優秀な人材とAIを組み合わせたハイブリッド組織の作り方|第32回DX担当者勉強会レポート
コムデックでは、四か月に一回、弊社のお客様向けに「DX担当者勉強会」を開催しています。
DX担当者勉強会では、人時生産性の向上や新規市場の開拓、新しい商品・サービスの開発、お客様のファン化、従業員満足度の向上、賃上げ等に取り組みたい企業様が、それらを通じて「良い会社作り」を目指すための考え方や手段をお伝えしています。
第32回となる今回は、「優秀な人材とAIを組み合わせたハイブリッド組織の作り方」と題し、企業がAIを最大限に活用するために必要な業務フローの整理と改良、用意したい良いデータについての解説、そしてこのAI時代に「人」が注力すべきことについて具体的にご紹介しました。
AI活用によって成長を加速し、生産性を上げ、顧客満足度を向上させられる“ハイブリッド組織”はどのようにして作ることができるのか?を詳しくお伝えしていますので、ぜひご覧ください!
目次
AI時代に求められる「ハイブリッド組織」とは
昨今、AIの話題を聞かない日はないと言っても過言ではないほど、AIは人々の生活に溶け込みました。
2026年2月にはClaude CoworkというAIエージェント機能がリリース。
日常業務の効率化に大変有効で、話題になっています。
データ入力や集計、分析、比較、要約といった業務はAIへの置き換わりが必至です。すでに積極的に使っている企業も多いでしょう。
では、AIへ置き換わっていく業務が増えるこれからの時代に「人」は何をするのか。
「人がすべきこと」「人にしかできないこと」は、AIを使った上での調整や判断、意味付けといった、事業の成長により貢献する意思決定を行うことへシフトしていくと考えられます。
AIからアウトプットを受け取ったら、それをもとにして判断、意思決定する。
そして、決めたことを円滑に進めていけるよう組織や業務を調整する、仕組みづくりや現場を動かしていく、ということが「人」がすべきことです。
AIの活用によって作業工数は確実に減らせるため、生産性の高い業務に人が注力でき、売上や限界利益の向上が見込めます。
従来「生産性を上げる」と言っても1.2倍などの世界だったものが、昨対比2倍も目指せるようになってきているのです。
そのため、これからの時代に成長し続けていけるのはただAIを使えるだけでも、優秀なだけでも一歩足りず、「優秀な人材とAIを掛け合わせたハイブリッドで運営する組織」だと言えるでしょう。
AI活用が進まない理由は?
コムデックではAIの積極的な活用をお勧めしていますが、AIが社内になかなか浸透しない、活用がうまくいっていない、という声もよく伺います。これはなぜ起こるのでしょうか。
導入効果が想像できない
AIに単発作業をさせること、文章やプレゼン、画像を作成させるという利用効果は誰でもイメージしやすいものです。
しかし、自社の業務のどこにAIが活かせて、どのような効果が得られるのかをイメージすることは簡単ではありません。
どの業務プロセスにAIを組み込めるのか、これまで時間が取れずに人ができていなかったところをAIに作業させることでどう付加価値に転化していけるのか。
例えば、時間などの制約上、特定の案件に関してのみ行っていたデータの分析作業を、AI活用によって全案件に展開し情報として利用する、といったことを検討し、どんどんAIを使っていきましょう。
また、AI導入や活用による費用対効果の部分まで解像度高くイメージするのが難しいことも、AI活用が進まない一因だと感じています。
こういった部分は、コムデックにご相談いただければサポートも可能です。
現場でのAI活用が形骸化してしまう
業務効率化を目指してAIを導入したものの、現場ではあまり使われていない、といったケースもあります。
AI活用が形骸化してしまうのは、「負担感が大きい」ことと「効果検証が不足している」ことの2点が大きな理由だと考えています。
ミッション業務+αの負担感
ひとつは、「AIを使うことが作業を増やす」と捉えられがちなことが要因だと考えられます。
例えば、通常の入力作業に加えてAI利用のために他にも入力が必要(二重入力)であったり、通常作業に加えてここでAIを動かしてと作業が増えていたり……効果や価値は出るものの、ミッション業務プラスαになることで現場の負担感が増し、形骸化してしまいます。
この場合は、業務にAIを組み込む、従業員さんがAIを使っていることを意識せず裏側で勝手に動いているような仕組みを作ることが必要です。
効果検証不足
AIはただ使うだけではなく、どのような効果や変化が得られたか検証し、改善していくことが大切です。
人の作業をAIに振ったことでどれだけのコスト削減ができたか、AIによる新たなアウトプットによってもたらされた変化はあるか、どう変化したかをしっかり確認していきましょう。
検証の結果、AIを使っているけれどあまりうまくいっていない、思うように効果が出ていない、という場合には、AI活用の仕方を見直さなければなりません。
市場や顧客のニーズは日々変化していくため、それに伴って業務プロセスが変化し、kintoneもアップデートされているはずです。
そこにAIは追従できているでしょうか。
プロンプトやAIを組み込む場所、AIが扱うデータについてもアップデートできているか、変化に追従できているかをチェックしてみてください。
ここに漏れや遅れがあるのであれば、伸びしろです。修正や改良を進めましょう。
