実務に役立つAI活用事例11選!「自社のデータを使ったAI活用」をやってみよう|第30回DX担当者勉強会レポート

コムデックでは、四か月に一回、弊社のお客様向けに「DX担当者勉強会」を開催しています。
DX担当者勉強会では、人時生産性の向上や新規市場の開拓、新しい商品・サービスの開発、お客様のファン化、従業員満足度の向上、賃上げ等に取り組みたい企業様が、それらを通じて「良い会社作り」を目指すための考え方や手段をお伝えしています。
第30回となる今回は、「実務に役立つAI活用事例の最前線」をテーマに、実際にkintoneでAIを活用するための具体的な事例や設定方法をご紹介しました。
社内の業務改善から顧客対応、さらには従業員満足度向上まで、今すぐ真似したい具体的な取り組みが満載の内容をぜひご覧ください。
目次
AIと対話し協働する時代へ
めざましい進化を遂げているAIは、ここ数年の間でさまざまなことができるようになっています。
業務以外のところでもAIはかなり身近になりました。
例えばAIと会話し、買い出しから下ごしらえ、料理作り…と提案を受けながら、料理を作っていく「AIお料理教室」をご存知でしょうか?
この事例が示す通り、これからは人とAIがコミュニケーションを取りながら何かを創り上げていく時代になっていきます。
ぜひAIを企業でも活用し、課題解決や売上促進、組織力向上に繋げていきましょう。
「kintoneの日報✕AI」で実務に変化!
kintoneで従業員の日報管理をしている企業さまも多いのではないでしょうか。
日報には、案件や会社について良いこと・悪いことや気付き、悩みなどが登録されています。
この日報データとAIを掛け合わせて日々の業務に活かすことが可能です。
今回は一般的なものから業種に特化したものまで、いくつか事例をご紹介していきます。
社内改善の課題出しと施策提案
成果、課題、気付きなどが書かれている日報データは、上長などが定期的にチェックし、組織運営や業務に活かしたり、フォローアップに使ったりされているでしょう。
kintoneの日報データをAIに分析させれば、AIが複数の人の日報からカテゴリごとに情報をまとめたり、組織・会社の課題を列挙したりしてくれます。
さらに、生成したまとめや課題に対して施策を打ち出させることも可能です。
例えば、従業員が組織や働き方に対して日々どのように感じているのか、というトピックに対し、kintoneの日報データの項目や関連する書き込みから抽出してまとめを生成、課題出しと対応策案を提示してくれます。
はじめは、簡単なプロンプト(指示文)で試してみて生成されたものをチェックし、深堀したい部分などはプロンプトを追加・修正していくことで、生成されるものが欲しい情報に近づくよう調整していくことができます。
人が日報データをひとつずつ読み、まとめて、施策をイチから考えるよりも圧倒的に速く進めることができ、実際の施策の検討や行動などに使える時間が生まれます。
営業支援&若手の勉強資料生成
営業記録として日報をつけている企業さまも多いのはないでしょうか。
営業における受注や失注のストーリー、ポイントとなった点などが記録されていれば、それをAIで分析し、以下のような情報をアウトプットできます。
- 顧客の興味関心や購買傾向からの注意点や提案すべきこと
- 共通点のある営業先に関してどのようにアプローチすべきか
営業の部署では、顧客への次の一手について会議で相談したり、新規顧客へのアプローチについて先輩の営業担当者に聞いたり、ということがよくおこなわれます。
AIの分析結果を読むことで、営業担当者が会議を待たずに次の展開を検討できたり、若手の営業担当者でもさまざまなパターンのロジックを学べたりと、営業アシスタントのような位置づけで活用できます。
社労士業務の生産性アップや業務改善
社労士事務所なら、kintoneの日報を活かした採算分析がおすすめです。
コムデックの「kintone社労士業務改善パッケージ」を使っていただいている企業さまでは、日報で管理している工数、そして契約管理アプリの請求額データの2つを使って時間当たりの生産性を算出するところまでは自動化できています。
このデータを使えば、AIに各顧客の時間単価に関する課題やその原因などを分析させることができ、さらには改善案を提示させられます。
AIが出力する改善策は完璧なものではありませんが、参考にしながら業務改善の検討を進められるでしょう。
同じように製造業においても、「各案件に対する機械の稼働時間」などの切り口での活用が考えられます。
建設業では事故防止対応にも
