AIで議事録の品質を向上!文字起こし・要約から一歩進んで「組織知」を形成する方法
| 目的 | 議事録作成の手間を減らしつつ、誰もが高い品質で作成できる仕組みを作りたい |
| 課題 | ・議事録の作成に時間がかかり、タイムリーに共有できない ・人によって作り方がバラバラで、内容が足りなかったり要点が分かりづらかったりする |
| 効果 | ・議事録作成の手間がほぼゼロになる ・誰でも高い品質の議事録を作成できるようになる ・議事録を組織の情報資産として活用できるようになる |
議事録作成は決して難しい作業ではありませんが、時間がかかり、作る人によって品質のばらつきが出やすいのが特徴です。
最近は簡単に文字起こしや要約ができるツールも増えていますが、実際に使ってみて「何かが足りない」「イメージと違う」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
質の高い議事録を作成するためには、その場の温度感や発言の裏にある事情など、さまざまな情報を織り込むことが必要になります。
そんなときに有効なのが、AIを活用した「組織知」の形成です。
この記事では、議事録作成におけるkintone × AI活用について解説します。
目次
議事録作成によくある課題
企業における議事録作成では、次のような課題が多く見られます。
- 訪問・オンライン商談が多く、お客さまとの会話そのものが情報資産だが、管理しきれていない
- 商談や会議の内容が担当者の記憶とメモにしか残らず、社内で共有されていない
- 会議後の議事録作成に時間がかかり、共有が遅れたり、作らないまま終わったりする
- 議事録の書き方や詳しさが人によってバラバラで、後から読んだときに要点や決定事項が分かりづらい
- 「言った・言わない」の認識違いによるトラブルが起きやすい
こうした課題は、文字起こしや要約ができるツールを導入するだけでは、なかなか解決できません。
なぜなら、議事録に「書くこと・書かないこと」の判断には、企業独自の判断基準や背景にある事情を考慮する必要があるためです。
AIを使った「組織知」の形成で議事録の質を高める
上記のような議事録作成の課題を解決するためには、「組織知」の形成が有効です。
ここからは、組織知とは何か、どうすれば形成できるのかについて解説します。
こちらの記事では「組織知」を取り上げたDX担当者勉強会のレポートを公開しています。
▼AIを使って成果を再現できる組織になるには?|第33回DX担当者勉強会レポート
組織知とは
組織知とは、個人が持つ知識やノウハウ、暗黙知などを組織全体で共有・蓄積し、組織の資産として活用できる状態にしたもののことを言います。
具体的には、業務の進め方や判断基準、社内ルール、企業文化などが含まれます。
組織知があれば、ベテランか新人かに関係なく、一定のレベルでパフォーマンスを発揮できるのがメリットです。
さらにコムデックでは、これからの時代の組織知は「組織知=人的資本 × AI資本」で表せると考えています。
ここで言う「人的資本」とは、一人ひとりの知識、判断力、発想力、人間関係づくり、パターンを見抜く力などを指します。
また「AI資本」とは、会社として構築・蓄積するAI活用の仕組みを指します。
例えば、ワークフロー、独自データ、AIロジック、評価の蓄積などです。
さらに、「個人でのAI活用」と「組織でのAI活用」には、次のような違いがあります。
| 個人でのAI活用 | 組織でのAI活用 | |
| 目的 | 作業の自動化、効率化 | 学習ループ、独自の「組織知」を形成 |
| 活用方法 | AIを単発で使い、個人の生産性向上に利用 | AIを組織横断で使い、知識・経験・成果をAIに学習させつつ利用 |
| AIの役割 | 人間の作業を補助、スピードアップ | 人とAIが相互に学習する(日々の業務記録や顧客とのやりとり、試行錯誤を人とAIの間で循環させる) |
| ポイント | できていないことをAIにやらせる | AIを活用し付加価値を高める |
「組織知」を考える際のポイントは、人的資本とAI資本が掛け算で表されるという点です。
これは、どちらかがゼロだと、もう片方の値がどれだけ高くてもゼロになってしまうことを意味します。
したがって、組織知を形成する際は「人的資本」と「AI資本」の両方を高めていくことが重要になります。
AIで組織知を形成する方法
AIで組織知を形成する方法は、次の4つのステップで表せます。
- AIが学習するためのデータベースを作る(一次情報、一次解釈の蓄積)
- AIがデータベースをもとにアウトプットを生成する
- 2のアウトプットに対して、人の意見・判断・成果をフィードバックする
- AIがフィードバックの内容を学び、次のアウトプットに活かす
ここでポイントになるのが「データベースの中身」です。
一次情報とは、商談や会議の録音・録画、文字起こしデータ、顧客情報などを指します。
これらについては、すでにしっかり管理できている企業さまも多く見られます。
また、一次解釈は判断基準や決め手、担当者が感じたこと、成約・見送りの要因などを指します。
こうした一次解釈を管理できている企業さまは、まだ少ないのが現状です。
一次情報だけでなく、一次解釈まで蓄積してからステップ2以降を回していくことで、初めてAIが真価を発揮して、他社との差別化ができるようになります。
kintone × AI で議事録作成の仕組みを構築する方法
組織知を形成するためのツールはいろいろあります。
前述の通り、データベースを蓄積し、組織で共有できる機能があれば使えますが、ここでは一例としてkintoneとAIで議事録作成のシステムを構築する方法を紹介します。
議事録作成におけるkintone(キントーン) × AIの活用事例については、こちらの記事もご覧ください。
▼AIで議事録を自動作成!おすすめツールや活用する際のポイントを解説
1.データを蓄積するためのアプリを作成する
