チャットツールのトーク内容をkintoneにまとめる方法|見落とし防止&検索性の向上に役立つアプリ開発事例

最近は、業種を問わずあらゆる現場でチャットツールが使われていて、無くてはならないものになりつつあります。
一方で、経営者や管理者には1日に数百〜数千件という膨大なメッセージが届くことも珍しくありません。
返信が漏れてしまったり、知りたい情報が見つからなかったりして、困っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、チャットツールのやりとりをkintoneにまとめる方法を紹介します。
チャットを一元管理するアプリの構築については、こちらの動画でも解説していますので、あわせてご覧ください。
目次
チャットツールの活用でよくあるお悩み
チャットツールを活用する現場からは、次の2つのお悩みがよく聞かれます。
1つめは、メッセージの履歴や資料がいろいろなチャットグループに分散してしまい、情報を探すのに手間がかかるというものです。
「〇〇さんとあの話をしたのは、こっちのグループだっけ?それともあっちのグループ?」と、あちこちのグループチャットを開いて探し回った経験がある方も多いのではないでしょうか。
LINE WORKS(ラインワークス)やMicrosoft Teams、Slackなど、複数のチャットツールを併用している場合にはさらに深刻です。
どのツールで・誰に・何を伝えたのかが把握しきれなくなり、伝達漏れやミスの原因になることもあります。
2つめは、主に経営者や管理者に多いお悩みですが、大量のメッセージが届くことで、見落としや対応漏れが起きることです。
企業の社長ともなると、1日に約3,000件ものメッセージが届くことも珍しくありません。
メッセージの中には、返信が必要なもの、読むだけで良いもの、今後のスケジュールに関わるものなど、さまざまな内容が混在しているため、目視で全てを確認しているとそれだけで1日が終わってしまいます。
こうしたお悩みを解決するために、チャットの内容をkintoneにまとめて管理しようというのが今回のテーマです。
チャットのデータベース化に役立つ「krewData」
チャットの内容をkintone(キントーン)でデータベース化するにあたり、役に立つのが「krewData(クルーデータ)」です。
krewDataは、kintone上のデータを集計・加工できるプラグインです。
売上管理や在庫管理のように、複数アプリのデータを集計するのはもちろんのこと、kintoneと外部システムとの連携でも活躍します。
krewDataは、プログラミングの知識が無くても、パズル感覚で集計フローを設定できるのが特徴です。
数値の集計だけでなく、文字列や日時、チェックボックス、ラジオボタンなどのフィールドにも対応しています。
さらに、自動集計のタイミングは2つの異なるプランから選べるのもポイントです。
売上管理や請求管理のように、決まったタイミングで集計したい場合は「スケジュール実行プラン」、受発注管理のようにデータが登録されたらその都度集計したい場合は「リアルタイム実行プラン」が適しています。
チャット履歴をkintoneに集約し、対応が必要なものをピックアップ
ここからは、実際のチャット集約アプリ構築の流れを解説します。
大まかな流れとしては、はじめに「トーク履歴アプリ」にチャット内容を吸い上げてから、「チャットアラートアプリ」で重要なメッセージをピックアップしていきます。
まずは、「LINE WORKSトーク履歴アプリ」の構築です。
日時、グループ情報、送信者、受信者、メッセージの内容、チャンネルID、更新キーといった項目を設定します。
項目のうち、チャンネルIDはただの記号なので、パッと見てもどのLINEグループか分かりません。
そこで、別途「グループ情報アプリ」を作成して、チャンネルID「12345abc」はグループ名「株式会社〇〇」のこと、というようにマスタを登録しておきます。
このマスタを、関連レコード機能を使って元の「トーク履歴アプリ」に表示させることで、ひと目でどのグループのトーク履歴かが分かるようになります。
「LINE WORKSトーク履歴アプリ」が完成したら、API連携で毎日12時に自動でLINE WORKSのトーク履歴を吸い上げて登録するよう設定します。
次は、対応が必要なメッセージを抽出するための「チャットアラートアプリ」の構築です。
抽出する条件として、「既読スルー」と「1か月以上未連絡」の2つを設定しました。
