派遣社員の人事評価や賃上げ検討にAIを活用する方法・おすすめツールを紹介

派遣社員の人事評価は、本人・派遣先・派遣元の情報を統合する必要があり、管理が複雑です。
そのため、本人の申し出を受けてから初めて賃上げに動く、最低賃金が変わってようやく動く、というケースも多いのではないでしょうか。
しかし、人手不足の現代において、派遣社員のモチベーションを維持し、安定して就業してもらうためには、適切な人事評価や積極的な賃上げが不可欠です。
そこでおすすめなのがAI活用です。
本記事では、派遣社員の人事評価や賃上げの検討にAIを活用する方法や、おすすめのツールを解説します。
この記事でわかること
- 派遣社員の人事評価や賃上げ検討にAIを活用する方法
- 派遣社員の人事評価や賃上げ検討でAIを活用する際におすすめのツール
こんな人におすすめの記事です
- 派遣社員の評価を適切に実施し、モチベーションを維持・向上させたい方
- 派遣社員の評価や賃上げ検討の業務を効率化したい方
目次
派遣社員の人事評価が難しい理由
派遣社員の人事評価には、直接雇用とは異なる難しさが大きく3つあります。
1つめは、勤務先ごとに求められる業務内容やスキルが異なることです。
同じ派遣社員であっても現場によって担当する業務や重視されるスキルが大きく変わるため、同じ基準で評価を行うことが難しくなります。
2つめの理由は、派遣元の担当者が現場での働きぶりを直接確認する機会が少ない点です。
直接雇用であれば基本的に上司が同じ職場にいるため、日々の勤務態度やちょっとした変化も把握できますが、派遣社員の場合は離れた場所で働くためこれらを確認しづらくなります。
3つめの理由として、派遣社員は正社員をサポートする業務を担うケースが多く、成果を数値で測定しづらいという点も挙げられます。
これらの要因が重なることで、派遣社員の人事評価は難しくなり、結果的に賃上げの判断にも影響を及ぼしてしまうのです。
派遣社員に対する人事評価や賃上げの必要性
派遣社員の評価が難しいからといって、できなくても仕方がないという訳ではありません。
むしろ、近年は人事評価や賃上げの必要性が増してきています。
このセクションでは、その必要性について詳しく解説します。
人材の獲得競争が激化している
日本は労働人口が減少しているため、派遣市場でも人材の獲得競争が年々激しくなっています。
優秀な派遣社員を確保するには、他社よりも魅力的な待遇や、公平な評価制度が欠かせません。
適切な人事評価や賃上げを実施すれば、派遣社員のモチベーションが高まり、定着率の向上を実現できます。
これにより、派遣会社の収益安定や信頼獲得にもつながるため、評価制度と賃上げは経営戦略上の重要課題と言えます。
最低賃金が上昇している
近年、毎年のように最低賃金が改定され物価も上昇を続けているため、給与水準の見直しが急務となっています。
これは派遣社員も例外ではなく、最低賃金ギリギリの給与で生活が安定しなければ離職のリスクが高まるでしょう。
また、仮に最低賃金は上回っていたとしても、自分の時給が何年も変わらない状況が続けばモチベーションを維持できません。
そのため、最低賃金の引き上げに関わらず適切な人事評価を行い、それに応じた賃上げを実施することが重要です。
法律で義務付けられている
2020年4月の派遣法改正により、「同一労働・同一賃金」の原則が導入されました。
これは、仕事内容が同じである場合、正社員と派遣社員といった立場の違いだけで不合理な待遇差を設けてはならない、というものです。
また、派遣元事業主には段階的かつ体系的な教育訓練を実施し、派遣社員のスキル向上を支援する義務も課されています。
さらに、雇用の安定を図るために、正社員登用の推進や、新たな派遣先の確保も求められるようになりました。
これらの義務を果たす意味でも、適切な人事評価とそれに基づく賃上げは不可欠になっています。
派遣社員の人事評価のプロセス
派遣社員の人事評価を適切に行うには、本人・派遣先・派遣元の3つの視点からの評価が必要です。
まず、本人による自己申告は、日々の成果や成長意欲、キャリアビジョンを把握する重要な手がかりとなります。
適切な目標設定を行うことで、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
また、派遣先からの評価は、現場で実際に業務にあたる立場からのフィードバックという位置づけです。
作業スピードや正確性、協調性といった実務面を客観的に評価します。
さらに、派遣元による評価は、遅刻や欠勤といった勤務状況の確認だけでなく、中長期的な成長度合いを見極め、本人の自己申告や派遣先からの評価を調整する役割を担います。
派遣元においては、三者の評価をもとに適切なフィードバックを行い、派遣社員の定着とスキルアップを支援していくことも求められます。
派遣社員の人事評価や賃上げを行う際のポイント
派遣社員の人事評価や賃上げを行う際は、以下の3つのポイントが重要になります。
派遣先・派遣元で連携する
派遣社員の業務状況を日常的に把握しているのは派遣先企業ですが、人事評価や賃上げの判断は派遣元の責任でもあります。
そのため、評価基準や観点を派遣先と派遣元で事前にすり合わせ、一貫性を持たせることが重要です。
定期的にフィードバックや評価シートを共有すれば、情報の透明性が高まり、派遣社員も安心して働けるでしょう。
さらに、賃上げを検討する際は、派遣料金の見直しや値上げ交渉も避けて通れません。