建設業なら、日報内に記録している作業時間や人数、機械使用の有無、進捗率、ヒヤリハットなどをAIに分析させることで業務改善に役立てられます。
例えば、ヒヤリハットのデータをAIに読ませてみましょう。
現場で起こっているヒヤリハットの傾向や状況、頻度をまとめてくれるほか、対応案を出してくれますので、客観的に状況を把握し、具体的な対応を考える助けになります。
リソース管理をAIでスムーズに
AIは日常業務のスピードや質向上に活かせるだけではありません。
企業の成長や売上アップのためには、人員などのリソースを適切に配置することが肝要です。
とはいえ、配置を考えたりシフトを組んだりすることにも、手間や時間(コスト)が掛かります。
このリソース管理にもAIを活用することで、効率化を図ることができます。
建設業の人員配置や製造業の機械割り当て
建設業では、案件ごとに「この資格を持つ人が現場に必要」といった条件があります。
各従業員の持ち資格と空き状況を見ながら人員配置をすることはなかなか大変ですが、ここでAIの出番です。
例えば、kintoneにマスターとして各従業員の持っている資格を登録し、案件を管理するアプリには各案件に必要な資格情報や担当する従業員(決まっている分)を入力・選択しておきます。
新しい案件の配置を考える際には、AIを使って工期や資格条件などから割り当て可能な人員候補を挙げてもらう仕組みです。
工期被りや持ち資格など、人の目よる最終チェックはもちろん必須ですが、一人ずつ空きや持ち資格を調べて…という作業が軽減され、スムーズな人員配置が可能になります。
ちなみに、製造業で各案件に機械の割り当てをする際にも同じような形でAIを活用可能です。
小売業でのシフト表作成
小売業で従業員のシフトを作成にも、ぜひAIを使ってみてください。
シフト希望(日、時間帯など)を入力してもらったら、プロンプトで「希望優先、3連勤不可、揃わない場合は『不足』と出力…などシフト表作成の条件を指定して、AIを動かすと、以下のようにシフトを組んでくれます。
AIが条件に合うシフト案を組んでくれる上、各従業員の入り合計数も計算して表示させられて、偏りがないかも同時にチェックできます。
なお、AIによる出力の仕方は毎回変わってしまうため、プロンプトで先に出力形式を指定しておくのがおすすめです。
一度AIに組んでもらってみて、うまくシフトが埋まらない、偏ってしまうなどあれば、条件(連勤数など)の変更などプロンプトを調整・修正しながら、自社に合ったシフトを組んでくれるプロンプトを見つけていきましょう。
AIを「良い会社づくり」のサポーターに!
コムデックが勉強会やセミナーなどでも大テーマとして掲げている「良い会社づくり」。
「良い会社」とは、顧客満足・売上アップ・給与アップ…などそこに関わる人全てがハッピーになる状態がひとつの定義だと考えています。
良い会社づくりに欠かせないもののひとつは従業員です。
従業員の満足度の高いこと、やりがいを感じられることは「良い会社づくり」に大きく影響します。
そんな「やりがいのある職場」を作る、従業員の満足度を高める、適切な評価をおこなう、といったことにもAIを活用可能です。
従業員向けアンケート分析の質向上
従業員の組織・会社への満足度や思いなどを把握するために、数値で回答してもらうようなアンケートを展開している企業は少なくありません。
アンケートデータにおける数値の推移は、どの企業さまでも確認し事業に活かされているかと思いますが、ここにAIを活用することで、さらに掘り下げた分析が可能になります。
AIなら、アンケート結果を部署別・個人別・キーワードなどこちらが指示した切り口や目線でまとめてくれるほか、その内容に対してどういった対応が取れるのか、取るべきかという案も出してくれます。
AIの力を借りて、スムーズに組織改善のヒントを掴みましょう。
従業員との個別ミーティング準備
1on1ミーティング(上司と従業員との個別ミーティング)は組織運営や企業成長のために重要ですが、一人ひとりに合わせた準備が必要になるため負担になりがちです。
そんな時は、冒頭でもご紹介した日報データを活用し、1on1ミーティングの準備をAIにサポートしてもらいましょう。
対象となる期間の日報データを個人別にAIに分析させ、困りごとや業務不安、キャリア志向についてまとめてもらうことで、議題出しなどの準備ができます。
従業員が次のステップに進むためにどのような声掛けや対応ができるか、ということまで提案させることも可能です。
偏りの少ない定性的人事評価
