業務効率化のその先へ――kintone×AIが導く、中小企業の成長戦略|コムデック万博2025

2025年5月21日、コムデックでは三重県伊勢にて「コムデック万博」を開催しました。
コムデックが毎年お客様向けにおこなっている「IT活用戦略セミナー」を、今年から「コムデック万博」へリニューアル。
約160名のお客様にご来場いただいた本セミナーは、生田社長の「参加する皆さんが話を聞くだけではなく、互いに学びを共有しあう場であってほしい」という考えから、レイアウトを従来のスクール形式を正餐形式へと変更し、同じテーブルに座ったお客様同士が活発にやり取りされる様子が会場のあちらこちらで見られました。
今回の記事では、生田社長が「コムデック万博」にてお伝えした「kintoneを軸とした業務改革の深化と、AI活用の実践的なステップ」についてご紹介します。
コムデック万博全体については、こちらの記事で詳しくご紹介しています!
目次
信頼と発信力で築く、コムデックのこれから
コムデックは、お客様にとって“頼れる存在”であり続けるために、日々いろんなことにチャレンジしています。
この1年は、外部からの評価をいただく機会があったり、新しい情報発信の取り組みを始めたりと、社内外での動きがたくさんありました。
セミナーでは、そんなコムデックの「信頼」と「発信力」にまつわる最近の話題をご紹介しました。
サイボウズ社評価制度にて3つ星獲得
おかげさまで28期目を迎えたコムデックは、kintoneを使って業務改善のお手伝い「伴走支援」を展開しているほか、社内でもkintone活用による業務改善に取り組み続けています。
お客様とともにたくさんのkintone活用を実現し、その取り組みを発信しつづけてきた結果、この度サイボウズ社のオフィシャルパートナー評価制度にて3つ星を獲得!
また、三重県からも経営品質向上の取り組みなどを認められ、三重県経営品質賞優秀賞をいただきました。
強みである情報発信では新しい試みも!
コムデックでは、kintoneに関する情報発信に特に力を入れてきました。
今でこそkintoneの知名度はあがりましたが、はじめは当然「kintoneはどういった使い方・活用ができるのか」についてWEB上にはあまり情報がなく…kintoneの使い方をイメージしたり検討したりする一助になればと、実際の活用事例をこの「コムデックラボ」の記事でお伝えしてきました。
その後、kintoneの画面遷移など実際の動きがよりわかりやすく伝えられるように動画配信チャネルとしてYouTube「kintone芸人」を開設し、現在も発信中です。
そして昨年から新たに、お客様向け掲示板「コムデック横丁」をスタートしました。
目的は、コムデックが得意とするIT全般に関して「お客様にとっての便利屋さん」的存在になることだと生田社長は言います。
コムデックが自社で試してみてよかったツールの紹介や今知っておいて欲しい情報、トレンドなどについて発信することで、有益な情報をお届けするプラットフォームとして育てていきたいと展望を語りました。
地方中小企業のリアルな1年間の挑戦とは?
コムデックはこの1年も「もっとお客様に役立てるように」「社内でもちゃんと実践してみよう!」と、いろんなことにトライしてきました。
うまくいったこともあれば、うまくいかなかったこともありますが…すべてが“等身大の挑戦”です。
セミナーでは、実際にコムデックが取り組んだことの成果と状況等を具体的にご紹介し、お客様には自社に取り入れられそうなポイントを検討しながら聴講いただきました。
ここからは、そんなリアルな取り組みの中身をご紹介していきます!
業績と現場を支えるダッシュボード強化
コムデックでは、kintoneのポータルやスペースの部分に、kintone内にあるデータをグラフなどで表示することで、組織内のダッシュボードとして利用しています。
このダッシュボードを使って、ここ1年特に強化してきたことのひとつが「業績管理」です。
元々、生田社長が自身のPC内でエクセルを使ってしてきたことをkintoneでおこなうようになり、今期の目標数字に対する達成率や利益などを、見たい切り口やカテゴリ分けしてリアルタイム集計できるようになりました。
さらにそれを見やすくグラフ化してダッシュボードに公開し、関係者全員が常にチェックできる形へと変化させたのです。
もうひとつ強化したこととして、「リソース/カスタマーサクセス管理」があります。
コムデックのこだわりである、「納品して終わりではなく継続してサポートをお届けする」を実現するためには、人の割り振りなどの采配が重要になります。
これまでは采配を得意とする生田社長がおこなってきましたが、ダッシュボードの活用などにより、数字をみてチームで判断・意志決定できる環境を整えました。
結果として、能動的に現場への定着や効果確認、提案を進めていけるようになり、社長の采配が不要になりつつあります。
kintoneモバイル活用へのチャレンジ
kintoneは、標準で画面が横長であることや入力モードのクセ、プラグインが一部モバイルに非対応といったこともあり、現時点ではパソコンの方が圧倒的に使い勝手がよいツールです。
しかし、やはり社外からモバイルで作業ができればこれほど便利なことはありません。
モバイルでも見やすい表示やモバイルから入力しやすい入力欄、一括入力対応などが実現すれば、お客様の現場でも活用の幅が広がるだろうと考え、チャレンジを進めてきました。
標準機能ではなかなかできないサブテーブルの入力強化、ステータスの視認性アップ、画像への書き込みなどにも挑戦しており、kintoneのモバイル活用にはまだまだ伸びしろがあると考えています!
