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コムデック万博2025 楠木建氏・マイクロソフトエバンジェリスト西脇氏登壇!経営×AIの最先端

コムデックでは、2016年から毎年三重県伊勢市でコムデックのお客様向けのセミナーを開催しています。

2022年まではどちらかと言うとIT活用を啓蒙・促進するセミナーでしたが、今ではただITツール活用を支援するだけではなく、コムデックが支援させていただいているお客様に「より良い経営とは何か」をじっくり考えていただく機会として開催しています。
これはコムデック自身が常により良い経営を模索し、経営革新企業を目指す中で、お客様と共に成長していきたいと考えているためです。

2025年5月21日に開催した今回は、昨年までの「IT活用戦略セミナー」から「コムデック万博」にリニューアル。
著書「ストーリーとしての競争戦略」で知られる経営学者の楠木建氏や、日本マイクロソフトのエバンジェリストである西脇氏をゲストスピーカーに迎え、経営の話からAI活用の話までしっかり4時間の学びの場となりました。

全国から160名近いを超えるお客様にお越しいただいた、”万博”の様子を速報でレポートします!

「セミナー=講師に向かって長机が並ぶ」を撤廃!ビジネスセミナーらしからぬ演出も

会場に到着してまず体験いただくのは、スムーズな受付対応。
今年もQRコードをかざすと、その場で受講票がリアルタイムで印刷される受付システムを導入しました。

この受付システムの詳細は以下の記事でご紹介しています。
▼kintoneでイベントの受付システムを構築!QRコードを読み取ってその場で印刷が可能に

受付を済ませて会場に入ると、従来のビジネスセミナーとは一線を画す光景が広がります。
昨年も好評だった軽食ケータリングや光・音による演出が来場者を迎え、華やかな雰囲気の中でイベントがスタート。

そして今年の新たな試みとして導入されたのが、スクール形式ではなく丸テーブル形式のレイアウトです。

「セミナーは話を聞くだけの場ではなく、参加者同士が学びを共有し合う場であってほしい」という社長の想いから、丸テーブルでの対話を中心に据えた設計に刷新しました。

丸テーブルにした背景やこだわりは、こちらの動画でもご覧いただけます。

経営にAIを活用するために必要なこととは

一緒に企業の成長や経営について考え、学び、気付きを実践に生かしていただくためのイベントにしたいという生田社長の言葉で始まったコムデック万博2025。

ここからは、実際にセミナーで登壇者がお伝えしたことを簡単にご紹介していきます!
生田社長の詳しい講演内容は後日記事や動画もアップ予定となっておりますので、是非そちらもご覧ください。

楠木建氏が語る「戦略の本質」――掛け声ではなく、長期利益と“違い”をつくる経営へ

まず基調講演で登壇したのは、多数の著書を持つ経営学者の楠木建氏。

数々の企業戦略を分析し続けてきた楠木氏が今回の講演で強調したのは、“新しさ”や“時流”に踊らされる経営ではなく、普遍的な競争戦略の重要性でした。

「毎年が激動期」は本当か?

いま「ニューノーマル」「激動の時代」という言葉が経済雑誌やネット上を中心に飛び交っていますが、実はそれは今に始まった話ではありません。
楠木氏は、日本の経営者に最も読まれているという雑誌『日経ビジネス』の創刊号(1969年)からすべてを調査。その中で「戦後最大の危機」は23回も登場していたといいます。

「これだけ人間が活動している以上、“安定”なんてありえない。むしろ“変化し続けること”こそが普通」と語り、表層的な言葉に振り回されない姿勢を訴えました。

経営に必要なのは掛け声ではなく“論理”

「商社3.0」「インダストリー4.0」「ソサエティー5.0」……こうした掛け声は耳目を集める一方で、具体的な意味や行動につながる戦略が伴っていないことが多く、ただの掛け声になってしまっていると楠木氏は指摘します。
掛け声は戦略が無い経営者の逃げ道になってしまうとして「経営者は絶対に掛け声をかけてはいけない」「必要なのは論理的な戦略である」……と、経営者としては耳が痛い、目を覚まさせるような言葉もありました。

では戦略の目的は何かと言うと、 楠木氏は「それは利益。特に長期利益である」と即答しました。

利益があればこそ、顧客満足や社会貢献、人材投資が実現できる。逆に言えば、利益がなければどれも成立せず、ESGのような取り組みも長期的な利益があってこそ価値があると説きます。

“違い”をつくるのが戦略

楠木氏が講演の中で特に力を入れて話されていたのは、“Better(より良く)”ではなく“Different(まったく違う)”を生み出すことの重要性です。

例えば、かつてのビジネスクラスのシートは135度までしか傾けられませんでした。しかしある航空会社が155度まで傾けられるシートを作ったところ、様々な航空会社が次々と傾ける角度を上げていき、最終的にはフルフラットシートになりました。

この「ビジネスクラスのシートを180度まで倒せるようにする」のは他社と比べたときの「Better」な違いですが、そこには終わりがあり、やがて競合に追いつかれるいたちごっこになります。

