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バックオフィス全体の効率アップを実現するクラウド会計活用術

DX担当者勉強会vol.20 総務の業務改善を実現するクラウド会計とは

第20回となるDX担当者勉強会、今回はバックオフィスのDXをテーマに、第一講座で中小企業の総務が担う役割や総務全体の業務を効率化する方法についてお伝えしました。
総務の業務の幅広さはご理解いただけたかと思いますが、御社で実際に取り入れられそうなツールはありましたでしょうか?

第二講座では、総務の中でも特に多くの時間を占める経理に焦点を当てて、アナログな業務管理方法のどこに課題があるのか、従来の業務フローと、これから求められる業務フローをご紹介しました。

総務全体の業務効率化についてお伝えした第一講座はこちら!
▼生産性アップに向けたバックオフィス業務改善のためのIT活用術とは

経理の要は会計にあり!従来の会計ソフトの課題

経理の業務は「会計」を中心に成り立っています。
月別にしろ年別にしろ、収支を確定させるためには会計ソフトへの入力が不可欠
そのため、「経理に係る全ての数字を会計ソフトに集約する」必要があるのです。

ところが、この会計ソフトが中小企業の業務改善を妨げるポイントになってしまっているケースも少なくなりません。
何年も前から変わらない、同じ会計ソフトを使っているとどのような問題が起きるのか、またそれをどのように変えていけるのか、詳しくご紹介していきます!

アナログ経理業務の課題

数字を扱う会計業務は、複雑で神経を使う業務であるからこそ昔から変わらない方法を長く採用しているというのがありがちです。
5年〜10年前と変わらない会計ソフトや給与計算ソフトを使用しており、更にはそのソフトを利用できるのは会社にある数台のPCのみということも少なくありません。
扱える従業員が少ないため、変えることも引継ぎもできず困っている……御社もそのような状態になっていないでしょうか?

他にも、請求書が届くとエクセルで「支払予定一覧表」を作成したり、売掛金や買掛金のデータを一件一件会計ソフトに手入力していたり、さらに紙の経費申請を元に小口現金で精算してレシートは申請書や台帳に糊付けしたり、最終的には全ての書類を分厚いキングファイルに綴っていたり……このように、経理に関わる業務は「紙」「二重三重入力」が当たり前となっています。

これまでの総務の会計に関わる業務フロー

そんな「紙」や「二重三重入力」の要因となっているのは、今もなお中小企業の会計業務で一般的に使われているオンプレミス型の会計ソフト(以下「オンプレ会計ソフト」)であるとコムデックは考えています。

PCにソフトをインストールして利用するオンプレ会計ソフトは、基本的には社内の限定された端末での利用に限られていしまいます。
会計業務におけるチェックの計算・同じ情報の手入力が全ての処理で必要になり、二重三重入力というのも当たり前の作業となってしまうのです。

そんなオンプレ会計ソフトを中心とした、アナログ総務の経理業務を図にまとめてみました。

コムデック 第20回DX担当者勉強会

業務を大きく「支払」「請求」「経費精算」「給与計算」の4つに分類し、実際に過去のコムデックで各業務にどれくらいの時間がかかっていたのか、業務の流れと合わせてご紹介します。
御社では各業務にどれくらい時間がかかっているでしょうか?

①支払【所要時間:24時間】

請求書の場合:請求書が届く
→支払予定一覧をエクセルで作成
→オンラインバンキングで支払い
→会計ソフトに入力

引き落としの場合:口座振替のお知らせが届く
→記帳した明細と突合
→会計ソフトに入力

カード決済の場合:クレジットカード利用明細が届く
→明細とレシート(領収書)を突合
→一件一件仕訳登録

②請求【所要時間:12時間】

請求書を印刷して郵送
→売掛金の管理簿を作成
→売掛金を会計ソフトに入力
→記帳して入金を確認
→会計ソフトに入金を登録
→管理簿に消込

③経費精算【所要時間:8時間】

事前精算の場合:小口現金としてある程度社内に現金を置き、現金出納帳で管理
→申請に応じて払い出し
→出納帳に仮払記載
→実際の利用金額を本人が集計し報告
→経理担当がチェックの計算を行い、差額を戻す
→利用金額を会計ソフトに入力

事後精算の場合:個人が集計した経費精算書を経理担当が受領
→経理担当が再度チェックの計算
→月次で全従業員分まとめて集計
→金種表作成→個人に払い出し
→会計ソフトに入力

④給与計算【所要時間:8時間】

タイムカードをチェックし、抜け漏れを直して手集計
→給与ソフトに手入力して給与計算
→オンラインバンキングで金額を入力して支払い
→給与明細を配布
→住民税と源泉所得税が銀行窓口で支払い
→会計ソフトに入力

