> 対談一覧 > 第139回「IT技術ではメシが食えない時代」
AIが加速するに連れて人間はアナログ化する
安田アメリカでコンピューターサイエンスの卒業生が就職氷河期になっていまして。
もうその分野は難しいでしょうね。
生田
安田有名大学の卒業生でも就職出来ないそうです。「AIに仕事を奪われた」ってことですか。
そういうことですね。
生田
安田MITを卒業しても「飲食店の仕事しかない」ってニュースになっていました。
やばいですね。
生田
安田アメリカはもうここまで環境が変わってきているんですね。
日本でもそうなることはもう明白ですよ。
生田
安田日本はまだ新卒の理系を取り合っていますけど。
日本の新卒って即戦力ではないので。まだ安いんですよ。
生田
安田確かに。アメリカでコンピュータサイエンスを卒業したら1500万円以上の初任給だと言われていました。
スタンフォード大卒とかは即戦力なので。GoogleやMetaに年収2000万で入れたわけですよ。
けど最近リリースしたchatGPTファイルだと性能は新卒よりも高いわけです。
生田
安田スタンフォードより上ですか。
そう。しかも月額数万円しかかからない。
そりゃ行き先を失うよねっていうのが今のアメリカIT事情ですよ。
生田
安田いずれその波が日本にもやって来るってことですか。
要は人に求められる能力が変わるってことですよ。
今まではプログラミングやデータベース設計のスキルが優遇されてきたわけですけど。
生田
安田そういうスキルはもういらない?
そこはAIに置き換わる。そうなると人に求められるものがコミュニケーションになる。
つまり「作ったものをいかにうまく届けるか」が重要なわけです。
生田
安田プログラムは得意だけど「人とのコミュニケーションは苦手」みたいな人でも重宝されてきましたけど。
もう終わりですね。コミュニケーション能力が低い理系人材は使い物にならない。
生田
安田じゃあ逆にアナログスキルが重宝されるわけでしょうか。
お客さんにこまめに連絡したり、お客さんに好かれるスキル。
そういうことです。少し不出来でも可愛がられ力の方が重要であるということです。
生田
安田一昔前に戻った感じですね。
はい。すごいスピードで右に行ったり左に行ったりしています。
生田
安田じゃあ、いずれまたプログラミングスキルが重宝される可能性もある?
それはあり得ないですね。テクノロジーの進化が逆行することはないですから。
生田
安田人間がプログラミングする仕事はどんどん少なくなる一方だと。
もうコードなんて読めなくても別にいい。プログラミングは「火起こし」みたいなスキルになっていきますよ。
生田
安田ライターがあればそれでいいと。
そういうことです。ライターの仕組なんて分からなくても問題ない。
生田
安田カチッと火が付けばいいんだと。
AIが作ったプログラミングも同じなんですよ。中身は分からんけどすごく便利だぞと。
生田
安田スマホやパソコンもそうですよね。どういう仕組みか知らずにみんな使っているわけで。
テクノロジーが進化し続けることによって、人間はそのからくりを理解していなくても利便さを享受できちゃうわけですよ。
生田
安田なるほど。
ただ、そこに携わる新卒社員は難しいよねという話で。
生田
安田日本の就職マーケットはいまだに理系有利と言われてますよ。
小池都知事も「理系人材を増やす」と言っていますし。
理系人材の定義が変わるでしょうね。
プログラミングが出来る人間ではなく「テクノロジーの原理原則を理解した上で上手に使える人」ってことになる。
生田
安田なるほど。そういう人材育成が必要だと。
はい。プログラムを作る人より、それを使って人と人とのコミュニケーションを円滑にしていく人が必要なので。
生田
安田人間の仕事はアナログに回帰していくのかもしれませんね。
そもそも人間の仕事が減ると思います。ホワイトカラーや管理職はほぼ絶滅しますよ。
その初動がアメリカの新卒IT人材で起こっているということです。
生田