市場調査にAIを活用するときのおすすめツール・プロンプトを紹介

市場調査を行うときは、顧客や競合の動向に加え、政治・経済・社会などの外部環境まで幅広く把握する必要があります。
しかし、担当者の経験や勘に左右されやすいため、誰が担当したかで戦略の精度に影響が出ることが少なくありません。
そんな時、AIを活用すれば「データ収集と整理の効率化」と「分析の標準化」が可能になります。
本記事では、AIを使って市場調査を効率化する仕組みと、その実践手順をプロンプトつきで紹介します。
「市場調査に時間を取られている」「正確で迅速な分析を行いたい」という企業さまは、是非ご覧ください。
この記事でわかること
- 市場調査における従来の課題
- AIとkintoneを活用して市場調査を効率化する具体的な方法
こんな人におすすめの記事です
- 市場調査に時間と人手がかかり負担を感じている方
- 分析の精度やスピードを高めたい方
目次
AIによる市場調査が広まっている背景とメリット
AIを活用した市場調査は、近年さまざまな企業で導入が進んでいます。
従来の市場調査は膨大な情報収集に時間がかかるうえ、分析精度が担当者の経験や勘に左右されやすいなど、多くの課題を抱えていました。
AIを使えば、こうした課題を解消し、効率的で精度の高い調査が可能になります。
このセクションでは、市場調査にAIを活用することで得られるメリットを具体的に紹介します。
データ収集やレポート作成の時短・効率化
AIは膨大なニュース記事や統計データを短時間で収集・整理でき、人間では追いきれない大量のデータを処理できます。
適切なプロンプトさえ組めば担当者が時間をかけてまとめていたレポートも自動生成できるため、単純作業に費やす工数を大幅に削減することが可能です。
その結果、担当者は本来注力すべき分析や戦略立案に集中できるだけでなく、調査サイクルも早まり、市場の変化をタイムリーに把握しやすくなります。
外注依存の軽減と調査の内製化
これまで市場調査の多くは外部の調査会社に委託するのが一般的でしたが、AIを導入すれば社内で対応できる範囲が広がります。
また、社内に調査ノウハウが蓄積されれば市場調査の内製化も実現できるでしょう。
そうなれば、外注にかかっていたコストを抑えられるため、繰り返しタイムリーな市場調査を行いやすくなります。
調査の精度と再現性の向上
AIはあらかじめ設定した基準に沿って情報を処理できるため、担当者の経験や主観に左右されにくくなります。
人力で行う調査で起こりがちな分析の偏りや抜け漏れを防ぎ、安定した品質のアウトプットを得ることが可能です。
また、処理手順が標準化されることで、誰が担当しても同じ結果を再現できるようになります。
調査結果を社内で共有すれば、部門間の認識も統一され、戦略立案に確実に活かせるでしょう。
AIを使った市場調査は入力データの質が重要
AIを活用すれば膨大な情報を短時間で処理できますが、その精度は入力されるデータの質に大きく左右されます。
信頼性の低い情報や不完全なデータをもとにすれば、誤った分析につながる可能性もあるため注意が必要です。
市場調査にAIを取り入れる際には、ニュース記事や業界レポート、統計データなどを体系的に整理・蓄積する仕組みを整えることが大切です。
こうした基盤が整ってこそ、AIの分析力を最大限に発揮できます。
kintoneに調査データを蓄積しAIと組み合わせれば多角的に市場調査を行える
AIを効果的に活用するには、質の高い市場データを一元管理できる環境が必要です。
そこで役立つのが、kintone(キントーン)です。
kintoneはノーコードでアプリを作成できるほか、各種データの蓄積が可能な業務プラットフォームで、AIとも連携できます。
kintoneにニュース記事や統計データ、業界レポートを蓄積しておけば、AIがそのデータを参照して業界動向やリスク、成長機会を多角的に分析する仕組みを構築できます。
質の高いデータのみを参照する環境であれば、精度の高い分析結果を得られるでしょう。
kintoneについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
▼kintone(キントーン)とは?できること・できないことまとめ アプリの活用事例もご紹介!
