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Imadoki 2025年12月号が発行されました

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AI活用が広がる中で問われた“守り”の意識–2025年を振り返って

2025年もいよいよ終わりが近づいてきました。
今年は生成AIの活用が一気に広がり、業務の中にAIを組み込む動きが当たり前になった一年でしたが、御社の取り組みは如何でしょうか?

文書作成、問い合わせ対応、データ分析など、コムデックではAI が日常の業務を支える存在へと進化し、お客様からもAI 導入や活用に関するご相談が急増しました。
まさに、「AIをどう使うか」が企業成長のカギとなった年でした。

一方で、その裏側で改めて注目を集めたのがセキュリティの脅威です。
特に、アサヒビールやASKULで発生したランサムウェア被害は、企業の規模を問わず他人事ではない事件でした。被害は長期化し、中小の取引先にまで影響が及んでいます。

ASKULのケースでは、同社の物流を利用していた良品計画(無印良品)やロフト、そごう・西武といった企業が相次いで影響を受け、オンライン販売や配送が一時停止するなど、生活者にも波及しました。
私の友人の企業でもASKUL代理店をされている企業があり、「突然注文が止まり、売上がゼロになった」「長期化でカウネットやたのめーるに顧客が流出する事態になっている」という悲痛な声もありました。

このように、一社のセキュリティトラブルが業界全体に波紋を広げる時代になっていることを痛感させられます。
IT化がすすんだことで、AIやクラウドなど、便利なデジタル技術を使うほど、守るべき情報も増えていますが、まだまだ経営者だけでなく企業の担当者様でもWindowsXPや7時代と同じ意識・知識で運営されているのが現実です。
2026年は、AIの活用がさらに進むと同時に、大手から取引先によるセキュリティチェックもいっそう厳しくなると予想されます。
コムデックでは、AIの進化がもたらすチャンスを、安心して活かせるように「攻めのIT活用」と、セキュリティなど「守りのIT対策」の両輪で、皆さまの安心と成長を支えるお手伝いを続けてまいります。
2025年も一年間、誠にありがとうございました。

取締役会長 樋口雅寿

AIエージェント元年と言われた2025年を振り返る

今月のImadokiは年末号として、恒例の1年の振り返り特集となります!

2025年は”AI一色”だったと言っても過言ではない1年となりました。特に6月までにAI分野では、連続的に大きな変化が起きました。

その一つがディープリサーチ機能の実装です。
これはAIが深い探索を行い、結果をレポートに整理する機能です。そして10月にはOpen AIがAIを組み込んだWebブラウザである「ChatGPT Atlus」をリリースしました。
ブラウザ戦争が本格化しましたが、様々な進化によって、検索の時代が終わりを迎えようとしています。

次に推論モデルが実装されました。
これは利用者からの問いをAIが多段的に分解し、思考プロセスを経て回答を導くモデルです。AI が問題を構造的に理解し、深い思考を獲得した瞬間です。

そして、LLM(大規模言語モデル)と呼ばれる事前学習データから回答していたAIが、ウェブ検索を取り込みました。
これにより、事前に学習していないデータについても検索を通じて広く知識を得られるようになり、古いデータからの誤った回答の確率が大幅に減りました。

こうした進化によって、これまでビジネスの現場では実用に耐えられなかったAIが、コンサルタントと同等、あるいはそれを凌駕する力を発揮し始め、AIのビジネス活用が一気に注目を集めました。

6月以降は、画像生成や動画生成でも画期的な進化があり、大きな話題を呼びました。単に文章を生成することから、クリエイティブの世界でのAI活用が本格化しています。

▼Googleのnano bananaにて生成したモデル

▼別角度どころか別の服装も生成可能になりました

時代の変化が待ったなしで押し寄せる、本気の変化対応が必要に

01 万博の成功の光と陰

今年4月に大阪・関西万博が開幕しました。
事前目標である2,820万人には届きませんでしたが、関係者を除く一般来場者数は2,500万人を突破し、黒字ラインの2,200万人を大きく上回るなど、当初の予想を良い意味で覆し集客は大成功となりました。

経済効果も経済産業省の試算で2.9兆円と大盛況の中で幕を閉じました。
ただし、万博効果から一時的な景気押し上げはありましたが、今後は「万博不況」と呼ばれる閉幕後の景気減速懸念に注視する必要があります。

02 トランプ関税による国際情勢の不安定化

万博開幕前に話題となったのが、建設コストの肥大化問題です。
これは2022年2月に始まったロシア・ウクライナ戦争の影響から、エネルギー・原材料を中心とする資源調達の不透明感が高まり、コストプッシュ型の世界的なインフレ傾向へと発展。
建築資材にも大きな影響が出ました。

国際的な流れとして、大きな注目を集めたのが”トランプ関税” です。
日本だけでなく世界中の国と関税率の見直しが行われました。日本でも、当初よりは緩和されたものの、自動車を中心に従来より高い関税がかかり、すでに大きな影響が出ています。

さらにTemuやSHEINなど関税法の隙を突いた少額商品の流通にも関税がかかるようになり、EC関連企業の収益を圧迫する事態となっています。

03 日本経済の復調? 日経平均5万円突破!