一方で、“Different”な戦略とは、競合とは全く異なる方向性で価値を生み出すことです。
楠木氏が挙げた例をご紹介します。

  • レッドブル:疲れを癒やすドリンクではなく、ゼロの状態から気分を上げるという新しい概念
  • サウスウェスト航空:ハブ空港を使わない、短距離、機内食の廃止等、LCCの原型を構築
  • DELL:見込み生産をせず、注文を受けてから作る「直販モデル」で在庫リスクを排除

これらの企業に共通するのは、「しないことを決めた戦略」、つまりトレードオフを選び抜いた意思決定です。

楠木氏は、戦略とは経営者が決めるべき“やらないことの選択”だと語ります。そしてそのやらないことは現場主導では決めることができません。

一方で、Betterな差を生む優れた施策や改善は現場の方が思いつきやすいということを星野リゾートの例を挙げて解説。しかしそれらの差はいずれ他社に追いつかれてしまうため、戦略はトップ、施策は現場――この分業こそが、強い経営を支えると強調しました。

経営の原点に立ち返る

最後に楠木氏は、「経営はゼロサムゲームではない」と語ります。
複数の勝者が同じ業界に共存できる世界で、例えばファーストリテイリングとZARAであれば同じ服飾業界ではありますが、取っている戦略が異なるため、現時点においてはどちらも勝者であると述べました。

企業が生み出すべきなのは“新しい選択肢”であり、「その企業に何が無いか」「何ではないか」にこそ、戦略のヒントがあると結びました。

西脇資哲氏が語る「生成AIと経営の未来」――AIは業務効率化の枠を超えて人材・経営戦略の中核へ

コムデックが開催した最初のIT活用戦略セミナー(2016年)にもゲストスピーカーとして登壇いただいた、日本マイクロソフトのエバンジェリスト・西脇資哲氏。

冒頭、「もはや生成AIは“無くてはならない存在”になっているはずです」と語り、生成AIを導入していない企業は、今後経営そのものに影響が出る可能性があると警鐘を鳴らしました。

生成AIが変えた“使い方”の常識

生成AIで何ができるのかを”ワクワク感を持って伝えたい”と語る西脇氏が最初に挙げた生成AIは、2022年11月に登場したChatGPTです。

西脇氏は「ITの世界では2年半前は“昔”」と語りつつ、そこからの進化と普及スピードの速さを解説しました。
マイクロソフトも2023年に「Copilot」をリリースし、今やアメリカではWordやExcelと同等のツールとして認識されていると紹介しました。

生成AIの最大の特長は、「人間側が歩み寄らなくても、自然言語でAIに指示ができる」という点。従来のように専門人材を育成する必要がなく、社員全員が即戦力としてAIを使える時代になったと強調します。

講演では、実際にCopilotの音声入力によるデモンストレーションも披露。
話しかけるだけで資料作成や要約、アイデア出しが瞬時に行われ、「“できるけど時間がかかる仕事”を数秒で終わらせる力」を目の前で見せつけました。

生成AI活用は“人材戦略”であり“経営戦略”

総務省の調査では、日本の企業における生成AIの導入率は世界的に見てまだ低い水準にあります。特に従業員100人以下の企業では、個人レベルでの利用が多く、企業としての活用には至っていないケースがほとんど。

これには、会社の機密情報等の流出リスクが伴います。

西脇氏は、「生成AIの活用は、もはやIT戦略ではなく“人材戦略”、そして“経営戦略”」だと明言。アウトソースしていた業務の一部を、生成AIの力で自社内のリソースとして回収できる時代が来ていると述べました。

たとえば、AIで作られた楽曲には人間と変わらない表現力やブレスノイズが入り、さらには動画生成やリアルタイム音声通訳などの実例も紹介。声のトーンまで再現して翻訳する技術など、「AIが人に寄り添い、自然なインターフェースとして機能する未来」が、すでに始まっていることを示しました。

生成AIを活かすには“使い方のポイント”を押さえよう

西脇氏は、生成AIの活用ポイントとして以下を挙げました。

  • これまでの「検索」のやり方を変える(自然言語で検索する)
  • 生成AIと「会話を重ねる」
  • 100%をAIに求めない、人間と同じように「足りない部分を補う」姿勢が必要

特に「検索のやり方を変える」については、「AI 活用 事例」のように検索していませんか?そして思った通りの検索結果が得られず困ったことはありませんか?という問いかけで各テーブルから共感の声が挙がっていました。

こうした理解と対話を通じて、誰もが専門性を持った仕事を“指示”によって遂行できるようになる。**中小企業にとってのチャンスが、すぐそこにある**と語り、講演を締めくくりました。

コムデック 生田社長が語る「この1年の変化と、これからのAI×業務改革」

最後に登壇したのはコムデックの生田社長。
コムデックの近況もお伝えしつつ、kintoneを軸とした業務改革の深化と、AI活用の実践的なステップをお伝えしました。

恒例となったコムデックの1年間の取り組み・変化

この1年、コムデックが特に力を入れたのがkintoneによるダッシュボード機能の強化です。従来Excelで行っていた業績管理をkintoneへ移行し、リアルタイムで数値が見える体制を構築しました。