kintone × AIで市場調査を効率化する方法【プロンプトあり】
今回は、市場調査のなかでも外部環境調査のフローをkintone × AIで効率化する仕組みを構築しました。
まず、調査対象の企業情報や対象期間などを入力する市場調査アプリをつくりました。
今回の分析では、まず市場調査の対象や条件を指定し、それを元にマクロ環境分析を行った上で、そのマクロ環境分析結果を元に市場の分析と将来予測を行うという2ステップでAIを活用します。
続いてAIとkintoneを連携し、AI設定アプリに参照元となるアプリやプロンプトを登録します。
まず、以下はステップのひとつめ、マクロ環境分析のプロンプトの例です。
# 役割
あなたは、特定の業界または企業のマクロ環境をPESTLE分析のフレームワークに基づいて詳細に調査・分析する専門家です。 ### 調査対象と期間 %ユーザー入力項目% ### マクロ環境情報 %マクロ環境% ### 分析と将来予測 マクロ環境情報をもとに、以下の指示に従って分析と将来予測を行ってください。 1. **影響の評価**:各要因が調査対象の業界または企業にとって**「機会 (Opportunities)」**となるか、**「脅威 (Threats)」**となるかを明記してください。その影響度(高・中・低)も評価してください。 2. **相互関連性**:PESTLEの各要因がどのように相互に影響し合っているかを分析し、記述してください。 3. **将来予測**:今後3〜5年で各要因がどのように変化し、それが調査対象にどのような影響を及ぼすかを具体的に予測してください。 4. **具体的な示唆**:このマクロ環境分析から、調査対象の業界または企業が取るべき戦略的行動や注意すべき点について、具体的な示唆を提供してください。 ### 出力形式 – 「影響の評価」「相互関連性」「将来予測」「具体的な示唆」について、明確な見出しを設けて記述してください。 |
設定を行うと、出力用アプリの上部に分析ボタンが表示されるため、まずはマクロ環境分析を実行します。
ステップ1で出力されたマクロ環境分析結果がこちらです。
プロンプトのなかでPESTLE分析のフレームワークを指定しているので、対象業界の外部環境を「政治・経済・社会・技術・環境・法律」という観点で自動整理できます。
続いて、この情報をもとにステップ2として市場分析と予測を行っていきます。
設定したプロンプトは以下の通りです。
# 役割
あなたは、特定の業界または企業のマクロ環境をPESTLE分析のフレームワークに基づいて詳細に調査・分析する専門家です。 ### 調査対象と期間 %ユーザー入力項目% ### 調査項目と詳細指示 以下のPESTLE各要素について、徹底的に情報収集し、分析結果を構造化して提示してください。単なる事実の羅列ではなく、各要素が調査対象にどのような影響を与えるかを具体的に記述してください。 #### 1. 政治的要因 (Political) – **政府の安定性**:国内政治の安定性、政府の政策の継続性。 #### 2. 経済的要因 (Economic) – **経済成長率**:GDP成長率の実績と予測。 #### 3. 社会的要因 (Social) – **人口動態**:人口規模、年齢構成、出生率、死亡率、高齢化の進行。 #### 4. 技術的要因 (Technological) – **R&D投資動向**:特定の分野における研究開発の活発さ。 #### 5. 環境的要因 (Environmental) – **気候変動**:異常気象、自然災害のリスク。 #### 6. 法的要因 (Legal) – **競争法・独占禁止法**:市場支配力の規制。 ### 出力形式 – 各PESTLE要素ごとに見出しを設け、箇条書きまたは段落で分かりやすく記述してください。 |
このプロンプトを使って、AIに外部環境調査を実行させた結果がこちらです。
将来予測と具体的な影響評価を含めているので、単なる現状分析に留まらず、より実用的な分析が可能です。
あとは、内容を確認し、自社の判断基準に沿って修正を加えればレポートとして活用できます。
このように、市場調査にAIを活用すれば、従来は時間と労力がかかっていた調査・分析を自動化し、効率化と標準化を同時に実現可能です。
市場調査にAIを活用して意思決定をスピードアップしよう
市場調査は、事業戦略や新規事業の判断に直結する重要な業務ですが、人力で行おうとすると時間がかかるうえ、担当者によって精度にバラつきが生まれがちです。
そのためリサーチ会社に外注するのが一般的ですが、コストがかかる分何度も繰り返し実施しにくいというデメリットがあります。
一方、AIとkintoneを組み合わせれば、質の高いデータの蓄積から分析、レポート化、共有までを一元化でき、意思決定までのスピードを飛躍的に高められます。
誰もが同じ基準で市場環境を分析できる体制が整うので、組織全体の競争力強化につながるでしょう。
市場調査を一部でも内製化できるようになればコストを抑えられるうえ、分析までのサイクルを回しやすくなります。
コムデックでは、kintoneとAIを掛け合わせて業務課題を解消する事例を多数ご用意しております。
「調査にAIを活用したい」「AIを使って分析精度を高めたい」という企業さまは、ぜひ資料をご覧ください。