> 対談一覧 > 第149回「テレビというコンテンツの未来」
“テレビの限界”が生む新しいエンタメ市場
安田いま芸能界ってすごくコンプラがうるさくて。
テレビはスポンサーで成り立っているので。
スポンサーは商品が売れないと困るから視聴者に評判の悪い人を使うわけにいかないんです。
生田
安田だからエッジの効いた芸が出来なくなってきてるわけですね。
はい。YouTubeに移る芸人さんが増えてきました。
霜降り明星の粗品さんとか。
生田
安田この人もYouTubeで際どいネタをやってますよね。テレビでは出来ないネタというか。
ゲームにものすごい金額を課金した話とか。人気ありますよ。
生田
安田YouTubeはその手のネタが多いですよね。
子供に大量のおもちゃを与えたり。食べ物を粗末にするユーチューバーとか。
顰蹙(ひんしゅく)の大きさ=視聴数みたいなところがありますからね。
生田
安田テレビでやると間違いなく批判されるネタですよ。スポンサーに「あいつは出すな」って言われてしまう。
そうなるでしょうね。
生田
安田1回炎上しちゃうともうテレビでは使えないイメージです。
それで消えていく人がどんどん増えてますね。
生田
安田お笑いコンビの相方が頭をはたくとかも、いずれダメになるんでしょうか。
可能性はありますよね。
しかも難しいのはテレビでのパフォーマンスだけじゃなく、プライベートでの振る舞いまでが炎上の対象になったりすること。
生田
安田確かに。ずっと聖人君子でなきゃいけない時代です。
それが番組に起用されるか否かのポイントになってきちゃうので。
芸人が生きづらくなってきちゃった。
生田
安田飲み屋さんに行ってちょっと大きな声を出しただけでパワハラとか言われそう。
すごく気を使ってると思いますよ。
生田
安田清楚なイメージを売りにしている俳優さんとか大変でしょうね。
大変ですよ。特にお笑い芸人ってある程度エッジが効いた芸をやらないと面白くないじゃないですか。
生田
安田ほんとですよね。
真面目にやっているだけでは飽きられるし。エッジを効かせ過ぎると干されるし。
だからネットの世界で自分の番組を作る流れになっていくんでしょう。
生田
安田テレビはどんどん無難になっていくんでしょうか?
それでなくても若者はあまりテレビを見ないのに。
そうなんですよ。若者にしたらどんどん面白くなくなってる。
生田
安田お笑いはもう「ネットで楽しむもの」になるんでしょうか。
なると思います。
例えば粗品さんはコンビとしてのYouTubeチャンネル、粗品さん個人のメイン、サブチャンネル、みたいに発信の場がマルチなんです。
生田
安田なるほど。それを使い分けているわけですね。
ターゲットに合わせて変えてるんでしょうね。
他にもSNSで単独ライブをやったり。
テレビに出なくても活躍の場、発信の場を持てるということですよ。
生田
安田他の芸人さんもこの流れに乗っていきますか?
重要なのは、粗品さんの活動を吉本興業が全面バックアップしているということで。
生田
安田そうなんですね。
吉本興業と折半でYouTubeチャンネルもやってる。
要は芸人がテレビから離れていってるだけじゃなく吉本興業自体もテレビ以外の舞台を整えている。
それが今の流れだと思います。
生田
安田なるほど。あまり声を大にしては言わないけど、テレビだけだと続かないってどこかで思ってるんでしょうね。
それは大いにあると思います。ファンを集めればネットでいくらでもマネタイズ出来るので。
生田
安田テレビに出てスポンサーの顔色を伺う必要はないってことですね。
ファンとダイレクトに繋がっていれば、自分たちのやりたいパフォーマンスが実は滅茶苦茶やりやすい。
今はそういう時代だってことですよ。
生田
安田スポンサーに好かれるよりも自分のファンとちゃんと繋がっていることの方が大事だと。
間違いなくそうですね。
そもそも芸があるわけで、繋がりさえあればいくらでもマネタイズ出来るっていう。
生田
安田吉本も元々はリアルで舞台を持ってファンを作ってきた会社ですからね。
ネット社会ではそれが加速していくと思います。
スポーツもネットに移行して桁違いに稼げるようになってます。
生田
安田テレビがますますつまらなくなっていきそうですね。
これはもうしょうがないです。
今さら若い子がテレビを見るとも思わないし。
テレビでリーチ出来る視聴者層に向けてコンテンツを作っていくことがテレビに残された道ですよ。
生田
安田視聴者は年配の人ばっかりですけど。それでもテレビが無くなりはしないと。
無くなりはしないけど面白いものはどんどん作れなくなっていくでしょうね。
演者だけじゃなく有名なディレクターもテレビを離れて自分でチャンネルを作ってますから。
生田
安田最後はどうなっていくのか。ある意味とても楽しみです。