ファイルサーバーのクラウド化|メリット・移行5ステップとSharePoint活用
「社内のファイルサーバーが古くなってきた」「容量がいっぱいで整理が追いつかない」「テレワークや外出先から社内のファイルにアクセスできず不便だ」——こうした悩みから、そろそろファイルサーバーのクラウド化を検討し始めた方も多いのではないでしょうか。
実際、クラウド利用はすでに当たり前になりつつあります。総務省の令和7年版情報通信白書によると、2024年時点で企業の80.6%が何らかのクラウドサービスを利用し、その用途は「ファイル保管・データ共有」が上位を占めます。
ファイルの置き場所をクラウドに移すことは、もはや特別な取り組みではありません。
参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd111210.html
本記事では、クラウド化とは何か・オンプレミスとの違いから、メリット・デメリット、中小企業に現実的なSharePoint(Microsoft 365)の活用、移行の進め方【5ステップ】と費用・相談先までを、自社でもMicrosoft 365/SharePointを運用するコムデックの視点でまとめました。
ただし注意したい落とし穴があります。「よさそうなサービスをとりあえず契約し、既存のフォルダを全部そのまま移す」やり方は、移行後にファイルの置き場所が分からなくなり現場が混乱する最大の原因です。
後悔しない鍵は「設計してから移行する」こと。
ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- ファイルサーバーのクラウド化とは何か・オンプレミスとの違いとクラウド化が進む背景
- クラウド化のメリットとデメリット(後悔しないための注意点)
- 中小企業にSharePoint(Microsoft 365)が現実的な理由と、失敗しない設計の勘所
- クラウド化・移行の進め方【5ステップ】と概算費用・相談先
こんな人におすすめの記事です
- 老朽化・容量不足・テレワーク対応でファイルサーバーのクラウド化を検討している中小企業の総務・情シス担当の方
- クラウド化のメリット・デメリットと、後悔・失敗しない進め方を知りたい方
- すでにMicrosoft 365を使っていてSharePointでファイルサーバーを代替できるか判断したい方
- 移行・データ移行・設計・運用まで任せられる相談先を探している経営者・管理者の方
目次
ファイルサーバーのクラウド化とは?オンプレミスとの違い
まずは「クラウド化とは何か」を専門用語をかみ砕いて整理します。
言葉の意味と従来のオンプレミス(社内設置)との違いが分かれば、自社に必要な検討がぐっと具体的になります。
クラウド化とは(自社設置サーバーをクラウドへ移すこと)
ファイルサーバーのクラウド化とは、社内に設置していたファイルサーバーやNAS(オンプレミス)を、インターネット経由で使えるクラウド上のサービスに移すことです。
オンプレミスとは、サーバー機器やOS、その保守までを自社で持ち・自社で管理する方式です。
一方のクラウドは、事業者が用意した設備をインターネット越しに借りて使う方式を指します。
つまりクラウド化とは、社内の共有フォルダを事業者のデータセンターへ引っ越しし、ブラウザやアプリからアクセスできるようにすることです。
ハードの所有・管理から解放される点が、最も大きな変化です。
なぜ今クラウド化が進むのか(老朽化・テレワーク・BCP)
背景には統計と現場の実情があります。前述の総務省 令和7年版情報通信白書のとおり、クラウドサービス利用率は80.6%(2024年時点)に達し、用途は「ファイル保管・データ共有」が上位。
クラウドでのファイル管理は、すでに多数派の選択です。
参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd111210.html
中小企業の現場では、より切実な理由が重なります。
サーバーやNASの老朽化・容量不足・数年ごとの買い替えコスト、テレワークや外出先からファイルを使いたいという要望、そして災害時にデータを守りたいというBCP(事業継続)の観点です。
これらをまとめて解決できる打ち手として、クラウド化が選ばれています。
クラウド化の2つの方法(IaaS型とSaaS型)
ファイルサーバーのクラウド化には、大きく2つの方法があります。
IaaS型(クラウド上に自社専用のサーバーを構築する方式)と、SaaS型(すぐ使える完成されたサービスを借りる方式)です。
| 項目 | IaaS型 | SaaS型 |
| 構築の手間 | クラウド上にサーバーを構築する必要がある | 契約すればすぐ使える |
| 運用・保守 | 自社(または委託先)で行う | 事業者側に含まれる |