合計52時間、8時間の正社員だとしたら6.5日かかる計算です。
実際には一気にこれらの業務を実施しているわけではなく細切れでこなしているため所要時間は見えにくくなっていますが、経理の業務だけで月の勤務時間の1/3を使っていると考えると経理の占める業務負荷の大きさがわかります。

クラウド会計ソフトを活用した会計業務フロー

オンプレ会計ソフトを利用していると、どうしても紙・エクセルに頼った業務の仕組みにならざるを得ません。
いくら給与や勤怠管理といった周辺業務をクラウド化しても、最終的に会計ソフトに手入力が必要では、ピンポイントな業務改善にしかならず、効果も限定的です。
そこで、経理業務の中心となる会計ソフトからクラウドに切り替えることで、その周辺業務もペーパーレス・エクセルレスに変えていくことができます。

これからの総務の会計に関わる業務フロー

クラウド型会計ソフトはインターネット上にあるデータにアクセスをする為、ネット環境さえあればどの端末からでもどこでも利用ができるようになります。
会計以外のサービスともワンクリック・あるいは自動で連携できるところも、これまでのオンプレ会計ソフトとは大きく異なるところです。

セキュリティ対策の面でも、クラウド会計ソフトは通信が暗号化されていたり、バックアップサーバを分散していたりと安全性も向上しています。
社内の会計データのみならず協力会社や仕入先からの請求書も自動で仕分けをしてくれるため、最終的な修正のみ人の手で施すという流れになっています。

ワンクリックで完了する作業が増えるため、従来では当たり前だった二重三重の入力はもう必要ありません。
コムデック 第20回DX担当者勉強会

クラウド型の会計ソフトを利用した結果、「支払」「請求」「経費精算」「給与計算」それぞれの所要時間はどうなったのか、これもコムデックの実例でご紹介します!

①支払【所要時間:6時間】

請求書をそのままソフトに登録すればOCRで支払先や金額を自動的に読み取り、さらに上長承認後には自動で会計ソフトまで仕訳が連携されます。
登録した請求書を元にその月の支払いデータを作成するため、オンラインバンキングに出力したデータを登録するだけで振込が完了。
会計ソフト側ではオンラインバンキングやクレジットカードと連携し、明細を自動取得してくるため、手入力が不要になります。

②請求【所要時間:4時間】

別ソフトで作成した売掛データを会計ソフトに自動連携しています。
売掛データから請求書を自動作成し、お客様にはメールで請求書を送付しているため、月初に慌ただしく作業する必要がなくなりました。
銀行の明細データを取得し、発行した請求書に対して入金があったかどうかの自動消込を実施しています。

③経費精算【所要時間:0.5時間】

各自がスマートフォンから経費申請を行うため、紙の申請書や判子による承認は必要なくなりました。
経費は従業員ごとに自動集計されるため、手で何度も確認の計算をする必要はありません。集計データは給与に連携し、給与と一緒に清算するため現金のやり取りが発生しない仕組みになっています。これにより、社内の小口現金や出納帳は廃止となっています。
また、登録された経費の仕訳は自動で会計に連携されるため手入力は不要となっています。

④給与計算【所要時間:1時間】

勤怠ソフトからワンクリックで給与計算が完了します。
各種会社負担保険料や役員報酬等も自動で仕訳され、会計へ自動連携する仕組みです。

合計約12時間、アナログな処理だったころに比べて75%も時間を削減できました。

これからの総務の会計に必要なポイント

経理業務のデジタル化には、従来のオンプレミス型会計ソフトから、クラウド型会計ソフトに切り替えることがオススメであるとお伝えしました。
現在既に様々なソフトが市場にはありますが、実際にどんな機能を備えたソフトを導入していけば良いのか、それを選定する上では重要なポイントが2つあります。

クラウド会計のポイント①データ連携による自動入力

まず1つ目は、各機能が独立したシステムではなく、相互に連携することで自動的にデータのやり取りができることです。
例えば、経費精算から給与にデータを取り込む、経費精算や給与、請求書の登録から会計まで連携し、自動で金額や仕訳の情報が登録される等、経理業務を網羅していることが望ましい会計ソフトになります。
システム間の連携によって入力の手間が省かれるので、売上分析や原価分析、予算建て等のより会社にとって戦略的な業務に時間を割けるようになるのです。

クラウド会計のポイント②電子帳簿保存法対応で紙の保存不要

2つ目は、電子帳簿保存法の規定に対応したソフトを使うことです。
以前までは日々の業務の中で発生する書類は最低でも7年間は紙の状態で保管をしておく必要がありました。

