DXやkintoneの伴走支援について、皆で考える研究所。

日報の数字を元にkintone上で請求書との照合データを自動作成し大幅な時短に成功| 建設業 協成工業株式会社さまのアプリ開発事例

建設業でkintone活用 協力業者の工賃を自動集計

建設業では常に複数の現場で工事が進んでおり、携わる会社や人、物の数が多いので、会社に届く請求書も膨大な数になります。

その中でも特に現場に出入りする協力会社の請求書は、協力会社社員の勤怠情報、つまりは日報と照らし合わせて金額に間違いがないか照合しなければなりません
日ごとの勤怠情報を集計するだけでも大変なのに、その日食べたお弁当の数や金額などの「協力会社への支払いから差し引く情報」も合わせて確認しなければならないため、支払額の集計を行う経理担当者の負担はかなりのものです。

なんとかこの負担を軽減できないかということで、協力会社の日報管理のkintone化にチャレンジした建設業の企業さまがいらっしゃいます。
日報をkintone化すれば、日報に登録された日々の勤怠データを元に、請求書と突合するためのデータをkintoneで自動作成することが可能です。

請求書の処理に日々追われる経理担当の業務負荷を軽減したい!

協成工業株式会社さまは、岡山県に本社を構え、社会の基盤を担う重化学工業プラント、環境プラントに関する企画、設計、製造、建設、メンテナンスまでをトータルで行っている建設業の企業さまです。
毎月の勤怠管理や請求書の処理、原価管理などは紙とエクセルを中心におこなっており、建設業ならではともいえる経理担当者の負荷を軽減する方法はないかと頭を悩ませていました。

建設業では日々さまざまな業者や作業員が工事に携わっていますが、当然デスクではなく現場での作業が基本です。
加えて現場が遠方になることも多く、長期間の出張を伴う工事も少なくありません。
社内で勤務する経理担当者は、現場での作業を委託している協力会社からの請求書が届いてからでないと、前月にどれくらいの工数がかかったのか、どれくらいの支払いが必要なのかを正確に把握することができません。

また、届いた請求書の金額が正しいかどうかを確認する必要があるため、経理担当者は現場監督(現場代理人)から渡されるエクセルの協力会社日報から、勤怠・弁当代等の細かな数字を集計しなければなりませんでした。
ひとつの現場に入っている協力会社は一社とは限らず、集計は協力会社ごとに行う必要があります。
さらに、金額が確認出来たら今度はその数字を原価管理のためのエクセルに手入力しなければならず、経理担当者は、毎月請求書の処理だけで膨大な時間を要していたのです。

そこで、kintone(キントーン)を利用することで自動化できるところは自動化し、経理の業務負荷を下げられないかと考えたのです。

コムデック 協成工業 kintone 請求書自動作成

請求書との照合に必要なデータをkintoneアプリ内の情報から自動集計できるフローを作成

協成工業株式会社さまが「協力会社から届く請求書との突合作業効率化」のためにまず行ったのは、現場監督に作成・提出してもらっている日報のkintone化です。
日々の協力会社従業員の勤怠状況をkintoneでアプリ化した結果、リアルタイムで情報を共有できるようになりました。
経理担当者が現場監督からの日報を待つ必要がなくなったため、時間を有効活用できるようになったのです。

もちろん、従来の日報と同じように勤務時間と工数だけではなくお弁当を食べたかどうかも管理できるようになっています。
kintoneでは、お弁当を「弁当マスタアプリ」から取得してくる形のため、従来の日報では管理できなかった「どの単価のどのお弁当を食べたか」といった情報まで管理できるようになりました。

協力会社の日報をkintone化した事例はこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneで協力会社の日報を一括管理して二重チェックの手間を削減|建設業 協成工業株式会社さまのアプリ開発事例

「kintone」サービスページはこちら

コムデック 協成工業 kintone 請求書自動作成

日報をkintone化した次に取り組んだのが、日報のデータを元に必要な数字を自動集計し、請求書の突合データまでkintoneアプリで自動作成することです。
日報のデータを自動集計できれば、請求書の処理に要する時間の大幅な削減につながり、経理担当者の負担を軽減できます。

データの自動集計はもちろんkintoneの標準機能でも可能です。
しかし、協成工業株式会社さまの求める状態は「協力会社から届く請求書と、日報から集計したデータを突合できる状態」
それに加えて弁当代の集計も必要だったため、標準機能による集計では要望を満たせないことが分かっていました

そこで、協成工業株式会社さまではkintone内のデータを集計・加工して別アプリに保存できるkrewData(クルーデータ)を使って自動集計フローを構築しました。

krewDataのフロー構築は、プログラミングこそ必要ありませんがそれに近い考え方が必要になります。
日々記録してもらっている協力会社の日報からどんな数字をどのように集計してきたいのかを確認した上で、最終的には「請求管理アプリ」にデータを作成しています。

コムデック 協成工業 kintone 請求書自動作成

実際に出来上がったデータがこちらです。
支払先=協力会社ごと、工事の現場ごとに、一日ごとの工数と金額を自動算出しています。
合計の工数も自動集計されるため、届いた請求書とすぐに突合することが可能です。

