kintoneで管理する助成金の手続き状況を顧問先に公開|neo社会保険労務士法人さまの開発事例

社労士の業務と言うと社会保険の手続きや労務相談をイメージしがちですが、最近は助成金申請のサポートに力を入れる社労士さまも増えています。
助成金の申請においては、出勤簿や賃金台帳を提出してもらったり、現在の手続き状況を共有したりと、顧問先との連携が欠かせません。
しかし、それらのやりとりや申請状況の問い合わせ対応には手間がかかるため、困っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、kintoneデータの一部を顧問先に公開し、WEB上での進捗確認や情報共有を可能にしたneo社会保険労務士法人さまの事例を紹介します。
社労士業務を効率化できる「社労士 業務改善パッケージ」については、こちらの動画でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
目次
顧問先と手続き状況を共有して安心してもらうために、kintone情報の一部を外部公開したい!
neo社会保険労務士法人さまは、沖縄県浦添市にある法人さまです。
助成金申請に強く、2019〜2023年で1,300件以上の採択実績があります。
業務効率化にも積極的に取り組まれており、以前からkintone(キントーン)を活用されていました。
過去のkintone開発についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
▼士業のタスク管理課題をkintoneで解決!自社の業務に合わせてアプリをカスタマイズ|neo社労士事務所さまのアプリ開発事例
▼士業でkintone活用!社労士業務改善パッケージの導入手順・効果とは?|neo社労士事務所さまのアプリ開発事例
そんな中で新たな課題となっていたのが、助成金を申請する際の顧問先との情報共有でした。
neo社会保険労務士法人さまでは、助成金申請についてもkintoneでタスク管理をされています。
「キャリアアップ助成金」「人材開発助成金」など助成金の種類ごとにアプリを作り、それぞれの対象企業や従業員、申請期日、助成金の金額などを一元管理するというものです。
しかし、これらはあくまで事務所内専用のため、顧問先から問い合わせがあったらその都度申請の状況を調べて回答しなければなりません。
例えば「うちの会社では誰と誰が助成金の対象になる?」「助成金はいついくらもらえる?」といった質問が日々寄せられていました。
1社で複数の助成金を申請していたり、対象者が複数名いたりすることもよくあるため、共有する情報が増えると、伝える方も聞く方も大変です。
そこで、kintone内の情報を一部公開して、顧問先が自分で情報を確認できる仕組みをつくりたいと考えたneo社会保険労務士法人さまは、情報をオープンにすることで顧問先に安心してもらうとともに、事務所内の工数も削減することを目指して構築をスタートしました。
kintoneデータを外部公開できる代表的なサービスは3つ
kintoneデータを外部公開できる代表的なサービスには、「kViewer(ケイビューワー)」「じぶんページ」「Kanal-WEB(カナル・ウェブ)」の3つがあります。
いずれのサービスでも、kintone内の見せたいデータを公開して、簡単にマイページを構築できるのが共通点です。
それぞれの特徴について、簡単にご紹介します。
kViewer
「kViewer」は、お知らせやQ&A、タスク管理、予約管理などに使えるサービスです。
kintoneと同じ操作感が特徴で、マウスのドラッグ&ドロップのみで公開ページを作成でき、グラフやカレンダーなど、多彩な表現にも対応しています。
「kViewer」を使った開発事例については、こちらの記事でも紹介しています。
▼kintoneを使った会員サイトで外部公開を実現!|一般社団法人 電池サプライチェーン協議会さまのアプリ開発事例
Kanal-WEB
「Kanal-WEB」も、アンケートや申し込みフォームの作成、メール配信(個別・一括)などができる連携サービスです。
利用者の操作履歴のトラッキングができるので、マーケティングにも強いのが特徴です。
こちらの記事では、コムデックが「Kanal-WEB」を使って会員限定メディアを構築した事例も紹介しています。
▼kintoneデータを外部公開してお客さま限定メディアを構築!便利な連携ツール「Kanal-WEB」の特徴も紹介
じぶんページ
「じぶんページ」は「じぶんシリーズ」という連携サービスの1つです。
閲覧・編集の権限ごとに、誰でも投稿できる「じぶんフォーム」、ログイン不要で閲覧・編集できる「じぶんレコード」、ログインして閲覧・編集できる「じぶんページ」という3つのサービスがあります。
「じぶんページ」を使えば、複数アプリと連携してマイページに表示したり、コメント機能で双方向のコミュニケーションをとったりできるようになります。