しかし、ここ数年で社会のデジタル化が大きく前進したことにより、2022年からは電子帳簿保存法に対応した形で電子的に書類を保管をすると、原本は即時破棄をしても良いという内容に改正されたのです。
要するに紙で書類を保管する必要は無くなったのですが、紙を無くして電子帳簿保存法に対応した形で書類を保存するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

−電子帳簿保存法に必要な要件−

  • スキャナ保存の受取から2か月以内にタイムスタンプを付与、訂正または削除の防止に関する規定を定めること、電子データの修正・削除履歴が残るシステムを使うこと。
    のいずれかを満たす。
  • 「月日・金額・取引先」で検索出来る仕組みを利用すること。

オススメのクラウド会計ソフト「マネーフォワードクラウド」

「これからの総務における会計」にとって重要な2つのポイントを押さえ、なおかつ中小企業にとって必要な会計周辺機能を網羅的に備えているのが「マネーフォワードクラウド」です。
マネーフォワードクラウドは実際にコムデックでも利用しており、先ほどご紹介した「支払」「請求」「経費精算」「給与計算」など経理に関わる全ての業務サービスがオールインワンで揃っています。

各業務のデータが連携され、最終的には会計に自動的に仕訳が登録されるため、入力の手間が減り、業務効率が格段に上がります。
外部のサービスとの連携もできますので、現在使っているクラウド型の勤怠管理システムや人事台帳システム等とワンクリックでデータをやりとりできるのも大きな魅力の一つです。

マネーフォワードクラウドを利用するメリット

  • 機能間でリアルタイムにデータ連携が可能
  • 電子帳簿保存法に対応している(MF会計・経費・債務支払・Box)
  • 外部サービスとも連携できる
  • 会計以外の総務(労務や人事等)に必要な機能も備えているため、バックオフィス全体の効率化を実現可能
  • 端末使用制限なし
  • データ自動バックアップ、バージョンアップも無償で対応

コムデック 第20回DX担当者勉強会

マネーフォワードクラウド経費・給与の利用事例

実際に、マネーフォワードのデータ連携機能を利用し、経費精算業務を効率化した事例をご紹介します。

▼会社から現金を無くしたい!Money Forwardクラウド経費と給与連携で経費精算を効率化

コムデック 第20回DX担当者勉強会

建設業の株式会社アイケーディさまでは、各現場で急遽必要になった資材等の立替購入精算が月に55件ほどありました。
精算は現金で行っていたため、レシートをもって本社に来てもらう必要がある他、事前に仮払いを行っている場合には残額を戻してもらう処理が必要です。

そこにマネーフォワードクラウド経費を導入し、これまで申請用紙に記入していたレシートの写真を撮影するだけで経費申請ができるようになりました。
写真撮影をすると金額や支払先の情報は自動で入力され、上長への申請も行うことができます。

承認後は自動的に従業員ごとで集計されるので、申請毎に電卓で集計し、さらにそのあと全体でまとめて計算して……といった複数回の手集計作業が不要に。
集計されたデータはマネーフォワードクラウド給与へとワンクリックで連携され、従業員の給与と一緒に支給されます。

申請する従業員・集計する担当者のお互いの手間が省け、さらには社内の現金レス化にも繋がりました。

コムデック 第20回DX担当者勉強会

受動的な立場から、業務のデジタル化で能動的に会社を引っ張っていく総務へ

企業がデジタル化を進める目的とは、業務の効率化はもちろん、さらにその先のDX化=「企業の付加価値向上」を目指し、お客様へより良いサービスや商品を提供することです。
そのためにはまず会社のバックエンド業務を担う総務の仕事をデジタル化していき、会社の現状を良く知るからこそできる売上分析、原価分析、予算建て等の、より戦略的な業務に取り組むことがDX化の第一歩なのではないでしょうか。

2022年からは電子帳簿保存法、通称電帳法も改正され、中小企業がデジタル化しやすい環境が社会的に整ってきています。
フロント業務のIT活用は進めてきたけれどバックオフィスは……という企業さまも、この機会に一度自社の人事・総務業務を見直し、まずは社内のペーパーレス化・総務のリモートワーク化に向けて、マネーフォワード等のクラウドツールの導入から始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

徳田 幾美

『勤怠管理のスペシャリスト』

日本人の心のふるさとである”三重県伊勢市”を拠点に、中小企業のDX化を支援しています。 勤怠管理クラウドKING OF TIMEやMoneyForwardクラウド給与の導入を得意とし、脱タイムカード・給与明細の電子化から人時生産性の向上まで、他クラウドサービスも含めたトータルサポートをご提案しています。 「紙のタイムカードや出勤簿を手で集計していて時間がかかる」「給与明細を手渡ししている」勤怠管理や給与計算でお悩みの企業様、是非一度ご相談ください!

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