従業員を評価する際に、KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)を達成したか、という観点で定量的に評価することは比較的簡単です。
一方、数値で測れない定性的部分については、上司や管理職などが把握している日常の様子を共有したり、見落とし防止で第三者から意見を集めたりして判断されることが多いようです。
この定性的な評価について、AIを活用することができます。
各従業員に対し、期間中の目標達成率や評価、フィードバックコメントなどを入力しておきます。
これをAIに分析してもらうことで、定量的な部分はもちろん、定性的な部分に関しても偏りの少ない客観的な目線の評価情報を得ることができ、人事評価の参考にできるのです。
議事録作成に画像読み取り……便利なAI活用事例
最近コムデックでも、さまざまな企業さまとAI活用についてお話しさせていただく機会が増えました。
その中でご相談いただくことの多い内容を2点ご紹介します。
画像・PDFからの文字起こし&自動入力(OCR加工)
よくご相談いただくのが「画像からの文字起こしと入力」、いわゆるOCR(Optical Character Recognition)加工についてです。
OCR読み取りは、以下のような場面で活用することができます。
- 届いた請求書の画像やPDFをAIに読み込ませ、内容を自動的にkintoneへ入力させたい
- 作業報告書など手書き作成した書類を読み込み、自動でkintoneへ内容を反映させたい
人が書類の項目ひとつずつを手入力でkintoneに登録していくのは単純ながら手間のかかる作業です。
そこをAIを使って自動化できれば、作業効率は大きくアップします。
実際にコムデックが開発したAIで実施してみると、PCで作成されたものに関しては精度も高く読み取り可能です。
ただ、これをkintoneアプリに自動で入力させようとすると、プロンプトでかなり細かい設定が必要です。
誤入力もどうしても発生するため、人の目での最終チェックは不可欠でしょう。
手書き書類の文字起こしについては、書きグセや字の荒れなどもあり、まだ精度が低く、実用的なレベルにはやや遠そうです。
議事録の自動作成
会議の議事録作成にAIを使いたい、というお声もいただきます。
コムデックではすでに議事録作成にAIを導入済みです。
zoomにはミーティングの文字起こし機能(日本語版)が搭載されているため、文字起こしされたテキストデータをkintoneに移し、AIに処理させて、議事録生成をおこなっています。
加えて、zoomはAPI連携(異なるツールやアプリの間でデータなどを共有する)ができるため、事前に設定しておけば、会議終了後に少し時間を置くと、文字起こしされたテキストデータがkintoneに自動でデータ登録されます。
事前に設定しておけば、ワンクリックで会議の議事録出力ができるので、それを人がチェックし、必要な修正を加えるだけで簡単に議事録が作成できるのです。
読みやすくするためには、議事録のまとめ方のルールや文体の指示、項目設定をプロンプトで細かく設定する必要があります。
現時点で、議事録の精度は70%程度だと感じていますが、イチから作成するよりは断然早く作業が完了します。
AI活用に自社データを使ってみよう!
ここまでお伝えしてきたとおり、AIを上手に活用することで、社内の業務改善から顧客対応、さらには従業員満足度向上を実現できます。
ここで重要になるのは、単にChatGPT等に質問を投げかける「一般的な情報についてのAI活用」ではなく、「社内固有の情報(日報、営業記録、従業員満足度など…)」をAIと掛け合わせて活かすことです。
自社独自のデータとAIを活用することで、価値創造や意思決定に役立てていきましょう。
AIの進化はめざましいものがありますが、とは言え100%完璧ではありません。
シンプルなプロンプトからはじめ、生成されたものをチェックし、AIと対話するようにプロンプトを調整・修正しながら精度をあげていくことがポイントとなります。
今回のDX担当者勉強会では、kintoneでの設定やプロンプトの内容などもご覧いただき、どのような動きになるのか、どのような結果が出力されるかを見ていただきました。
コムデックのお客様向け掲示板「コムデック横丁」には、今回ご紹介した以上のさまざまなAI活用の事例や具体的なアプリの設定、プロンプトなどもご紹介しており、今後も事例数をどんどん増やしていく予定です。
各企業さまでどのようにAIを活用できるか、どのように活用すると「良い会社づくり」に繋げていけるのかを一緒に検討させていただきますので、ぜひコムデックにご相談ください!