ホーム  >  対談一覧  >  第142回「SaaSはもう死んでいる?」

Conversation対談

2025.10.27

第142回「SaaSはもう死んでいる?」

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

AIに良い指示を出せる人材が重宝される時代へ

  • 安田

    SaaSってパッケージソフトみたいなものですか?

  • そうですね。パッケージソフトやクラウドサービスだと思っていただければいいと思います。

    生田
  • 安田

    たとえば、どんなものがあるんですか?

  • 身近なところで言えば、スマートフォンに入っているアプリ全てがある種パッケージであり、クラウドサービスであり、今回の話のテーマであるSaaSって感じですね。

    生田
  • 安田

    その今回のテーマですが、経費精算用のSaaSを提供している会社がありまして。
    そこの社長さん曰く「もうSaaSというビジネスモデル自体が終わる」と。

  • 根本からビジネスモデルを変えようとされているみたいですね。

    生田
  • 安田

    これはAIの影響なんですか?

  • そうです。AIの影響が大きい。
    ポイントは2つあると言われていまして。1つはSaaSって星の数ほどあるわけですよ。

    生田
  • 安田

    競争が激しいと。

  • そう。経費ソフト1つをとってもめちゃくちゃ種類があるわけです。
    ジョブカンとかマネーフォワード経費とか。

    生田
  • 安田

    マネーフォワードは知ってます。

  • SaaS企業は競争が激しいので「機能を増やす」「使いやすくする」というカスタマイズが宿命なんですよ。
    それを今までは人間のプログラマーがやっていたわけです。

    生田
  • 安田

    そこにAIが現れたと。

  • まさにそうですね。人間がプログラミングをしているからこそ、そこに対価があったわけですよ。
    だけど全部AIがやるとなったら「原価かからないよね」って話になるわけです。

    生田
  • 安田

    原価がかからないから安くなるってことですか?

  • 原価がかからないから模倣が超簡単になる。結果的に安くなる。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • つまり違いが無くなっていく。
    そうすると最後に行き着くところは「初期費用も月額利用料も0円」になるってことなんです。

    生田
  • 安田

    同じだったら1番安いシステムを買いますよね。

  • そう。自社用のカスタマイズもAIにやらせれば事足りてしまうわけですよ。
    これが「SaaSは終わり」「SaaS is dead」という言葉の意味ですね。

    生田
  • 安田

    なるほど。この社長さんは「自らそれをタダにして解放する」ということをやるそうです。
    無料にしてどうやって利益を出すんでしょう?

  • ご存知のリクルートは昔からソフトをタダで開放していますよね。
    たとえばリクルートのAirレジっていうのがあるんすけど。

    生田
  • 安田

    Airレジ。聞いたことあります。

  • 当時は飲食店のポスレジという仕組みをトラディショナルな会社が牛耳っていまして。
    めっちゃ高かったんですよ。

    生田
  • 安田

    リクルートがそこに目をつけたわけですね。

  • はい。簡単にレジができて、レシートを出せて、席の予約機能までついている。
    めちゃくちゃ便利な店舗管理システム「Airレジ」がタダで提供されたわけです。

    生田
  • 安田

    すごい!でもリクルート社はどうやって収益を上げているんですか?

  • ポスレジの中に蓄積されるデータに価値を見出したわけですよ。

    生田
  • 安田

    データを取るために無料で提供したと。

  • 無料でソフトを開放した。この社長さんが考えられてる仕組みも同じで。
    どうせSaaSは死ぬわけだから、もう0にしちゃえと。
    そしてデータベースを誰よりも豊かにして、そっちを武器に変えていこうと。

    生田
  • 安田

    8,000人ぐらいスタッフを抱えているみたいですが。リストラするんですかね。

  • この社長さんは「AI×人間」を商品化しようとしているみたいですね。
    AIを使うとしても指示するのは人間なので。

    生田
  • 安田

    だけどSaaSって「人間を排除する」ということが大前提の仕組みですよね。

  • おっしゃる通りです。省人化を達成することが目的の一つなので。

    生田
  • 安田

    そこにあえて人間を投入する戦略ですか。これは上手くいくんでしょうか。

  • AIに良い指示を出せる人材が今後重宝されるのは確かです。
    時代の流れとしてそっちに舵を切るのは正解だと思います。思いますけど・・

    生田
  • 安田

    他にも問題があると。

  • SaaS is deadには2つ目のポイントがありまして。UIが要らなくなると言われているんですよ。

    生田
  • 安田

    UIって何ですか?

  • 簡単に言えば入力画面ですね。アプリ、クラウドサービス、パッケージ、全てに入力画面がありますよね。
    もしくは検索して一覧が出てくる表示画面。そういうインターフェースのことです。

    生田
  • 安田

    当然ありますよね。ないと使えない。それが要らなくなると。

  • そう。インターフェースがいらない。なぜかって言うとAIエージェントが進化しまくっているから。

    生田
  • 安田

    AIエージェント?

  • たとえば先ほど僕と安田さんで12月の予定を決めたじゃないですか。

    生田
  • 安田

    はい。決めました。

  • で、お互いカレンダーに自分で登録したと思うんです。

    生田
  • 安田

    登録しました。

  • すなわちカレンダーUIに自ら登録をするという行為を行ったわけです。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • それが近い将来どうなるかっていうと、会話をしていたら勝手にAIエージェントがカレンダーに登録するんですよ。

    生田
  • 安田

    そんな勝手なことをされたら困りますけど。

  • 困らないように絶妙な判断をするわけですよ。

    生田
  • 安田

    入力してほしいものだけをちゃんと入力し、入力してほしくないものはしないっていう。

  • めちゃくちゃ能力の高い万能秘書がついてるわけですよ。そうするとカレンダー機能なんて要らなくなる。
    要はデータベースさえあればいいんです。

    生田
  • 安田

    朝起きたら「今日のご予定はこうでございます」みたいな時代になると。

  • そういうことです。つまり「人間×AI」はもはや古代兵器になってしまう。

    生田
  • 安田

    この社長さんがやろうとしている戦略も一瞬で終わっちゃうかもしれないと。
    恐ろしい時代ですね。

生田智之 伊勢で働く社長のチャンネル生田智之 伊勢で働く社長のチャンネル

※掲載されているすべてのコンテンツの無断での転載、転用、コピー等は禁じます。©Copyright Comdec. All Rights Reserved.