不安定な国際情勢の中でも、10月に日本で初めての女性総理が誕生しました。
アベノミクスを継承する積極財政を掲げ、市場の期待値も高く、一時的に日経平均株価は、ハイテク株を中心に市場最高値を更新する一方、「有事の金」と言われる金価格も過去最高を記録するなど、不安定な状況が続きました。

こうした動きの背景には、潜在的なリスクが潜んでいると警戒を呼びかける動きもあり、ますます予測が難しい不安定な時代に突入しました。

04 歴史的な最低賃金切り上げ

ここから再び日本国内に目を移します。

予測よりも早いスピードで進む人口減少と高齢化。これに伴い、人手不足の問題が顕在化し、人手不足倒産が過去最高を記録しています。

大手企業では初任給25~30万円が珍しくなくなるなど、インフレ対応と採用強化のための賃上げが進んだだけでなく、最低賃金の引き上げ額も過去最高となり全都道府県で遂に1,000円超となりました。

一方で年初に退職代行サービスが話題となり、それが象徴するように人材の流動化はさらに激しくなりました。
人件費上昇圧力が強まる一方で、若年層を中心に簡単に転職する時代となり、中小企業は難しい舵取りを迫られています。

人手は欲しいがコスト上昇につながる。せっかく採用できても短期で転職されるリスクもある。まさに受難の時代です。
ただ、高市首相が残業の上限規制への緩和を検討したり、退職代行サービスの代表的な企業に家宅捜索が入るなど。大きく時代が動くのを感じます。

国内ではインフレによって実質賃金のマイナス状況が続き、消費者の防衛型消費の傾向が強まっています。
メリハリ消費など、ご褒美的な消費以外では無駄を省く意識が高まっています。
消費が刺激されなければ、企業経営にも影響が出てきます。

ここまで振り返ってきましたが、「年末に向けて気持ちが暗くなった」「来年も苦しい時代が続くのでは」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

▼弁護士法違反容疑で捜索されるも、利用は続くでしょうね…

中小企業はどう考えるべきなのか?

少し時間を戻してみましょう。

実はコロナ禍に突入した2020年も、先行きが見えない時代(VUCAの時代)と言われていました。
企業は「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」環境に適応する必要があるとして、当時話題となった言葉がDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

IT化という言葉もありますが、これは人の仕事をITツールで効率化することが主眼であり、成長期における業務効率化と標準化が目的でした。
一方DXは、時代に適応するために、ビジネスの在り方そのものを変革することが目的です。

ところが蓋を開けてみれば、実際にデジタルでビジネスを変革した企業はほとんど現れず、DXという言葉は浸透したものの、IT化とDX化が区別できない、寂しい実態となっています。

アフターコロナとなり、当時抱いていたリスク意識は徐々に薄れていきました。インバウンド需要や投資ブームなどもあり、危機感が弱まっていったのです。

ところが今年、それまでのリスクが一気に顕在化しました。
インフレ・人手不足・トランプ関税など、大きなトピックスが矢継ぎ早に発生し、新たな経営リスクを感じる一年となりました。

そんな中で登場したのが”AI”です。
AIがこれほど注目を集める理由は、企業の生産性を向上させる可能性を秘めているからです。
ITはツールとして人の仕事を効率化し、デジタルは業務プロセス自体を効率化しました。
そしてAIは、人の仕事を代替し、企業の付加価値を向上させる可能性があります。

中小企業は大手企業と比較して、AI 導入率が低いと報道されます。
導入が進まない理由として効果を出しにくいという調査データもあります。

ただし、AI を業務効率化のITツールとして捉えると効果は限定的になります。
大手と中小の大きな違いは人の数です。業務効率化の効果は人数に比例するため、中小でも効果はありますが、どうしても限定的になってしまいます。

AIはコンサル並みの能力とクリエイティブの力を身に付けました。
中小企業は大手と比較して、専門人材や知識の不足、学習時間の不足、プロ人材への外注コスト不足など多くの課題を抱えています。
新しいことを始めるには時間やコスト、さらにはセンスも求められ、結果として諦めることも少なくありませんでした。

その壁を一気に破壊する可能性があるのが”AI”です。
AIを単なる業務効率化ツールと考えている経営者は、今からその考えを改めるべきでしょう。

社長が自己投資をしてAIを活用する

AIはこれまで”ない””足りない”という負の連鎖から社長を解放するパートナーです。
しかも、月額投資額は数千円レベルです。AI一つのサービス利用は、概ね月額2~3千円前後のものが多く、目的に応じて最低3つ程度のAIと契約するだけで、多くのことに対応できるようになります。

