自社データで一歩先を行くAI活用事例|第31回DX担当者勉強会
コムデックでは、四か月に一回、弊社のお客様向けに「DX担当者勉強会」を開催しています。
DX担当者勉強会では、人時生産性の向上や新規市場の開拓、新しい商品・サービスの開発、お客様のファン化、従業員満足度の向上、賃上げ等に取り組みたい企業様が、それらを通じて「良い会社作り」を目指すための考え方や手段をお伝えしています。
第31回となる今回は、「自社データで一歩先を行くAI活用事例」と題し、複数のkintoneアプリを組み合わせた経営判断に直結する分析や、現場改善に繋がる具体的な活用方法をご紹介しました。
単なる業務効率化にとどまらず、売上や顧客満足度を高める施策の提案、人材配置や評価に基づく組織改善など、「データを経営に活かす」ための具体的なノウハウをお届けしましたので、ぜひご覧ください!
目次
最近のAIでできること
ここのところ、ビジネスにおけるAI熱がより加速しています。
10月に開催されたサイボウズデイズではkintone×AIの話題が多く聞かれましたし、ビジネスでもプライベートでもAIを使うことが当たり前になってきました。
例えば旅行計画を立てる時、日付と行きたい場所を入力すればAIが旅行プランを作ってくれますが、今ではホテルの予約作業までAIがおこないます。
動画作成AIも進化がすさまじく、例えばAIのSORA2に「こういうストーリーの動画を作って」と投げかければ、ハリウッド映画並みのアクションシーンを生成してくれるのです。
kintoneのAI機能も充実してきました。
例えば、「レコード一覧分析AI」は表示しているレコードの情報から、ワンクリックでレポートを生成してくれる機能です。
kintoneに蓄積したデータの活用をAIがサポートしてくれます。

さらに、望む人も多かったであろう「アプリ生成AI」も登場。
kintoneはノーコードでアプリが作成できるとはいえ手間が掛かりますし、難しいというお声もありましたが、この機能を使えばAIとチャット形式で会話していくだけで要件に合うkintoneアプリが生成されます。

従来のAIは、議事録起こしや文章調整など単純作業を担ってくれるものでしたが、今やAIは優秀な一人の従業員、共に働く存在になりつつあります。
AIが他のAIに指示を出して業務を進める、AI同士がチームを組む、というテストも進んでおり、今後人の働き方も大きく変化していくでしょう。
中小企業におけるAIの浸透はこれから
AIがめざましい進化を遂げる一方で、まだまだ自社の業務にAIが浸透している中小企業さまはほとんどありません。
文字起こしやPDFからの自動入力、お客様からの問い合わせ対応、日報分析など、「点」としての活用を始めたというお声は耳にするようになりましたが、業務全体にAIを活用していて最適化している、浸透しているというフェーズには至っていないようです。
しかし、冒頭でお伝えしたようにAIの進化は止まりません。
そんな中、我々中小企業は今後どのようにAIを活用していく必要があるのかを、コムデックの取り組みと共にご説明していきます。
業務フローにAIを組み込む、一歩先を行くAI活用とは
コムデックが考える「一歩先を行くAI活用」とは、業務にAIが組み込まれている、業務の流れの中でAIが当たり前に、自然に動いている状態を指します。
AIを業務フローに溶け込ませること、つまり、「スタッフはAIを使っていると意識していないけれど、実はAIをフル活用している状態」にいち早く達することが今後求められると考えています。
ここからは、現在コムデックにて実際におこなっているAI活用の様子を詳しくご紹介しましょう。
営業業務×AI:問い合わせ対応や提案、受注後のアクションプランもAIで
コムデックにおいて、AIが溶け込んでいる業務のひとつが「営業」です。
お客様からの問い合わせから契約成立(受注)まで、コムデックでは以下のようなフローでAIを活用しています。
この図の中でグレー色の部分は人が、ピンク色の部分はAIがおこなっている作業です。

具体的に営業業務の中でどのようにAIが動いているかというと、以下のようなステップで業務フローに組み込まれています。
これまでは受注が増えればその分営業スタッフの負荷はあがるものでしたが、そこにAIを活用することで件数が増えても負担が比例しない仕組みを実現でき、接客品質の維持が可能になります。
また、営業活動は属人化しやすい業務のひとつですが、AIを活用すればトップセールスの成功体験を再現する方法を分析・提案させることも可能です。
気をつけたいのは、AIの提案はその時点での最適解に過ぎない、ということ。
AIの提案に自身の強みを掛け合わせて、より良いものをAIと作っていけるよう取り組むことが不可欠です。
採用業務×AI:募集要項作成からAIとタッグを組んでいく!
営業と同じく属人化しやすい業務に「採用」があります。
どうしても面接者のバイアスがかかりやすく、また中小企業の場合には他の業務の片手間で採用業務を行うことが多いため、慎重な判断が必要にもかかわらず感覚値頼りになってしまいがちな業務です。
コムデックでは、そんな採用活動にもAIを活用。
AIを仲間に加えることで第三者視点が得られ、公平な判断を助けてくれます。

