経営品質向上への道のり 第二話 「自社の歴史」

「表八年、裏十二年」式年遷宮と伊勢の経済

コムデックの歴史を語る上で欠かせないのが、地元である「観光都市 伊勢市」と「伊勢神宮」の関係です。
観光都市である伊勢市周辺の経済は、伊勢神宮参拝者など外部からの資本投入によって大きな影響を受けるという特徴があります。

逆に、世界的な不況であるリーマンショックの時は、式年遷宮前の「表八年」と呼ばれるタイミングと重なったことで地元経済への影響は軽微であり、コムデックの売上も落ち込みはありませんでした。
前回の遷宮以降、「パワースポットブーム」や「G7伊勢志摩サミット」開催地となったことでインバウンドを含めた観光客が大幅に増加しました。
「裏十二年」は過去の話となり、年間800万人を超える参拝者数が続く――ように見えたのですが、やはり「裏十二年」伝説は本当だったようで、新型コロナの影響によって観光客が急減、地元経済は大きな影響を受けることになりました。

これからの10年は、式年遷宮へと向かう「表八年」のタイミングとなり、木曳や宇治橋架替などイベントが多数あることから参拝者数の大幅な増加が見込まれています。
幸い新型コロナの影響は軽微となったことで、観光都市「伊勢市」が再び注目される機会も多くなりそうです。

前々回の式年遷宮の参拝者数のピークは約800万人でしたが、現在は800万人が通常年であり、2033年の式年遷宮は前回以上の盛り上がりが期待されています。
地元経済も通例であれば設備投資が盛んとなり、活況期にはいることで少子高齢化以上に若年者人口の流出が多いため、人手･人材不足が大きなコムデックを含めた地元企業の大きな課題となることが予想されます。

年表を振り返って

会議で作成したコムデックの歴史の年表を詳しく見ていくと、当時25歳の樋口前社長を含む5名で創業されたコムデックの経営は、伊勢神宮の参拝者数などの外的要因に大きく左右されてきたことが明らかになってきました。

特に2012年と2013年は、Windows XPの更新需要と式年遷宮が重なり、当時の最高益を記録しています。
というのも、式年遷宮による好調な景気でお客様も大幅な利益を享受しており、数百台のPCを一気に更新するだけの資金力がある状態だったのです。
当時は毎週土日も出勤して納品作業に追われていましたが、一方でその翌年には「販売するものが何もない」程に大きな反動がありました。

しかし、このタイミングで電話が鳴ることすらない苦しい状況に陥ったことが、その後コムデックが利益の均一化(ストックビジネス)に重きを置く契機となりました。
「様々な外的要因に左右されにくく、成長を続けられる経営」を目指す取り組みの重要性を認識した当時の樋口社長と生田専務は、翌年から経営品質協議会に加入し、「経営とは何か」を見つめ直しました。
これまで成り行きで経営してきた事業を見直し、時流に適した商品･サービスにコムデックの構造を変化させることで経営改革を進めていったのです。

過去最大の外的要因「新型コロナ」を乗り越えて

新型コロナウイルスの感染拡大前の年である2019年まで、コムデックは地元の伊勢市を中心に、津市や松阪市など三重県中南勢地区を主要営業エリアとしていました。
しかしその一方で、新規顧客を獲得するための手段が確立されておらず、成長の未来像を描けないという悩みを長年抱えていました。

そんな状況を打破すべく、顧客獲得を目指して2019年から営業エリアを日本全国へ拡大し、オウンドメディアやYoutube配信、SNS広告を活用したWebマーケティングを本格的に実施。
それと同時に、オンライン上で営業から導入支援、請求まで完結できる体制の整備も行っていました。
その翌年である2020年、世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、観光都市である伊勢市では観光客が急減するなど、大きく影響を受けることになりました。

従来の地元密着の経営を続けていた場合、コムデックもまた、この影響を大いに受けていたでしょう。
しかし、幸いにも新型コロナウイルス感染拡大前から進行していたオウンドメディア(コムデックラボ)とYoutube(kintone芸人)を通じた顧客獲得活動が定着しつつあったため、コロナ禍においても継続して成長することができたのです。

次回は「自社と競合他社の違い」をお送りいたします、お楽しみに！
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