AIをインターネットの登場に近いと表現する人もいます。
インターネット登場時も、存在を知っていても遠くから眺める人と、その面白さに魅了されてのめり込む人に分かれました。

今あなたがその岐路に立っているとしたら、どうしますか?
AIを単なるITツールとして社内の詳しい人に丸投げしますか?それとも今すぐAIに課金して、その効果を体験しますか?コロナ以降も先行き不透明な時代は続いています。
不安定な時代こそ、どんな企業にも大きく成長できるチャンスが訪れます。

そのための強力なパートナーがAIならば、社長が自ら積極的にAIに課金し、AIを知り、AIを活用し、その効果を実感する。
来年に向けてやるべきことは、まさにそこにあるのではないでしょうか。

御社のAI投資額は幾らでしょうか?
まさか投資額0円で、無課金のAI を使い続けていませんか?

コムデックでもMicrosoft Copilotが取り扱い可能ですので、是非お問い合わせください。

kintoneエキスパート 島上&吉田がみたCybozu Days 2025

会場入り前から熱気がすごかった!

幕張メッセで開催されたCybozu Days 2025に参加してきた島上と吉田が、その様子をレポートします!

京葉線の電車内や海浜幕張の駅の床から広告があって、会場入り前から熱気を感じましたが、会場は遊園地か!?といった感じの遊び心いっぱいのブースが並んでいました。

生産性が20倍になる時代がきた

今年のテーマは「ノーコードAI ランド」。kintoneは現在41, 000社に導入されており、記念すべき10回目の開催となりました。

今回最も衝撃的だった事例は、グラファー社の石井代表が語った「AI×データ活用により生産性2000%(20倍)」という数字です。
これは単なる理論値ではなく、実際に同社で起きている現実でした。

AIで変わる働き方の本質

グラファー社のセッションで語られたのは、AIと人間の役割分担です。
AIは「東大卒の新入社員以下」であり、一切責任を負いません。しかし、適切に使えば驚異的な生産性を実現できます。

この生産性向上を実現する鍵は「フルサイクル開発」と「2名体制」でした。

一人が要件定義から運用まで全役割を担当し、コミュニケーションコストを最小化。運用リスク回避のために2名体制を取る。
この体制が、意思決定の高速化を可能にしています。

全員が指示を出す側、業務を設計する側へ。業務遂行はAIに任せる。

この言葉が示すのは、職種に関わらず誰もが「業務設計者」になる時代の到来です。
セッションで強調されていたのは、「始め時は今」という考え方で、とにかくスピード重視で始めることです。

その理由は、

  • サイロ化を恐れない:個別最適で進めて後から繋げる
  • 検討に時間をかけると、AIモデル性能向上で計画が陳腐化する
  • 簡単な事例から始める:顧客問い合わせの緊急度分類など「分類問題」から

大企業の意思決定スピードが遅いなんて言われていますが、実際には中小企業の方がゴール設定が無く、意思決定のプロセスが曖昧なため遅いのが実情になっているのを感じます。
AI活用だけでなく考え方からも刺激を受けることになりました。

西道さん、kintone hack 2025で優勝!

kintone芸人としては活躍の場がすくない西道さんですが、発想力、技術力、プレゼン力には定評があります。
今回のkintone hack 2025において選りすぐりのメンバーのから勝ち抜き、「kintoneで宇宙を作ってみた」という作品で見事全国優勝しました!

サイボウズ 青野社長からも「どこで使うんや」と突っ込まれた内容ですが、西道さんオメデトウございます!

他の発表には数理最適化やkintoneでワンタイムパスワード、ユーザーエンゲージメント可視化など、実用性の高いhack(問題を巧妙に解決する工夫)が並んでいました。
それでも優勝できたのは、発表中の「自分のkintoneの宇宙を想像して」というメッセージが、聴衆の心を掴んだからでしょう(笑)

この辺りはkintone芸人でも詳しく紹介されていますので、是非Youtubeにてご確認ください。

振り返って

Cybozu Days 2025は、AI活用の本質を学ぶ貴重な機会となりました。
技術の実用性だけでなく、その先にある働き方の変革や世界観を提示することの価値を実感しました。

特にグラファー社の「全員が指示を出す側へ」というメッセージや、ITR館野さんのAI時流セッションでは、大きな気づきを得ることができました。

また、kintoneという共通言語を持ったコミュニティでの仲間づくりの重要性も再認識しました。
ユーザーコミュニティの強さこそが、kintoneの大きな魅力の一つです。

オフラインイベントならではの価値を実感できた1日となり、これらの学びを日々のお客様支援に活かしていきます!

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