優秀な人材とAIを組み合わせたハイブリッド組織作りのポイント
2026年、AIの活用は当たり前になり、活用の優劣が業績に表れてくるでしょう。
AIをうまく活用するためには、「優秀な人材×AI」のハイブリッド組織づくりが重要になります。
ハイブリッド組織づくりを進めるためのポイントは、以下の2つです。
- 既存の業務フローのどこでAIを活用すると効果が出るかを明確にし、アップデートしていく
- AIが利用するデータにこだわる
業務フローの整理整頓と見極め、改良
AIを業務に組み込む場合、自社の業務フローのどこでAIを活用すると効果が出るかを明確にすることが不可欠です。
まずは、徹底した「業務フローの整理整頓」をおこないましょう。
既存業務について、誰がどのように、どのような目的で、何を使って、どのデータや情報をどうしているのか、どう進めているのかということを洗い出します。
各ツール内データのAPI連携や手動連携についても含めたフロー図を作成します。
フロー図ができたら、AIをどこに組み込めるかを見極めます。
ポイントとなるのは以下の3つです。
1.代行業務
入力や分析、比較など、人がやっている作業の置き換えです。
議事録作成や文章作成、OCR、会議資料作成など、すでにたくさんの企業で活用が進んでいる部分でしょう。
2.付加価値業務
〇〇さんに聞かないとわからない、といった属人化業務は、業務を停滞させたり、品質を不安定にしたりする要因、ボトルネックになりがちです。
どういうロジックで判断、意思決定しているのかを整理し、AIを組み込むことで、アウトプット品質の安定やスピードの向上が見込めます。
3.費用対効果の想定
代行業務や付加価値業務へのAI活用により、作業コストは削減できます。生産性を上げるためには、作業コスト削減のみならず、顧客満足度アップや顧客貢献にもAIを活用していくという視点が必要です。
具体的には、新規・既存顧客への営業活動、顧客拡大のためのマーケティング、顧客獲得時に価値を提供できる人材を揃えること(採用)などにAIを活用できると、顧客への付加価値提供や貢献に繋がり、組織の成長、企業の成長が実現していきます。
営業や採用、評価などの業務フローにAIを組み込む具体的な考え方や作業は以下の記事をご覧ください。
▼自社データで一歩先を行くAI活用事例|第31回DX担当者勉強会
残すべきアナログ業務
AIにできることは任せる一方で、残すべきアナログ業務、人がすべき業務があります。
それは人と人の生の関わり、そして接客やサービス提供したことで初めてわかるデータの蓄積と一次解釈したデータを生み出すことです。
どのような接客をしたら喜ばれた、満足された、不満足だったようだ、などはAIではなかなか推し量れません。
顧客の反応や対応は事実として記録、蓄積していきましょう。
さらに、生の反応を人間が解釈し、検討してこれもデータ化することで、AIのアウトプットがよりレベルアップします。
付加価値の高い業務は総じて「人間に始まり人間に終わる」とコムデックは考えています。
AIや技術が進化し効率化が進んでも、人と人がコミュニケーションを取りながら作り上げていくものにAIでは勝てません。
人とのコミュニケーションや接客といった関わりにより多くの時間を割くべきです。
そのためにも、AIができる作業はAIに任せて効率化し、作業コストを下げていきましょう。
このようにして、ハイブリッド組織は醸成されていくと考えています。
業務データのレベルアップ
良いAI活用には、その元となる良いデータが不可欠です。
ここで言う良いデータとは、誰もが手に入れられる一般的なものではなく、自社にしかない独自のデータや一次解釈データを指します。
1.データの均質化
AIがデータを上手く処理するためには、データの状態も重要です。
入力ルールを適切に設定してデータの品質を整え、過去の履歴もそれに合わせて調整し、蓄積していく必要があります。
2.CRM(顧客関係管理)の活用
住所や担当者氏名・部署などを登録した一般的な顧客リストではなく、顧客とのあらゆる接触をデータとして蓄積、管理していくことが意味のあるCRMです。
電話やチャットなどコミュニケーションの内容や過去の提案と結果、クレームなど、ありとあらゆる情報は自社にしか持ちえないものです。
こういったものをしっかりデータ化し、活用していきましょう。
AIを活用した業務改善の具体例
ここからは、業務フローの整理整頓とAIが活かせるフローへの改良、そしてデータの整理・蓄積を進められて、実際に生産性がアップしている事例をご紹介します。
建設業×AIで予算作成・原価管理をスムーズに
とある建設業の企業では、利益に直結する原価管理業務へAIを活用しています。
営業・施工・納品・アフターサービスまでの業務を一貫してフロー図にし、全体にAIを組み込んで効率化を推進。
担当者の経験値によってブレのでやすい実行予算案作成(営業)や予実集計と原価超過見込みを自動でチェックしアラートする仕組み(施工)、納品リストの自動生成やアフターフォローの改善点出し(納品)などをAIが行っています。
業務の進行に応じて、AIが自動で必要な情報をアウトプットしてくれるため、人はそのアウトプットを使ってミーティングや検討を重ね、実行していく、という体制が整った結果、以下の効果が出ています。
具体的なフローや実際のAIのアウトプットなどについては、以下の記事でご紹介しています!
