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Conversation対談

2026.06.22

第174回「羽生棋士から学ぶAIとの付き合い方」

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

AIが最善手を示す時代の経営戦略

  • 安田

    将棋の羽生さんってご存知ですよね?

  • もちろんです。羽生世代ですから。
    今は藤井さんですけど我々の頃はずっと羽生さんが最強でした。

    生田
  • 安田

    その羽生さんがAIについて語っていまして。
    AIが将棋のプロに初めて勝ったのは10年ぐらい前らしいんです。

  • そうですよね。確かチェスは早かったけど将棋はずっと勝てなくて。

    生田
  • 安田

    考えてみたら最近なんですよ。それまではずっと人間の方が強かった。
    それが今やプロですらAIで勉強しているという。AbemaTVもAIの評価値が同時に出てきますし。

  • AI評価値が出ない解説番組なんてもう成り立たないですよ。

    生田
  • 安田

    ほんとそう思います。プロの指し手が最善手だったのか2番目だったのか瞬時にわかって。

  • 悪手を指したら瞬時に評価が下がりますよね。あれはすごい。

    生田
  • 安田

    プロの解説者もAIを参考にせざるを得ないという。

  • そうなりますよね。

    生田
  • 安田

    藤井さんも試合が終わった後に「どれが最善手だったのか」をチェックしてるみたいです。

  • それはもう必須でしょう。他の棋士はみんな見ているわけですから。

    生田
  • 安田

    ですよね。ただ羽生さん曰く「AIの最善手を選ぼうとするとみんな同じ手を選ぶことになっちゃう」と。

  • 確かに。最終的にはそうなりますね。

    生田
  • 安田

    自分の個性を生かして最善手じゃない手を選ぼうとすると「AIの評価値が低い手をわざと選ぶ」ってことになるそうです。

  • 最善手=最適解ですから。当然そうなりますよ。

    生田
  • 安田

    「あえて正解じゃないものを選ぶ」という不思議な選択になります。

  • まあ将棋は一手で終わるわけじゃないので。
    相手がその先どうするかによって当然結果が変わってくるわけですけど。

    生田
  • 安田

    これって商売でも同じですか? AIに色々聞いてビジネスプランを考える人が増えてるじゃないですか。

  • はいはい。

    生田
  • 安田

    どこの会社もみんな似たような戦略を選ぶことになっちゃいませんか?
    商売でも「敢えて評価値の低い手を選ぶ」ってことが必要になるんでしょうか。

  • それは難しいところですね。将棋やチェスって、いわゆる完全情報ゲームと言われていまして。
    全ての情報が相手にもオープンになってるじゃないですか。

    生田
  • 安田

    盤上も持ち駒もすべて見えてますからね。

  • そう。全てのデータが開示された状態であるっていうのが大前提なんです。
    これがポーカーだと事情が違っていて。

    生田
  • 安田

    確かに。ポーカーは相手の手が見えないですもんね。

  • そうなんですよ。自分の手札は自分しか知らない。
    不完全情報ゲームと言われてるんですけどAIは情報が開示されているから強いわけです。

    生田
  • 安田

    不完全ゲームでは人間に勝てない?

  • 勝率は下がるでしょうね。完全情報ゲームは変数が少ないので最適な一手を導き出すことが出来る。

    生田
  • 安田

    じゃあ羽生さんが言う「最善ではない手」は選ぶ意味がないと。

  • いえ。羽生さんは将棋の中に独自性を組み込むって話だと思うんです。
    そもそも将棋ってエンターテイメントなわけですよ。個性が魅力になりファンを惹きつけるわけで。

    生田
  • 安田

    確かに。全員がAIの最善手を指しあっていたらぜんぜん面白くないです。

  • そうなんですよ。だから個性や癖は必要で。その個性や癖を相手も理解して、そこをさらに突いてくる。
    癖vs癖になるわけでそれがエンタメとして面白い。

    生田
  • 安田

    あえて完璧ではない人間同士の戦いを見ているわけですもんね。

  • 前提として最適解というものがあって「どれだけ生田が乖離しているか」安田棋士はその乖離に対して「どういう風にアジャストしてくるか」というエンターテインメントなわけです。

    生田
  • 安田

    ある意味「ミスするのが楽しい」とも言えますもんね。

  • はい。一方で商売はどうかって言われると「半分正解で半分そうじゃない」と思います。

    生田
  • 安田

    半分正解で半分は不正解?

  • 全く同じデータと同じプロンプトで回せば、確かに同じアウトプットになるんですけど。
    まず同じデータではないんですよ。

    生田
  • 安田

    なるほど。データは会社によって違うと。

  • 持っているデータも着目するポイントも違う。会社によって大事にしている考え方が違うってことですね。

    生田
  • 安田

    つまり最善手を選び続けてもA社とB社は同じ戦略にはならないと。

  • 全く同じにはならないでしょうね。そもそも商売は不完全情報ゲームで、データ自体が各社で異なるし、大事にしている考え方も違う。
    Aという結果をいいとするか悪いとするかも変わってくるわけです。

    生田
  • 安田

    A社にとって不適切なことがB社にとっては大事にしているポイントだったりすると。

  • そういうことです。だから全員がAIを使っていったとしても、大事にしてるものを守り続けていけば自ずと違う結果になっていくはず。

    生田
  • 安田

    じゃあ「こだわりがない会社」だとまずいわけですね。AIにお伺いを立てたまま経営していると。

  • 他社との差別化が出来なくなって価格競争になっていくでしょうね。
    数値的な大小よりも「経営者が何をしたいか」という感性がより大事になってくるってことです。

    生田

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