派遣先との連携体制を強化することが、適切な評価の実現や長期的な信頼関係の構築につながります。
本人にフィードバックする
人事評価や賃上げを行う際には、結果を一方的に伝えるのではなく、本人の納得感を重視することが大切です。
強みや課題を具体的に伝えることで、派遣社員が自らの成長を実感し、キャリア形成に役立てられます。
また、賃上げの判断理由を明確に説明すれば、信頼関係を築きやすくなります。
フィードバック面談を定期的に行うことで、モチベーションの向上と定着率アップを実現しましょう。
AIを活用する
先ほども解説した通り、派遣社員の人事評価を行う際は、本人・派遣先・派遣元などさまざまな方面からの情報をまとめて判断しなければなりません。
これらを人の手で行うと相当な時間と労力がかかってしまいますが、AIを使えば効率的に進めることが可能です。
AIを活用すれば、勤怠データや業務成果を数値化したり、他のスタッフとのバランスを調整したりしながら、客観性の高い評価が可能になります。
AIは人間の感情や主観に左右されにくいため、評価に対する納得感が向上することもメリットです。
さらに、AIなら担当する派遣社員の人数が多くてもデータ処理や評価作業の時間を大幅に短縮できるため、担当者の負担も軽減できます。
公平性と効率化を両立できるという意味で、AI活用は非常に有効な手段と言えます。
派遣社員の人事評価ならkintoneがおすすめ
派遣社員の人事評価を効率的かつ公平に行うなら、「kintone(キントーン)」の活用がおすすめです。
kintoneを使えば、派遣社員の基本情報や勤怠データに加え、本人・派遣先・派遣元の評価情報をワンストップで管理できます。
kintoneは連携サービスも豊富なため、アンケート形式で評価フォームを配信し、派遣社員や派遣先担当者に直接入力してもらうことも可能です。
評価項目やワークフローも柔軟にカスタマイズでき、自社の評価制度に合わせた運用が簡単に実現します。
さらに、集めたデータをグラフや一覧表で可視化することで、結果を直感的に把握できる点もkintoneの強みと言えます。
AIとの連携もできるため、前述の通り評価の客観性を高め、派遣社員の納得感とモチベーション向上につなげることも可能です。
kintoneを使った人事評価管理については、こちらの動画でも詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
kintone × AIで派遣社員の人事評価をする手順
ここからは、kintoneとAIを連携して人事評価をする手順を解説します。
はじめに、人事評価に必要なkintoneアプリとして「派遣社員一覧アプリ」を用意します。
このアプリでは、派遣社員の氏名、時給、経験年数、保有資格、評価などを管理します。
次にkintoneとAIツールを連携して、AI設定アプリに参照元アプリやプロンプト(AIへの指示文)を登録します。
プロンプトを作成する際は、評価の判断材料を具体的に設定するのがポイントです。
例えば、トラブル対応件数や研修状況、クレーム件数などがインプット情報として挙げられます。
また、出力形式についても「総合評価は100点満点で評価」のように具体的に指示することで、よりイメージ通りの出力が可能になります。
以下が実際のプロンプトです。
今回は「時給アップを検討すべき派遣社員」や「フォローアップが必要な派遣社員」の抽出も指示しました。
あなたはビルメンテナンス会社の管理者向けに、スタッフ評価データをもとに人事施策を提案するAIアシスタントです。 データを読み込み、以下の要件に沿ってレポートを作成してください。 ――― 1. 派遣社員のみ抽出する。2. 各スタッフについて、総合評価(100点満点)、経験年数、過去トラブル対応件数、備考(研修状況/クレーム実績など)を確認する。3. 「時給アップを検討すべき派遣社員」 – 基準例:総合評価が80点以上かつ経験年数が5年以上、あるいは過去トラブル対応件数が多くても備考に「出戻りあり」「重大クレーム対応後の改善実績あり」などが記載されている場合 – 各候補者ごとに「氏名」「社員ID」「現時給」「総合評価」「推奨時給(目安)」と、その判断理由を簡潔に記載。4. 「フォローアップが必要な派遣社員」 – 基準例:総合評価が60点未満、研修中で現場習熟が進んでいない、頻繁な欠勤・トラブル対応が備考に示唆されている場合 – 各対象者ごとに「氏名」「社員ID」「現時給」「総合評価」「フォローアップ内容(例:追加研修、安全講習、OJT強化等)」と、その判断理由を記載。 5. 上記2つのリストをまとめ、「管理者への提言」として最終的なコメントをひとこと添える。 |
このプロンプトを元に出力した結果がこちらです。
プロンプトの通りに対象者をピックアップし、推奨時給やその判断理由も明確に示してくれています。
結果はアプリに自動保存されるため、データベースとして今後も活用可能です。
派遣社員の人事評価にAIを導入して、適切な賃上げを実施しよう!
派遣社員の人事評価や賃上げは、人材の獲得や定着、法改正など、さまざまな観点で重要なテーマとなっています。
直接雇用の人事評価と比べて難しい側面もありますが、AIをうまく活用して、公平で効率的な運用を目指しましょう。
コムデックでは、さまざまな業種でのkintone × AI活用をまとめた事例集をご用意しております。
以下のページから無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。