| カスタマイズ性 | 自由度が高い | 事業者が用意した範囲内 |
| 向いている企業 | 独自要件・専門人材がある企業 | IT専任が少ない中小企業 |
IaaS型は自由度が高い反面、構築・運用に一定のIT知識が必要です。
これに対しSaaS型は設定や保守の多くを事業者が担うため、IT専任がいない中小企業には、SaaS型(例:SharePointなど)が現実的な選択肢になります。
ファイルサーバーをクラウド化するメリット
ファイルサーバーをクラウド化するメリットを、中小企業の現場でどう効くかに翻訳して見ていきます。
大きく「アクセス性」「運用・BCP負担の軽減」「コスト・拡張性」の3つです。
どこからでもアクセスできテレワーク・共同編集がしやすい
最も分かりやすいメリットが、場所を選ばないアクセス性です。
在宅勤務・外出先・別拠点から、ブラウザやアプリで同じファイルにアクセスでき、テレワークや多拠点運用がしやすくなります。
さらに、複数人での同時アクセスや共同編集にも対応します。
常に最新版を全員が参照できるため、「メールで添付を回す」「どれが最新版か分からない」といった、オンプレミス運用でありがちな混乱を解消できます。
サーバー保守・バックアップ・災害対策の負担が減る
2つめは、運用・保守の負担が軽くなることです。
ハードの故障対応、OSやセキュリティの更新、バックアップ、容量の増設といった作業の多くが事業者側のサービスに含まれるため、IT専任のいない中小企業でも管理負担を抑えられます。
また、データが社外のデータセンターに保管されるため、地震・火災・水害などでオフィスが被災してもデータを守りやすくなります。
「サーバーが水没してデータごと失う」リスクを下げられる点は、BCP(事業継続)の観点でも安心材料です。
サーバー買い替えが不要で容量を柔軟に増やせる
3つめは、コストと拡張性です。
オンプレミスでは数年ごとにサーバーやNASの買い替えが必要で、その都度まとまった初期投資が発生します。
一方クラウドは月額利用が中心で、容量やユーザー数を必要に応じて増減できるため、中小企業でも「使う分だけ・スモールスタート」しやすくなります。
ただしコストは使い方次第で、従量課金のサービスでは費用が思わぬ形で膨らむこともあります。
この点は次のデメリット・注意点で詳しく見ていきます。
クラウド化のデメリット・注意点|後悔しないために
メリットがある一方で、クラウド化には知っておくべきデメリットと注意点があります。
ここでは挙げるだけで終わらせず、どう備えればよいかまで合わせてお伝えします。
\ネット依存・ランニングコスト・カスタマイズ制限
クラウド化の主なデメリットは、次の3点に整理できます。
1つめはインターネット環境への依存です。
回線障害が起きるとファイルにアクセスできなくなります。
回線の冗長化(予備回線の用意)や、一部ファイルのオフライン同期の活用で影響を緩和できます。
2つめはランニングコストです。
使い続ける限り月額が発生し、特に従量制のサービスは予算が読みにくくなります。
ユーザー数で料金が決まるSaaSを選べば、費用を見通しやすくなります。
3つめはカスタマイズの制限です。
事業者が用意した範囲でしか拡張できず、独自要件が多い場合はオンプレミスより自由度が下がります。
ただし中小企業の一般的なファイル共有なら、標準機能で十分にまかなえるケースがほとんどです。
操作性の変化と移行トラブル(設計してから移すのが鉄則)
後悔の最大の要因は、実はコストや機能ではありません。「既存のフォルダをそのまま全部移して、現場が混乱する」という移行トラブルです。
操作性が従来と大きく変わると現場に定着せず、「結局また元のやり方に戻ってしまう」ことがあります。
さらに、権限やフォルダ構成を設計せずに移すと、「ファイルがどこにあるか分からない」「誰でも重要ファイルを編集・削除できてしまう」という事態を招きます。
これを防ぐ鉄則は2つ。
ひとつは現場が普段の操作に近い形で使えるサービスを選ぶこと、もうひとつはサイト・アクセス権限・フォルダ構成を設計してから段階的に移行することです。
コムデックも自社運用と導入支援で、この「設計してから移行」を徹底しています(手順は後半の移行5ステップで解説します)。
中小企業にはSharePoint(Microsoft 365)が現実的な選択肢
「結局どのサービスを選べばいいのか」——網羅的な比較記事を眺めても、IT専任のいない中小企業ほど選びきれず迷ってしまいます。
そこで本記事は結論を絞ります。すでにMicrosoft 365を使っている中小企業なら、SharePointがファイルサーバー代替の第一候補です。
なお「SharePointとOneDriveの違い・使い分け・容量」は別テーマのため別記事で解説予定です(公開後にリンク)。
