kintoneのコメントを出力して引き継ぐ方法とは?関連レコード一覧を活用した事例を紹介

業務フローの変更や他システムとの連携に伴って、kintoneアプリを新しく作り直すことがあります。
その際、アプリ内のデータは古いアプリから新しいアプリにコピー(csvに書き出して取り込み)できますが、各レコードについたコメントも含めて移行させたいと考える方も多いのではないでしょうか。
残念ながら、kintoneの標準機能だけではコメントデータの移行は難しいのが実情です。
そこで今回は、JavaScriptを活用して、kintoneアプリのコメントデータを別のアプリに移行させた事例を紹介します。
アプリのリニューアルをお考えの方は、ぜひご覧ください。
目次
アプリのリニューアルに伴い、コメント内容も新アプリに引き継ぎたい
kintone(キントーン)には「コメント機能」といって、レコードに関連づけたコミュニケーションを取れる便利な機能があります。
コメント機能は、具体的に次のようなシーンでよく使われます。
- 案件管理アプリで「予算については営業部の〇〇さんから回答をお願いします」と追記を依頼する
- 経費精算アプリで「領収書を添付して再提出してください」と不備を伝える
- 日報アプリで「〇〇の件はどうなりましたか」と質問する
kintoneアプリをリニューアルする際、基本的には旧アプリのデータを丸ごと新アプリに移すことになります。
レコードの内容をコピーする方法はいろいろありますが、コメントまではコピーができません。
そこでコムデックでは、コメントデータを含めて旧アプリから新アプリに移行したい、できれば移行するアプリの数が多い場合でも対応できる形にしたいと考えました。
そこで今回は、JavaScriptでコメント移行のための専用アプリを1つ作成し、このアプリを経由させることで新アプリに旧アプリのコメントを表示できる仕組みを構築することにしました。
旧アプリのコメントを新アプリで関連レコードとして表示させる方法
ここからは、旧アプリのコメントを新アプリに表示する方法を5つのステップで解説します。
1.「コメントデータ集約アプリ」を作成
まず、コメントを移行させるための専用アプリを1つ作成します。
こちらのアプリの項目は以下の通りです。
- 旧アプリのアプリID
- 旧アプリのレコード番号
- コメントID
- 投稿日時、投稿者、宛先
- コメント
- 削除区分
2.JavaScriptカスタマイズで旧アプリのコメントを「コメントデータ集約アプリ」に反映するよう設定
コメントを保存するアプリを作成したら、そのアプリに旧アプリのコメントを抽出して登録するJavaScriptの設定を行います。
このとき、それぞれのコメントを旧アプリのアプリID・レコード番号とセットで管理していることがポイントです。
後ほど、新アプリ側で各コメントと該当レコードを紐づけるときに使用します。
3.新アプリを作成し「旧アプリのレコード番号」フィールドを追加
続いて、新アプリに「旧アプリのレコード番号」を登録するための項目を作成します。
旧アプリからレコード内容を移行する際、レコード番号がここに入るようにしてください。
そうすることで、関連レコード一覧設定により、コメントデータ集約アプリのデータを表示することができるようになります。
4.新アプリの「関連レコード一覧」に「コメントデータ集約アプリ」を参照するよう設定
関連レコード一覧とは、条件に一致したレコードを一覧表示できる機能です。
同じアプリ内だけでなく、他のアプリも指定できます。
例えば「顧客管理アプリ」の中に関連レコード一覧として「契約管理アプリ」を紐づけておくと、A社の顧客情報を見るときにはA社の契約情報が関連レコードとして表示されるようになります。
新アプリ側では、「過去コメント」というフィールド名で関連レコード一覧を表示します。
表示するレコードの条件は、ステップ3で作成した「旧アプリのレコード番号」項目をキーとし、絞り込みの条件として「旧アプリのID」を固定値として指定しています。
表示するフィールドは、手順1の「コメントデータ集約アプリ」と対応させて「投稿日時、投稿者、宛先、コメント」などとなっています。
5.完成
実際に完成した新アプリの画面がこちらです。
従来のコメント欄をそのまま新アプリのコメント欄に移行することはできませんが、関連レコード一覧として表示することで、実質的にコメントデータを移行できました。
kintoneのコメントデータを移行させるメリットとは
今回はJavaScriptで開発することで、コメントデータを新しいアプリでも閲覧できるようになりました。
これなら、過去にどんなやりとりがあったのかがひと目で分かり、業務の経緯や判断理由も把握できます。
将来的に、担当者が異動したり退職したりする際の引き継ぎもスムーズになります。
また、コメントデータは「コメントデータ集約アプリ」に独立しているため、不要になればいつでも設定を外せるのもメリットです。
例えば、年月が経って旧アプリ時代のコメントを参照しなくなったときには、簡単に削除できます。
強いてデメリットを挙げるとすれば、コメントの取得APIが一括取得できる形ではないため、「コメントデータ集約アプリ」への反映に時間がかかるという点です。
ただ、旧アプリからのコメント取得は基本的にアプリ構築時の1回のみの作業になるため、日常的に支障が出るようなものではありません。
コミュニケーションを活性化させるコメント活用術
ここでは、kintoneのコメント機能をさらに使いこなすための活用術を実際の事例と共にご紹介します。
kintoneのコメント欄では、「@」をつけて宛先を指定できます。
個人やグループ等、柔軟に宛先を指定でき、メンション先に指定された人には通知が届くため、早く対応してもらえるのがメリットです。
メンション機能を活用して、積極的にコメントを投稿した人や、たくさんコメントをもらった人を評価する仕組みを導入した企業もあります。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
▼kintoneでやる気を評価!?JavaScriptカスタマイズでコメントを集計|製造業 中勢製氷冷蔵株式会社さまのアプリ開発事例
コメントデータを活かして組織のナレッジを蓄積しよう!
kintoneのコメントには、フィールド内には記載されていない大事な情報が詰まっています。
業務の経緯や判断基準などのナレッジは、組織にとって価値の高い情報なので、アプリ移行で消えてしまうことが無いよう、大切に引き継いでいきましょう。
kintoneを活用していると、今回のように標準機能だけでは対応できないこともよくあります。
その場合は、プラグインや連携サービス、JavaScriptなどを使うことになりますが、社内には詳しい人がいないという企業さまも多いのではないでしょうか。
コムデックでは、お客さまのご要望をお聞きしてその場でkintoneアプリを構築する「対面開発」を行っております。
このサービスは、単にアプリを構築してお渡しするだけではなく、お客さまの業務課題を丁寧にお聞きしたうえで業務フローを見直し、最適な方法をご提案するのが特徴です。
対面で一緒に開発することで「そういえば、これもやりたかった」「この場合はどうなるの?」と、kintone活用が加速するお客さまも多くいらっしゃいます。
アプリ構築のノウハウが社内でも蓄積できるため、内製化を見据えた担当者の育成も期待できます。
これまで、あまりkintoneを活用しきれていなかったという企業さまも、対面開発なら実現できることがありますので、お気軽にお問い合わせください。
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