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Conversation対談

2025.09.08

第135回「中古カバンを14億円で落札した意味」

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

中古カバンが生む驚きの宣伝効果

  • 安田

    エルメスのバーキンって知ってますか?

  • はい。もちろんです。店舗に行っても売ってもらえないカバンですよね。伝説の。

    生田
  • 安田

    そう。しかも300〜400万もするらしいです。

  • 中古品がめちゃくちゃ高いんですよ。下手すると新品より高くて。

    生田
  • 安田

    その中古品の中で「最初のバーキン」と言われているカバンがオークションにかけられまして。
    女優のバーキンさんが実際に使っていたカバンみたいです。

  • おお!凄い値段がつきそうですね。

    生田
  • 安田

    なんと14億円だそうです。しかも落札したのが日本人。

  • とんでもないですね。

    生田
  • 安田

    元Jリーガーの社長さんが落札したそうです。
    いろんな中古品の販売をやっている会社らしいんですけど。

  • なるほど。
    つまり14億は会社のブランディング投資ってことですね。宣伝目的と言いますか。

    生田
  • 安田

    でしょうね。それにしても14億はすごい。

  • いい戦略だと思いますよ。

    生田
  • 安田

    ネットでは散々叩かれてました。「貧富の差がさらに広がったぞ」みたいに。

  • それは悲しい話ですね。日本人が競り落としたことを喜ばないと。

    生田
  • 安田

    ほんとですよね。僻みがすごいから。生田さんから見たらこれっていい戦略ですか?

  • すしざんまいさんが正月にマグロ1億とかで競り落として、テレビでめちゃくちゃ取り上げられていたじゃないですか。

    生田
  • 安田

    はい。ちょっと前にありましたね。

  • あれと同じですよ。

    生田
  • 安田

    お店でそのマグロが食べられるってことで集客効果が凄かったみたいです。

  • もちろん食事代では元が取れないんですけど。
    テレビで何度も何度も取り上げられて、その宣伝効果を考えたら安いもんですよ。

    生田
  • 安田

    1億円でテレビCMをやっても一瞬で終わりますからね。

  • 1億ではほとんど効果ないです。しかもCMなんて若い人は見ないし。

    生田
  • 安田

    つまり集客・ブランディング投資としては1億円のマグロは安いと。

  • ぜんぜん安い。2025年の初物マグロなんて2億円ですから。
    先見の明があったわけですよ。初物のウニなんて1枚700万円ですよ。
    今はそんな時代です。

    生田
  • 安田

    じゃあこのバーキンも元は取れる?

  • これだけニュースで取り上げられて、すでに元は取れてますよ。
    しかもウニやマグロと違って腐らない。永遠に存在し続けてくれるわけですから。

    生田
  • 安田

    確かに。ミュージアムで展示するとおっしゃってましたけど、展示している間はずっと集客できますからね。

  • いざとなれば売却も可能だし。
    それこそ本業ですから「初代バーキンを売ります!」ってやればまた話題になるし。
    14億より高く売れたら大儲けですよ。

    生田
  • 安田

    確かに。14億で仕入れたものが16億で売れたりして。

  • その2億円の利益はすごいんですけど大したことなくて。
    それよりも宣伝効果のほうが大きい。安田さんは元々この社長さん知ってました?

    生田
  • 安田

    いえ。言われてみればこのバーキをン買うまで、この会社もこの社長さんも知りませんでした。

  • そうでしょ。私も知らなかったですから。

    生田
  • 安田

    我々もこうやって対談で取り上げるぐらいですからね。
    いろんな人が取り上げて、めちゃくちゃ知名度が上がるんでしょうね。

  • 安田さんもこういうブランディング得意でしょ。

    生田
  • 安田

    昔、会社にでっかいワインセラーを作ったことがあります。有名なワインを1000本ぐらい並べていました。
    それを見に日本中の社長さんが集まってきて。

  • メディア取材も凄かったですよね。

    生田
  • 安田

    はい。「新宿にこんなバカなことをやってる社長がいるぞ」ってことで。
    おかげさまでいろんなメディアに取り上げられて、たくさん売り上げに結びつきました。

  • ワインも腐らないし、逆にビンテージになると価値が上がるから。

    生田
  • 安田

    会社が潰れる前に売却したら仕入れた価格の倍ぐらいで売れました。

  • いいワインだったからですよ。このバーキンも同じで。

    生田
  • 安田

    確かに。14億は高いですけど、逆に高いからこそ価値があるっていうか。

  • そうなんですよ。14億円使ったということ自体が宣伝になるアクションですから。
    安いと逆に意味がないわけで。

    生田
  • 安田

    でもこういう戦略ってあまりやらないですよね。ゲリラすぎるから。

  • 多くの経営者はお金をかけて宣伝を出すのが当たり前だと思っているので。
    他人のプラットフォームにお金を投じて紹介してもらうだけ。全く資産性がない。

    生田
  • 安田

    もったいない気がしますけど。

  • そうなんですよ。自ら宣伝になるような行動を取るとか、人のやらないようなことをやった方が圧倒的に効果はいいんですけど。やらない。

    生田
  • 安田

    ギャンブルに見えちゃうんでしょうね。これが140万くらいだったらやるんでしょうけど。

  • 14億だから世界中で話題になるわけですよ。140万だとお金を捨てているようなもので。
    賢いなと思うのは決して消費じゃないってことです。下手したら上がるかもしれない。

    生田
  • 安田

    賢い人からしたら「バカじゃないか」と思われるようなやり方が、実は賢かったりするってことですね。

  • 人と同じことをやってたら同じ結果にしかならないですから。
    投資の選び方がとても重要な時代だってことです。

    生田

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