はじめに、Zoomとkintoneを連携して、会議の録画データや文字起こしデータをkintoneアプリに自動保存できるよう設定します。
Zoomとkintoneの連携の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
▼kintoneとAIで議事録の作成・管理を効率化する方法とは?連携サービスとカスタマイズ事例を紹介
会議データは、顧客情報や案件情報と紐づけて蓄積します。
また、お客さまの温度感や発言の裏にある事情など、担当者にしか分からない一次解釈も、同じレコードに残せるよう項目を設置しておきます。
2.コムデック 生成AI for kintoneで議事録を作成する
データを蓄積するためのアプリができたら、「コムデック 生成AI for kintone」を設定します。
コムデック 生成AI for kintoneは、kintoneとChatGPTを連携するためのサービスです。
このサービスを使うことで、kintoneに蓄積した自社独自のデータを検索・分析したり、新たな施策を提案したりすることが可能になります。
先ほど作成したアプリの情報を横断して分析し、打ち合わせの目的、決定事項、宿題(担当者・期日・やるべきこと)、お客さまの課題やご要望、次回に向けた論点などを整理した議事録をAIが作成します。
このとき、AIは過去の議事録やフィードバックも参照するため、案件のこれまでの経緯を踏まえた内容を出力できます。
レコード内の「MTGまとめ for Notion」ボタンを押すと、AIが動く仕組みです。
「社内用」「顧客向け」のように、用途に合わせてボタンを複数設定することも可能です。
ここまでは、従来の議事録作成におけるAI活用と同じ仕組みです。
3.AIが作成した議事録にフィードバックを行う
ここからが、AIを使って「組織知」を形成するための本題です。
先ほどAIで作成した議事録について、担当者が内容を確認して「抜けている論点は無いか」「重要度が適切か」「なぜその発言が重要なのか」などを判断します。
判断の結果とその理由はAIにフィードバックして、出力の修正を依頼します。
修正依頼は最大で10回まで可能です。
フィードバックすると出力結果が書き換わるので、問題なければ「この内容で保存」をクリックします。
「この修正内容をメモリに登録しますか?」というダイアログが表示されるので、登録したい内容にチェックを入れて「選択した内容を登録」をクリックすると、フィードバックが蓄積される仕組みです。
4.管理者が承認し、次回以降のAIに反映する
メモリに追加されたフィードバックは、アプリ上で「候補」として蓄積されています。
候補内容は、管理者が直接書き換えることも可能です。
例えばこちらでは、文字起こしで「コースリスト」となっている箇所を「工数リスト」として扱うよう修正しています。
候補は「AI設定アプリ」からも確認が可能です。
管理者は保存されたフィードバック内容を確認し、会社の「組織知」として採用する場合はメモリアプリまたはAI設定アプリで「承認」をクリックします。
承認すると、次回以降のプロンプトに自動で組み込まれる仕組みです。
このように「データの蓄積→AIによる議事録作成→人間によるフィードバック→次の議事録に反映」を繰り返すことで、自社独自の判断基準や次にとるべきアクションの傾向を蓄積し、それらを反映した議事録の作成が可能になります。
議事録作成にkintone × AI を活用するメリットとは
今回のシステム構築で特に重視したのは、ステップ1のデータベース作成です。
打ち合わせの記録を担当者が手で残す運用にすると、どうしても抜ける部分が出てきます。
そのため、Zoom連携で録画と文字起こしデータを自動でkintoneに蓄積する仕組みを先に作っておくことがポイントです。
また、AIが出力した議事録に対して、丁寧なフィードバックを行うことも欠かせません。
以下は、フィードバックの一例です。
- どこを修正したのか、なぜ修正したのか
- 「決定事項」と「検討中」を切り分けた基準は何か
- お客さまの発言のうち、どこが重要なサインか(不満、期待、予算感、社内の力関係など)、なぜ重要だと判断したのか
- 文字起こしには現れない情報は何か(表情、温度感、その場の空気などの一次解釈)
こうしたフィードバックを繰り返すことで、AIが「この組織では何を議事録に残すべきか」を学習します。
これにより、単なる要約ではなく、次のアクションにつながる議事録が作れるようになることがメリットです。
もちろん議事録作成の工数も削減でき、ほぼゼロになります。
浮いた時間は、お客さま対応や提案準備など、より本質的な業務に使うことが可能です。
品質の高い議事録で正確に状況を把握できるため、「言った・言わない」のトラブルを防げるようになり、会議に参加していない上司や関係者も適切な意思決定ができるようになります。
蓄積した議事録は、提案書の作成や顧客分析、引継ぎなど他の業務の一次情報となり、「組織知」の土台になります。
経験の浅い担当者でも、ベテランと同じ視点で打ち合わせを整理できるため、育成期間を短縮できることもメリットです。
AIを使って議事録を組織の資産にしよう!
企業の議事録作成は、ただ議論の内容を要約するだけでは不十分です。
組織の判断基準や価値観なども反映することで、次にとるべきアクションが明確になり、議事録が組織の資産になります。
kintoneに蓄積したデータをAIで整理して出力し、さらにkintoneを介して共有・活用することで、議事録を「組織知」として蓄積していくことが可能です。
コムデックでは、kintone × AIの活用をサポートする「コムデック 生成AI for kintone 導入コンサル」というサービスを提供しております。
「担当者による品質のばらつきを無くしたい」「議事録を次のアクションに役立てたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。


















