理解してもらうことが大切です。

そこで、せっかく現状や方針を言語化出来たこの機会に、従業員さん全員に向けて方針発表会を開催することにしました。

この時、社内で開催してももちろんいいのですが、いつもと環境を変えて従業員さんに聞く体制を作ってもらうことも大切です。

そこで今回、有限会社上村工作所さまでは従業員の皆さんをコムデックにお招きして、日常の業務とは切り離して話を聞いていただく場を設けました。

コムデックで方針発表会を開催!オフィスツアー・ミツカリも実施

上村社長が考える会社の方針や「チームワークを高めて良い会社にしていきたい」という想いを従業員さんたちと共有すべく、「方針発表会」を開催した有限会社上村工作所さま。

まずは上村社長から会社の財務的な現状や社内の状況今後どうしていきたいと考えているのかをお話しいただきました。

コムデック 上村工作所 kintone 方針発表会

お伝えいただいた方針を元に、コムデックからはkintoneを使っていただく「目的」や「メリット」、そして具体的なkintoneアプリの使い方などを改めてご案内。
kintoneやITツールを使う目的のところからしっかりと伝えることで、「エクセルやアナログの方が自分の仕事がやりやすいから、kintoneを使わない」状態を防ぎ、積極的にkintoneを使っていただきたいという考えがありました。

従業員さんたちへのお願い事項は以下の3つに絞り、苦手意識を持たれないように注意しながらお伝えしています。

kintoneを定期的に見てほしい

【目的】
今日やるべきことや会社のルールを自分で把握できるようにする
何度も同じことを個別に説明する手間を省く
浸透のためにまず日常的に見てもらう癖をつけたい

【メリット】
自分のすべきことを人に聞かなくても把握できる
これまでグレーゾーンだったルールが明確になる

kintoneで日報を入力してほしい

【目的】
機種別にどれくらい時間がかかったかを計測したい
「機種別・作業別の基準工数」を算出して、昇給の基準にしたい
将来的には、蓄積したデータを元に「どうやったらもっと生産性が上がるか」を検討していきたい

【メリット】
昇給の基準が明確になり、モチベーションアップにつながる
※作業を監視することが目的ではない

kintoneに在庫登録をしてほしい

【目的】
在庫が無くて焦ることや、無いから買いに走ったが実はあったなどといった無駄をなくしたい

【メリット】
作業したいときに在庫が無い状況を防ぐことができる
日々の登録を元に自動で在庫が増減するので、月末の棚卸が簡単になる

コムデック 上村工作所 kintone 方針発表会

また、採用した人が定着できるようにしていきたいという社長の想いを受けて、方針発表会の後半では「ミツカリ」を現職の従業員さんに受けていただきました。

ミツカリを受けていただくことで、現状の社内のバランスやどういったタイプの方がどこで活躍しているのかを見える化できます。
新規採用の際に利用すると、その方がどの部署に向いているのか、どういった関わり方がよいのかなどが見える化し、チームや会社で活躍できる人材を採用しやすくなります。

ただ座って話を聞くだけではなく、方針発表の最後にはコムデック社内を見学いただけるオフィスツアーを実施。
このツアーは、クラウドシステムなどのITツールを活用して業務を進めている様子をご覧いただきながら、実際に企業さまでどういった取り組みができるのかどういった効果が見込めるのかなどをイメージしていただくもので、これまでにもさまざまな業種の企業さまにご参加いただいています。

もちろん業種の違いはありますが、従業員さんたちにも、取り組みを進めた先の会社や自分たちの姿をリアルにイメージしていただけたようです。

コムデック 上村工作所 kintone 方針発表会

方針発表会の効果とは?目的とやってほしいことを明確に

従業員さんをコムデックにお迎えして方針発表会を実施した結果、有限会社上村工作所さまでは従業員さんたちの取り組みにも変化が出はじめているそうです。

まず、在庫に関する登録がスムーズにおこなわれるようになりました。
これをフックにしてkintoneの使い方を身につけ、作業に慣れていただき、日報入力や定期的な閲覧を定着させていく作戦です。

日報の入力が定着すれば、一台当たりの時間が算出できるようになり、給与の基準づくりや原価管理などにも繋がっていきます。

必要な改革も、トップダウンで押し付ける形になってしまうと理解を得られなかったり、取り組んでもらえなかったりします。
日々の業務でお互いが忙しいと、目的や目指す姿は伝わりづらいものです。
改めて場を設けることにより、従業員さんの聞く体制を整え、理解を得られれば、会社が一丸となっての取り組みも可能となります。

コムデックでは、kintoneなどのITツール導入だけではなく、実際に会社の中で機能していくよう、さまざまなサポートをおこなっています。悩んでいる企業さま、ぜひ一度ご相談ください!

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この記事を書いた人

徳田 幾美

『勤怠管理のスペシャリスト』

日本人の心のふるさとである”三重県伊勢市”を拠点に、中小企業のDX化を支援しています。 勤怠管理クラウドKING OF TIMEやMoneyForwardクラウド給与の導入を得意とし、脱タイムカード・給与明細の電子化から人時生産性の向上まで、他クラウドサービスも含めたトータルサポートをご提案しています。 「紙のタイムカードや出勤簿を手で集計していて時間がかかる」「給与明細を手渡ししている」勤怠管理や給与計算でお悩みの企業様、是非一度ご相談ください!

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