採用業務では、以下のように業務フローにAIを組み込んでいます。
| 1.募集要項作成をAIが作成 ― 採用の企画段階からAIを利用。「どういう人材が必要か」に合う募集要項をChatGPTで生成し、人がチェック ― 決めづらい年収条件なども、競合他社の情報を元にAIが提案してくれる ― 自社のアピールポイントもHPの情報などからAIから提案が受けられる ― どの採用ツールを使うかに合わせ、文言や項目を調整してもらうことも可能 2.届いた履歴書や資料の読み込み、今回の募集に合致しているのかという一次評価を実施 ― 受け取った書類のPDFをそのままkintoneに読み込んで処理できる ― 次のアクションの提案も 3.面接の内容をAIが文字起こし・要約を実施 4.インターンを実施した場合は、AIがメンターの評価を分析 5.資料・面接・インターン評価からAIが総合的な評価の判断 ― いくつかの評価軸を設定し、AIはそれぞれに対する評価と根拠を挙げる ― 実際に対応した人の所感なども加えて、人が最終判断をおこなう 6.採用活動に関する振り返り ― 良かった点・悪かった点をAIがまとめ、それを元に次の採用活動へ活かす |
募集要項作成段階からAIを活用することで、募集の仕方から結果まで一貫しての振り返りが可能になります。
また、資料や情報の作成・整理・記録・他社との比較…といった作業をAIに任せることで、採用担当者は最も重要な「自社に合う人を的確に選ぶ」ことに注力できるでしょう。
なお、応募者の情報をAIに読み込ませることになるため、AIに「情報を学習させない」よう設定しておくことはもちろん、募集段階でAIを活用する旨を記載する必要がある点に注意してください。
評価制度×AI:良き相談役かつフラットな評価役に
コムデックでは、社内の評価制度が整っていることは企業の成長に欠かせないと考えています。
ただ一方で、目標設定やその評価を定期的かつ適正におこなうのは簡単ではありません。
コムデックでは、その部分をAIに補助してもらっています。

コムデックでは、社内評価にMBOとコンピテンシーという2つの評価軸を設けています。
MBOは会社全体で達成すべき数値目標、コンピテンシーはMBO達成のために個人に課せられる行動目標を指します。
評価制度は各社運用が異なるため、あくまで一例ということで参考にしてみてください。
コムデックの「kintoneで管理する評価制度」について、詳しくはこちらの記事で解説しています!
▼kintoneで評価制度を管理する7つのメリット
評価制度の運用においては、以下のようにAIを業務フローに組み込んでいます。
| 1.目標設定(数値的な目標と行動目標)のチェック ― メンバーが立てた目標が、会社全体の目標に沿っているのか、などをAIがチェックし、それを元に目標値や内容を調整していく 2.目標達成に向けたアクションプランの提案 ― 目標を達成するためにどういった取り組みができるか、AIが具体的なアクションプランを作成・提案 3.PDCAサイクルの相談役 ― AIの提案内容を元に行動してみてどうだったか、どう改善するとよいかなどをAIに相談しながら、メンバーが行動していく 4.中間面談の事前チェック ― 評価者の負担軽減が目的。AIは、メンバー(被評価者)の振り返り・自己評価が評価者の求める内容に合致しているかを確認し、OKなら面談へ進む仕組みに 5.自己評価 6.最終確認 ― 中間面談と同じく、事前チェックを経てから評価面談へ進む |
人事評価制度のすべてをAIに任せるのはまだまだ難しいと言わざるを得ませんが、AIの活用によって評価者/被評価者の負担を減らすことは可能です。
最小コストで、最大の価値を生み出せる仕組みをAIと作っていきましょう。
中小企業の中には評価制度を取り入れていないという企業さまもあるかと思いますが、企業の成長にはメンバー個々の成長が不可欠であり、そのためには社内評価制度が重要です。
評価制度の整備やAI活用について、もっと詳細を聞きたい!などご興味があればコムデックにお問い合わせください。
業務にAIを溶け込ませるための具体的な作業
「議事録だけ」「分析だけ」というAIの使い方は、はじめの感動こそあれ、その後の展開があまり見込めません。
ここまでご紹介したように、業務の中へと自然にAIを溶け込ませ、活用していきましょう。
「業務フローにAIを組み込む」ためには、次の3つのステップで検討するのがおすすめです。
| Step①現在の業務フローを整理する Step②自動化・AIで人の業務をサポートする Step③付加価値向上ポイントにAIを活用する |
各ステップを詳しく解説していきます。
Step①現在の業務フローを整理する
まずは思いつくままに業務フローを書き出してみましょう。
各業務について「誰が」「何を」「どういった基準で判断しているか」まで深掘りし、言語化してみてください。
うまく言語化できない部分が出てきたら、そこにもAIを活用することで品質向上が目指せるかもしれません。
Step②自動化・AIで人の業務をサポートする
業務を完全にAIへ置き換えようとするとハードルは高くなりますから、「助けてくれるAI」としての配置をイメージします。
Step①で業務フローを書き出したら、「ここでAIがこういう情報を出してくれたら、ちょっとラクになるな」という部分をピックアップしてみましょう。
先ほどもご紹介したような「初案をAIが作る」「書類を読み込み、要点をまとめる」などがオススメです。
Step③付加価値向上ポイントにAIを活用する
Step①②を経て、属人化している業務も見えてきます。
担当の〇〇さんしかわからない、あの人しか結果がうまく出せていない…そういった業務(判断・文書・設計など)を、AIの活用によって平準化できると、品質が安定しますし、「この人がいないと!」という状況を回避できるようになります。
”一歩先を行くAI活用”を目指して
AI生成画像や動画など、AI関連でバズるものが増えてきましたが、AIはあくまで手段のひとつに過ぎません。
コムデックでは、AIはアウトプット成果の提供先・お客様がより幸せになるための道具だと考えています。
これから先は、点でのAI利用ではなく、業務フローの中で自然にAIが動く仕組みを持つことが重要です。
AIが組織や業務の中で働くよう設計することにより、人がすべきである「考えること」「判断すること」に集中でき、生産性アップ・付加価値アップが実現します。
コムデックとともに、AI業務フローの構築をぜひとも進めていきましょう!