SharePointがファイルサーバー代替に向く理由
SharePoint(SharePoint Online)は、Microsoftの公式ドキュメントで「組織がコンテンツ・ナレッジ・アプリケーションを共有・管理するためのクラウドサービス」と定義されており、ファイルサーバーやNASの代替として十分に機能します。
参考:https://learn.microsoft.com/ja-jp/sharepoint/introduction
中小企業にSharePointが向く理由は、次の4点です。
- 追加契約・コストを抑えやすい:すでに契約しているMicrosoft 365のプランに含まれることが多く、新たなストレージ契約を増やさずに始められる
- 現場が使いやすい:Excel・Word・Windowsとの親和性が高く、日々使うOfficeファイルとの相性がよい
- 従来のフォルダ感覚に近い:エクスプローラーと同期でき、ファイルサーバーに近い操作感で使える
- 標準で必要機能がそろう:アクセス権限の設定・共同編集・バージョン管理(過去の版に戻せる)が標準で使える
加えて、Teamsでやり取りするファイルも、実体はSharePointに保存されます。
チャットとファイル共有の基盤が一本化され、情報の散在を防げる点も中小企業には大きな利点です。
失敗しないSharePoint設計の勘所(サイト・権限・フォルダ)
SharePointは多機能なぶん、サイト構造・アクセス権限・フォルダ構成を最初に設計しないと、かえって「どこに何があるか分からない」という問題が起きやすくなります。
ここが中小企業のつまずきどころです。
失敗しないための勘所は、次の3つです。
- サイト分け:全社で1つの巨大なフォルダにせず、部署やプロジェクト単位でサイトを分け、目的の場所にたどり着きやすくする
- 権限の絞り方:「全員がすべてを編集できる」状態を避け、必要な人に必要な範囲だけ権限を渡す
- 外部共有ルール:社外の取引先とファイルを共有する範囲・方法をあらかじめルール化する
設計から相談したい場合は、SharePoint Onlineの導入・運用支援もご検討ください。
▼SharePoint Onlineの導入・運用支援について
ファイルサーバーのクラウド化・移行の進め方【5ステップ】
ここからは「実際にどう移行するのか」を、そのまま動ける手順として整理します。
規模にもよりますが、目安として数週間〜数ヶ月をかけ、試験移行から段階的に進めるのが安全です。
ステップ1〜3(現状棚卸し→サイト・権限設計→試験移行)
前半の3ステップは、移行の土台をつくる工程です。
- 現状の棚卸し:どのフォルダに何があるかを洗い出し、使っていないデータを整理します。
全体の容量を把握し、「そのまま移すデータ」と「捨てる・アーカイブするデータ」を仕分けます。 - 移行先の設計:部署・業務単位でサイトとフォルダ構成を決め、アクセス権限を「必要な人だけ」に設計します。
ファイル名や保存場所のルールもこの段階で決めます。 - 試験移行:まず一部の部署やデータだけを先行して移し、操作性・権限・表示速度(パフォーマンス)を検証します。
この3ステップで大切なのはいきなり全部を移さないことです。
小さく試して問題点を洗い出してから本格移行に進むと、後戻りのリスクを大きく減らせます。
ステップ4〜5(段階移行→運用ルールの定着)
後半の2ステップで、本格移行と定着を進めます。
- 段階移行:部署やシステム単位で順に移行します。
スケジュールを関係部署と共有して役割分担を決め、移行中もバックアップ体制を確保して、通信障害やデータ破損に備えます。 - 運用ルールの定着:保存場所のルール・権限の運用・外部共有ルールを社内に展開し、現場が迷わない状態をつくります。
旧サーバーは移行完了後すぐ止めず、一定のデータ保持期間を設けてから停止すると安心です。
焦らず、検証しながら段階的に進めることを最優先にしてください。
導入・移行・運用はコムデックが伴走|Microsoft 365サポート
ここまで読んで、「進め方は分かった。でも、この設計やデータ移行、権限設定を誰がやるのか」と感じた方も多いはずです。
IT専任のいない中小企業にとって、この「誰がやるか」こそが最大の壁です。コムデックは、その出口をご用意しています。
コムデックのSharePoint Online導入・運用支援(費用の目安)
コムデックはMicrosoft 365正規パートナーとして、SharePoint Onlineの導入から運用までを伴走支援します。
サイト設計・データ移行・アクセス権限の設定・運用まで、これまで解説してきた「設計してから移行する」流れをそのままお任せいただけます。