こちらの記事では、「じぶんページ」を使ってボランティアのマッチングシステムを構築した事例も紹介しています。
▼kintoneを使って災害ボランティアのマッチングシステムを構築|サイボウズ社の災害支援プロジェクトに参加しました
まずは1つの助成金でテスト環境を構築してから、他の助成金にも横展開
ご紹介した通り、kintone内の情報を外部公開できるツールはいろいろありますが、今回は顧問先からも情報を登録できる点や、コメント機能が使えるという点が決め手となり、「じぶんページ」を使うことにしました。
じぶんページは、2ユーザーまでは期限なく無料で使えるため、まずは試しに「キャリアアップ助成金」でマイページを構築して内容を確認いただき、イメージをすり合わせた上で他の助成金の構築を進めていきました。
1.じぶんページの公開範囲を設定
当然のことですが、顧問先がじぶんページで閲覧できるのは自社の情報のみで、他社の情報は閲覧できないようにしなければなりません。
そのため、顧問先のログインIDは各社のメールアドレスを設定し、kintoneアプリ側にも顧問先のメールアドレスを登録しました。
その上でじぶんページの公開条件を「kintoneアプリに登録したメールアドレス=じぶんページのメールアドレスの場合」と設定することで、閲覧できるレコードを制限しています。
2.kintoneアプリの公開する項目を選択
続いて、kintoneアプリで管理する項目のうち、マイページに表示する項目とレイアウトを設定しました。
じぶんページでは、項目を一つ一つ選んで表示するかどうかを設定できる他、レイアウトも自由に調整できます。
そのため、「社内的には必要だがお客様にとっては不要な情報」は見せないことも可能です。
3.「キャリアアップ助成金」以外についても同様に構築
不要な項目を精査したり、レイアウトの微調整をしたりして「キャリアアップ助成金」の公開ができたら、他の助成金アプリについても同様に構築していきました。
実際に完成した管理画面がこちらです。
顧問先から見ると、このような画面になっています。
kintoneアプリに登録されている助成金の対象者や支給開始日、申請期限などがひと目で分かるようになりました。
4.ダウンロード資料も公開して完成
最後に、企業からの問い合わせが多い書類テンプレートもじぶんページに設置しました。
こうすることで、お客様はいつでも自由にテンプレートをダウンロードできるようになります。
環境構築のポイントはコメント機能の使い方
今回の環境構築でポイントになったのが、コメント機能の使い方です。
もともとneo社会保険労務士法人さまでは、コメント機能を事務所内のやりとりのために使われていましたが、じぶんページ公開後は顧問先とのやりとりに使うことにしました。
コメント欄を公開する設定を行うと過去のコメントも公開されてしまうため、顧問先を招待する前に削除ツールを使って一括削除しています。
今後は、neo社会保険労務士法人さまがコメントを入力すると、顧問先のじぶんページID(=企業のメールアドレス)にメールが届きます。
例えば「〇〇の人数を教えてください」といった依頼をすればメールで通知が届き、顧問先はログインしてコメントで回答できるため、やりとりがスムーズになるのがメリットです。
従来のように事務所内のやりとりには使えませんが、kintoneレコード内に別途テーブルを設けて、顧問先には公開しない項目として社内連絡用の項目を作ることで対応しています。
kintoneデータを外部公開するメリットとは
neo社会保険労務士法人さまは、kintoneで管理する手続き状況を公開したことで、顧問先の担当者が問い合わせの手間をかけずに、いつでも確認できるようになりました。
情報をオープンにすることで、顧問先に安心して任せてもらうという効果も期待できます。
また、事務所スタッフも問い合わせのたびに調べる手間がなくなり、業務を効率化できました。
コメント機能については、以前のように事務所内のやりとりでは使えなくなりましたが、別の場所で非公開のテーブルを設けたため、問題なく運用できています。
「社労士 業務改善パッケージ」で社労士事務所の業務を効率化しよう!
neo社会保険労務士法人さまは、kintoneデータを外部公開して、手続き状況をリアルタイムで共有できる環境を実現されました。
じぶんページを公開して間もないため、利用率はまだ高くありませんが、これから利用してもらえるよう働きかけていく予定です。
ゆくゆくは、入社・退社連絡や給与計算に関する情報提供にも、じぶんページを活用していきたいとのことでした。
コムデックでは、社労士事務所の業務効率化に特化した「社労士 業務改善パッケージ」をご提供しております。
タスク管理や契約管理、請求管理など、あらゆる業務をkintoneで一元管理できるパッケージです。
人手不足や業務効率化でお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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