kintoneのモバイル活用を進めたい、興味がある企業さまはぜひお声がけください。
営業×AIの現場活用に本気で挑む
昨年のセミナーで導入をお伝えしたAI「Front Agent」については卒業を決めました。
大変便利なツールですが、営業は個々に合うスタイルなどがあり、社内で試行錯誤したものの結果にはあまり繋がらず、活用難易度が高いと考えたためです。
コムデックが改めて考えた営業×AIの目的は、「受注など良い結果に繋がった事例・商談内容をチームでシェアできること」。
これを満たすカジュアルなもので良いという判断から、「それなら自前で作ってしまおう」と“コムデックAI×kintone”へと方向転換することに決めました。
具体的には、以下の3ステップでAIを活用し、データを蓄積・分析して役立てていくことにしました。
①商談記録(AIによる文字起こしと要約)を作成、kintoneへ自動保存
②簡単なプロンプト(命令)を登録
(例)
- 受注数最大化したい
- 成功事例・失敗事例を解析して
- 営業担当者ごとの強みと改善点を3つずつ挙げて
③分析結果の蓄積
これからの時代、人がひとつずつ考えて実行するのではなく、データベースをビジネスに活かしていくという風土や仕組みづくりが経営者側には欠かせません。
そして、AIやデータを使って判断し行動を変えていく、PDCAを回していけるスタッフが重要になっていくと考えています。
成長企業が取り組んでいるIT活用
成長している企業はどんな取り組みをしているのか…今や業務の効率化推進は当たり前で、得たデータを活かして「どうしたらお客様がより喜んでくれるか」を考えること、顧客をよく知ることに注力されています。
そして、以前からお伝えしているとおり、中小企業の成長には、「特定多数」のお客様と取引できるようになることが必須です。
セミナーでは、特定多数のお客様に自社の製品・サービスを提供するために必要な取り組みを具体的に紹介しました。
WEBマーケティング
まず必要な取り組みはWEBマーケティングだとコムデックは考えています。
WEBによる情報発信の大きなメリットは、圧倒的なスピード感です。
閲覧に関するデータ(誰が何を見た、どこに共感した、どこで離脱したなど…)が得られることによってニーズを把握でき、それを元にニーズに合うものへと発信内容を改善するという動きがスピーディにおこなえます。
ここでいうWEBでの発信は、いわゆるWEB広告とは違います。
広告は「出して終わり」です。
しかし、情報発信したものは折に触れ検索されたり閲覧されたりして、いわば無形資産になるわけです。
オウンドメディア、YouTube、SNSなど自社に合うツールを使って発信することで、持続的な認知度向上が見込めるほか、ブランド力が向上して値上げの実現や採用力アップに繋がります。
ぜひ企業さまには、WEBの発信チャネルをひとつは持っていただきたいです。
CRM
CRM(Customer Relationship Management)は顧客関係管理を指し、お客様との関係値をデータとして管理するということです。
以前のコムデックもそうでしたが、地域密着のBtoBの企業さまは、少ない顧客について各担当がよく知っている、理解している、逆にその担当者以外はよくわからない、という状態になりがちです。
これを、カンや経験ではなく数値で判断できるようにし、お客様を理解してチーム・組織で対応できる体制を作ることで、特定多数のお客様との取引が可能になります。
顧客を十把一絡げに扱うのではなく、個別最適化した接客・サービスを組織として進められると、顧客から好きになってもらう、いわゆるロイヤルティ向上に繋がっていくのです。
個別最適化はCRM×AI活用で実現できる!
特定多数の顧客との取引を実現するために欠かせない「個別最適化」は、AIに協力を仰ぐことがオススメです。
例えば、とある介護事業者さまでは、利用者様のご家族へ向けた月次報告書の作成にAIを利用しています。
日々の利用記録を元にしてAIに月次報告を出力させることで、利用者様おひとりの月次報告書作成にかかっていた時間が1時間から3分に短縮された上、スタッフの目線とデータに基づいて個別最適化された報告書とを組み合わせた面談が実現しています。
介護業でのCRM×AI事例はこちらの記事で詳しく解説しています!
また、製造業を営む企業さまでおこなっているのは、蓄積してきた顧客の修理履歴情報(=CRM)とAIの掛け合わせによる個別メンテナンス提案です。
同じ機械でも利用方法や環境によって、故障個所やタイミングは変わります。
優秀な技術者がカンと経験からおこなってきたことをどのスタッフでも同じように提供できる、しかも顧客に合わせた提案ができることで組織力があがり、企業の価値向上に大きく寄与するのです。
いい会社にはファンが多い
最後に生田社長は、「いい会社にはファンが多い」という、昨年と同じ言葉でセミナーを締めくくりました。
ここでいう“ファン”とは、商品やサービスだけでなく、その会社そのものを応援してくれるお客様のこと。
テクノロジーが進化し、品質や機能の差が見えにくくなってきた今だからこそ、AIでは生み出せない「人間にしかできない価値」を見つけ、そこに投資し、育てていくことが、ファンづくりにつながると語ります。
年に一度、伊勢の地にお客様をお招きし、顔を合わせて一緒に学ぶこの機会こそが、コムデックにしか提供できない価値であり、他社との違いである――。
そのような思いとともに、セミナーは幕を閉じました。
今後もコムデックは、お客様一社一社のこだわりを大切にしながら、寄り添う支援を続けてまいります。