コムデック 協成工業 kintone 請求書自動作成

発生する差額は手動登録、柔軟に調整可能

こうして完成した自動集計フローですが、実際に運用してみると、ひとつ問題がありました。
詳細まで練ったフローですが、それでも自動集計した値と、実際に届いた請求書に差額が発生してしまう場合があることが発覚したのです。

例えば、工数は社員日報から拾うことができますが、協力会社の従業員が現場に来るまでの交通費は日報には登録されていません。
交通費の分は実際の請求書が届くまでわからないため、自動集計した請求額に追加する必要があります。

そこで、差額が出てしまう場合には、自由に調整できる明細を自動集計の下に追加することで、自動集計化できるよう対応していくことにしました。

コムデック 協成工業 kintone 請求書自動作成

このように、数字はなるべくkintoneアプリ内に入力できるように設計することで、自動集計化を実現することができたのです。

kintoneによる日報自動集計の実現で得られた4つのメリット

請求書との突合データをkintoneアプリ内で自動集計化することに成功した協成工業株式会社さま。
自動集計フローを作成したことで得られたメリットは、大きく4つありました。

  • 請求書1枚につき突合時間が平均15分削減
  • 請求書突合のため作成したデータがそのまま原価管理につながり、入力の手間を削減
  • 手動による入力ミスの減少
  • 請求書のずれに対するレスポンスが早くなり、支払間違いを回避できた

自動集計化による大きなメリットは、何といっても圧倒的な時短です。

請求書1枚につき、突合時間が平均15分短縮できる上、確認したデータはそのまま原価管理上でも集計されます。
建設業では原価管理にも相当な手間がかかるので、確認後のデータをそのまま利用できることで更なる効率化が図れます。

また、請求書の数字がずれている際の対応が格段に早くなったことも、大きな利点でした。
日々の勤怠が明細として表示されているので、kintoneの画面を見ればどこが違うのかすぐにわかります。
「この日の工数分が多い/少ない」など、間違っている明細の原因をある程度予測した上で請求元に連絡できるようになりました

さらに今回の集計自動化への試みにより、社内的にも業務の自動化を推進していく姿勢を示すことができました。
長時間労働が当たり前となりがちな建設業界ですが、従業員たちに各々の仕事の進め方について、業務効率化を意識してもらうきっかけ作りにもなったのです。

日報の情報を元に自動集計化を行う際の注意点

建設業にとって、協力会社の日報を元に自動集計化することのメリットは大きい反面、2つ注意点もあります。

まず一つ目の注意点は、「協力会社の勤怠を現場監督に登録してもらう必要がある」ということです。
協成工業株式会社さまの場合にはもともとしっかりと日報を付ける習慣がありましたが、そうでないところはまず日報をつけるところから依頼する必要があります。

加えて、kintoneの日報はエクセルとも入力方法が異なるため、人によっては入力のしにくさを感じることがあるかもしれません。
そんな時には、プラグイン等も使いながら、できる限り入力の手間を減らす工夫が必要になります。
この辺りは、先ほどご紹介した日報についての記事で詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。

二つ目の注意点は、集計時の端数に関するものです。

売上金額を処理する際に、消費税相当額に1円未満の端数が生じることがありますが、端数をどのように処理するかはそれぞれの事業者の判断にゆだねられています。
そのため、届く請求書が各社によって明細消費税なのか合計消費税なのかで合計金額が数円ずれてしまうことがあります。

こうした微妙なずれにはどうしても自動処理は難しく、手で修正が必要な部分です。
経理担当者によるチェックが必要なので、kintoneで完全なる脱属人化を実現できた、というわけではありません。
しかし、煩雑な集計をkintoneアプリ内で自動計算することで、経理担当者が全ての請求書を一から集計する手間と時間を大幅に削減することができました。

請求書の処理は毎月のことなので、経理担当者にとっては大きな負荷削減であり、会社にとっても業務効率化やミスの削減、トラブル回避など、集計の自動化を実現できたメリットは大きいと言えます。

kintoneを活用して、建設業の煩雑な総務経理業務を効率化しよう!

建設業における煩雑な請求書の処理について、日報の数字を元に突合データを自動作成することで業務効率化に成功した協成工業株式会社さま。
kintoneアプリ内で数字を一括管理し、必要な情報をkrewDataで自動集計することで、大幅な時短を実現しました。

kintoneを活用すれば、現在負担となっている業務をもっと快適に改善できるかもしれません。
日々の仕事内容を見直したい、業務負荷を軽減したいとお考えの経理担当者さまは、kintoneの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

「kintone」サービスページはこちら

この事例を自社でも実現したい!
という企業さまはお問い合わせください!

\ kintoneでの業務効率化について相談したい /

お問い合わせはこちら

業種に対応した業務改善機能をパッケージ化

資料をダウンロードする

ITツール導入の費用が最大450万円補助

補助金について問い合わせる

この記事を書いた人

西道 涼

『クラウドサービスの先導者』

日本人の心のふるさとである”三重県伊勢市”を拠点に、中小企業のDX化を支援しています。 主に中小企業のクラウドサービスの提案から導入支援まで、一貫してサポートさせていただいております。 たくさんのクラウドサービスが普及する中、どのクラウドサービスが自社に合っているのか…お悩みではありませんか? 是非一度御社の理想をお聞かせください。ぴったりのクラウドサービスをご提案させていただきます!

IT導入のお悩みなら、
コムデックラボ

まずはお気軽にお問い合わせください。