その狙いは、「システムを導入して終わり」ではなく、組織として的確な意思決定を行えるようにすること。
お客様にも、kintoneを“使う”ことだけでなく、“活かす”方法まで提案していく姿勢が求められていると語ります。

業績管理のkintone化については、以下の事例で詳しくご紹介しています。
▼kintoneでリアルタイムな予実把握による先行管理を実現!エクセルより見やすい先行管理表の仕組みを紹介

kintoneのモバイル版が「使いづらい」と感じるケースが多いことにも触れ、実際にモバイルでの活用を前提にしたカスタマイズに挑戦したことも共有されました。

また、昨年のIT活用戦略セミナーで紹介した「フロントエージェント(トップ営業の接客の分析、再現)」は、実用難易度の高さからいったん卒業し、今年はより実践的なAI活用へと舵を切りました。

具体的には、商談の音声を録音→文字起こし→kintoneに保存→内容を分析するという流れを整備し、営業活動の記録と振り返りの精度を向上。
AIを「高度な仕組み」ではなく、「すぐに使える支援ツール」として捉え直したことをご紹介しました。

成長企業に共通する“無形資産への投資”

そもそも成長企業とは何か。
生田はその定義として、「業務効率化の先に、蓄積したデータを活用して付加価値を生み出す企業」であると語ります。

具体的には、CRM(特定多数への継続的アプローチ)とAIを組み合わせることで、個別最適化された提案・対応が可能になる事例を紹介。

介護業や製造業など、業種を問わず、顧客理解を深める仕組みづくりが進んでいる様子を伝えました。

介護業のAI活用事例は、以下の記事で詳しく解説しています!
▼kintoneとChatGPTを連携して介護記録に基づく資料作成を効率化|介護福祉事業 株式会社ワンセルフさまの開発事例

「いい会社には、いいお客様=ファンがいる」と語る生田は、お客様自身のこだわりや価値観を理解し、それに寄り添った支援を続けていきたいと締めくくりました。

話を聞くだけじゃない!今年から”気づきタイム”を導入

今年のコムデック万博では、セミナーの新たな取り組みとして、各講話のあとに10分~15分の「気づきタイム」を設けました。
話を聞くだけで終わらせず、その場で感じたことや学びを参加者同士で共有し合う――そんな時間があることで、理解がより深まり、実践への一歩を踏み出しやすくなります。

この取り組みを支えたのが、丸テーブルのレイアウトです。
各テーブルでは名刺を交換しながら、それぞれの視点で得た気づきや感想を言葉にし合い、活発な意見交換が行われていました。

また、参加者を代表して、社労士法人とうかいの久野代表や、株式会社アイエスイーの高橋社長にも、全体に向けて感想を発表いただきました。

初めての試みではありましたが、「インプットとアウトプットをセットで行う」ことで、より深い学びとつながりが生まれた時間となりました。

講演間のミニセミナーではkintone×AIの最新情報をお届け

今回の万博では、講演の間の休憩時間でAI活用に関するミニセミナーを開催。

サイボウズの方をお招きし、リリースされたばかりのkintoneAIラボの検索AIでできることや、これからリリース予定のアプリ作成AIをご紹介いただきました。

また、kintone芸人として日々皆様に便利なkintoneの使い方をお伝えしているサタからも、コムデックが自社開発したkintone×AIの機能をご紹介。
聴講いただいたお客様からは、早速「自社でも使ってみたい!」というお声が聞かれました。

懇親会やオフィスツアーまで、学びたっぷりの2日間

セミナー後には、会場を移して懇親会も開催いたしました。

万博に引き続き、セキュリティのミニ講演やクイズ等、企画盛りだくさんでお届けした懇親会では各テーブル大いに盛り上がり、他社の業務改善やIT活用等、様々な意見交換をしていただくことができました。

 

また、セミナー翌日には、希望者にコムデック社屋にお越しいただきオフィスツアーを実施しました。

コムデックがITを活用しながらどのように業務を行っているかを体感いただき、取り入れられそうな部分はお写真も撮っていただく等、自社に持ち帰っていただける実りの多い2日間となりました。

万博は”自社の先を見通す”ための機会。来年もお待ちしております!

コムデック万博を、自社の先を見通し成長を目指すきっかけにしていただきたいと語った生田社長。

コムデック万博は、来年も「伊勢からITで日本を元気に」すべく、伊勢の地で開催予定となっております。

コムデックの新しい挑戦等もお伝えできるように尽力してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします!

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この記事を書いた人

生田 智之

『DXの第一想起者』

日本人の心のふるさとである”三重県伊勢市”を拠点に、中小企業のDX化を支援しています。 kintoneをはじめとする、各社に合ったクラウドサービスの提案から導入、伴走まで一貫したサービスを得意としています。 また、youtubeではkintoneのノウハウを大公開する「kintone芸人」として活動しています。 「DX化したいけど具体的なイメージができない」「こうなりたい!はあるけど手段がわからない」…等の想いをお持ちの企業様、是非一度ご相談ください!

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