▼AIで実行予算案を自動作成!建設業のベテラン属人化を解消する方法
▼工事原価の異常をAIが早期発見!コムデック 生成AI for kintoneで構築する建設業の原価アラートシステム
社会保険労務士×AIで提案力アップを実現
社労士関連では、3号業務にAIを活用されている事務所があります。
3号業務は社労士さんからの提案行動が主体となるもので、属人化が起こったり、後まわりにされたりしがちです。
さらに、提案先のピックアップと提案内容を練る際には、担当者とマネージャーの間でのやり取りが多くなり、互いの時間と労力をかなり使っていました。
AIは提供サービスの記録や過去の提案と結果など蓄積されたものを分析し、提案先の候補とその理由をリストアップ。
担当者が提案先と内容を決定したら、提案資料原案もAIが作成します。
実際の提案についてもAIが文字起こしと分析を行うため、フィードバックを受けて次の提案や他顧客への提案にも展開できる仕組みです。
結果として、以下のような効果が得られています。
詳細はこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintone × AI で既存顧客への追加提案を自動生成する方法
製造業×AIで月30時間の効率化
製造業では、在庫管理・発注・工程管理にAIを組み込んで効果が出ている事例があります。
製造業の在庫管理は、基本的であり重要ながら、プロセスが多い作業です。ノウハウの蓄積があり、チェック項目が固まっていても、人的エラーが起きやすくなります。
AIを在庫管理業務の各所に組み込むことで、都度チェックが行われてミスが削減し、品質が向上。
さらにAIは、入力されたデータから在庫の動きを分析・予測。原材料発注や製造進行の提案をしてくれます。
製造工程の遅延リスクについても予測し、報告をあげてくれるため、人は各アウトプットを見て対応を検討、判断し、進めていけるというフローです。
製造業の場合、この時期にはこの商品がよく売れる、こういった状況ではこの商品が動く、といった経験則があることも多いでしょう。
そういった事実は貴重な独自データです。
kintoneにデータとして入れることで、AIが分析や予測をする際に活かすことができます。
その結果、この企業では以下のような生産性を向上させる効果が得られています。
AIを在庫管理に活用するメリットや手順、プロンプト例などは以下の記事でご紹介中です。
▼AIで在庫管理を効率化!導入するメリットや具体的な方法を解説
介護福祉業×AIで支援計画作成を自動化
介護福祉業の企業では、利用者様ご家族との面談資料や支援計画書の作成、そして面談データの活用などにAIを組み込んでおられます。
これまで利用者様1人当たり1,2時間を要していた利用者様ご家族との面談資料作成が3分に。
日々のサービス提供データをもとにAIが作成することで、大幅に時間を削減できました。
ご家族との面談内容もAIが文字起こしと分析をし、利用者様に関する大切なデータとして蓄積しています。
個別の支援計画書についても、日々の記録やご様子、そして面談のデータからAIが原案を作成。
これをもとにカンファレンスを実施し、手直しをして、実際の支援計画書を完成させるため、時間削減以外にも、顧客満足度に繋がる効果が出ています。
事務作業の効率化を図り、品質向上と人がやるべきことのバランスが取れるようAI活用を推進された様子はこちらから。
▼kintone × ChatGPTで支援計画書を自動作成|介護福祉事業 株式会社ワンセルフさまの開発事例
AIを活かす会社は「データを活かす会社」
AIを使うことは当たり前の世の中になりました。
しかし、企業においては、AIを使えば成果が出る、業績が上がるというわけではありません。
AI活用を全社的に推進し、「優秀な人材×AI」のハイブリッド組織を作っていくことが不可欠です。
実現のために必要なことのひとつは、既存業務フローの整理とアップデート、そしてAIが扱うデータの整理や充実、独自データや一次解釈データの蓄積を進めることです。
もうひとつは、AIに任せられる部分はどんどん任せて、付加価値の高い業務、人にしかできない業務に時間とパワーを使える環境の整備と実施です。
御社の独自性をしっかりと残しながら成長を加速して、人事生産性アップを目標とするのはもちろんのこと、社内全体でkintone×AI活用を当たり前にし、お客様に良いサービスを提供できる会社を目指していきましょう!


