「既読スルー」は、その名の通り開封したのに返信できていないメッセージのことです。
具体的には、「送信者が社外」かつ「受信から2日以上経過」のものを抽出します。
その際、トーク内容に「?」を含むものは質問文のため、返信が必要な可能性が極めて高いものとして「要回答アラート」も表示するよう設定しました。
もう1つの「1か月以上未連絡」では、最後のやりとりから1ヶ月以上経過しているグループを抽出します。
これは、進捗確認が必要なプロジェクトや、クロージングできていないプロジェクトをリマインドするための仕組みです。
以上の2つの条件を、krewDataを使って抽出できるよう設定しました。
これで、チャット履歴をkintoneに集約しつつ、対応が必要なものを抽出する仕組みが完成しました。
kintoneをチャットの一元管理ツールとして使うメリットとは
kintoneを使うと、さまざまなチャットツールに分散したメッセージを一元管理できるようになります。
これなら「どのツールの、どのグループで話した内容だろう」と探し回る手間もありません。
今回の事例ではLINE WORKSを取り上げましたが、Microsoft TeamsやSlackも含めて、複数のチャットツールを併用している場合にも対応可能です。
チャットツールごとに「チャット履歴アプリ」を構築することで、それぞれのツールから対応が必要なものを抽出して、1つの「チャットアラートアプリ」上に表示できます。
これにより、返信が必要なメッセージや、定期ケアが必要なプロジェクトを放置してしまうのを防げることがメリットです。
【番外編】kintone × チャットツールの活用術
kintoneとチャットツールは、今回のような情報集約以外でも連携させて活用することでより業務を効率化できます。
kintoneと連携できるチャットツールはいくつかありますが、その中でもコムデックがおすすめするのはLINE WORKSです。
LINE WORKSは52万社以上で導入されていて、チャットツールの中でもトップクラスのシェアを誇ります(2025年1月時点)。
そんなLINE WORKSをkintoneと連携できる便利な専用ツールが「kintone for LINE WORKS」です。
先ほどの事例は「kintoneでチャットツールの情報をまとめる」という作業に特化していましたが、kintone for LINE WORKSを使うと、あらゆる場面でkintoneとLINE WORKSの連携が可能になります。
kintone for LINE WORKSには、「通知機能」と「チャット登録機能」という2つの機能があるのが特徴です。
「通知機能」を使うと、kintoneの情報をLINE WORKSの任意のグループ・アカウントに通知できます。
通知の件名や本文を自由にできるため、ひと目で要件が伝わるようになります。
kintoneのアカウントを持たないユーザーにも通知でき、アルバイトスタッフや業務委託などが多い組織にもぴったりです。
もう1つの「チャット登録機能」は、LINE WORKSのチャットを送信するだけで、kintoneデータを登録できる機能です。
こちらの機能も、kintoneアカウントを持たないユーザーでも使えます。
スマホから手軽にkintoneを登録できるため、日報登録や訪問先での顧客情報登録などにも活用できるのがポイントです。
「kintone for LINE WORKS」サービスページはこちら
kintoneを使ってチャットツールの弱点を克服しよう!
チャットツールは、リアルタイムで手軽にやりとりができる反面、情報が分散したり流れたりしてしまうのが弱点です。
そんなときにkintoneでチャットの内容をまとめることで、検索しやすくなり、対応が必要なものも抽出できるようになります。
膨大なメッセージのやりとりで苦労している方は、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。
コムデックでは、お客様のお悩みをお聞きしてその場でkintoneアプリを構築する対面開発を行っております。
今回のように「kintoneと他のツールを連携して業務を効率化したい」というご相談も承っております。
kintoneに関する知識と経験が豊富なスタッフが、最適な方法をご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。