費用の目安は次のとおりです(いずれも2026年時点・目安、データ移行は別途お見積もり)。
| 項目 | 費用の目安 |
| 初期環境構築 | 12万円〜 |
| 運用サポート(ライト) | 月額 5,000円 |
| 運用サポート(ローカル) | 月額 10,000円 |
| 運用サポート(スタンダード) | 月額 20,000円 |
| 運用サポート(プレミアム) | 月額 40,000円 |
コムデックは年間約1,000件のサポート依頼に対応する三重県のDX認定企業です。
三重・東海エリアの中小企業は訪問対応が可能で、導入にあたってはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)にも対応しています。
▼SharePoint Onlineの導入・運用支援について
Microsoft 365全体・IT全般もまとめて任せられる外部IT部門
SharePointだけでなく、メールやTeamsを含むMicrosoft 365全体の設定や、PC・ネットワーク・セキュリティといったIT全般もまとめて相談したい——そんな中小企業には、IT環境サポートサービス(外部IT部門)が向いています。
月額2万円台〜で、採用リスクなく数週間で稼働を開始できます。
IT担当者を正社員として採用する場合は、給与に加えて採用・教育のコストがかかり、定着にも時間を要します。
外部IT部門なら、こうした負担やリスクを抱えずに、必要な専門性をすぐに確保できる点が強みです。
よくある質問(ファイルサーバーのクラウド化FAQ)
最後に、ファイルサーバーのクラウド化でよく寄せられる質問をまとめます。
Q1. ファイルサーバーのクラウド化とは何ですか?
社内に設置していたファイルサーバーやNASを、インターネット経由で使えるクラウド上のサービスに移すことです。
ハードの所有・保守から解放され、どこからでもアクセスできます。
Q2. ファイルサーバーをクラウド化するメリットは?
主に3つです。①在宅・外出先・拠点間からアクセスでき共同編集もしやすい、②サーバー保守・バックアップ・災害対策(BCP)の負担が減る、
③サーバー買い替えが不要で容量を柔軟に増減できる、という点です。
Q3. クラウド型ファイルサーバーのデメリット・注意点は?
ネット環境への依存、月額が発生し続けること、設計せずに移すと現場が混乱することです。
回線の冗長化・ユーザー課金型のサービス選び・設計してからの段階移行で備えられます。
Q4. ファイルサーバーとクラウドストレージの違いは?
大きな違いは「設置場所」と「保守を誰が持つか」です。ファイルサーバー(オンプレミス)は自社に置き自社で保守しますが、クラウドストレージは事業者の設備をネット越しに借り、保守の多くを事業者が担います。
SharePointとOneDriveの違いは別記事で解説予定です。
Q5. SharePointはファイルサーバーの代わりになりますか?
なります。
特にすでにMicrosoft 365を使う中小企業には第一候補です。
ただし、サイト・権限・フォルダ構成を設計してから移行することが成功の条件です。
Q6. ファイルサーバーをクラウドに移行する方法は?
「現状棚卸し→サイト・権限設計→試験移行→段階移行→運用ルールの定着」の5ステップで進めます。
いきなり全部を移さず、試験移行から段階的に進めるのが安全です。
Q7. ファイルサーバーのクラウド化の費用はどのくらいですか?
SaaS型はユーザー数や容量に応じた月額が中心です。
コムデックにSharePoint Online導入を依頼する場合の目安は、初期構築 12万円〜+運用サポート 月額5,000〜40,000円(2026年時点・目安、データ移行は別途見積)です。
まとめ:クラウド化は「設計してから移行」、コムデックが伴走します
ファイルサーバーのクラウド化には、テレワーク対応・保守やBCPの負担軽減・サーバー買い替え不要というメリットがある一方、ネット依存やランニングコストといったデメリットもあり、後悔を防ぐ鍵は「設計してから段階移行する」ことでした。
IT専任のいない中小企業には、すぐ使えるSaaS型が現実的です。
なかでもすでにMicrosoft 365を使っているなら、SharePointがファイルサーバー代替の第一候補になります。
移行は本記事の5ステップで、焦らず検証しながら進めましょう。
コムデックはMicrosoft 365正規パートナーとして、SharePoint Onlineの導入からデータ移行、運用まで一貫して伴走支援します。
年間約1,000件のサポート実績と三重県DX認定を持ち、三重・東海エリアの中小企業は訪問対応も可能です。
一人で抱え込まず、まずは現状の棚卸しと相談から始めてみてください。









