ホーム  >  対談一覧  >  第129回「経営者は何割の失敗を受け入れるべきか」

Conversation対談

2025.07.28

第129回「経営者は何割の失敗を受け入れるべきか」

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

社長にしかできないディファレント投資とは?

  • 安田

    経営者の投資リテラシーについてお聞きしたいんですけど。私も失敗して会社を潰した社長でして。
    生田さんは投資についてどう考えていますか?

  • 確かに投資って怖いですよね。失敗したら会社を潰してしまう可能性もあるし。
    とはいえ投資をしないと会社は大きくならない。長期的に考えると確実に潰れるわけで。

    生田
  • 安田

    そうなんですよ。つまり投資しないという選択肢はない。

  • お金を使わないで会社を大きくするのは難しいですし、そもそも投資スキルって投資することによってしか高くならないので。

    生田
  • 安田

    よく分かります。100%成功する投資って現実的に難しいですよね。

  • いや、それは難しいと思いますよ。投資に失敗はつきものですから。

    生田
  • 安田

    ですよね。でも多くの中小企業経営者は失敗を極端に嫌うみたいで。
    儲かってない会社ほど手堅い投資しかやらないような気がします。

  • はい。僕も同じような印象です。それって投資として意味があるのかなって気がします。

    生田
  • 安田

    確かに大きな失敗はしないかもしれないけど大きな効果も出ない。
    「それを失敗って言うんじゃないの」と思うんですけど。

  • おっしゃる通りですね。ある程度の失敗は受け入れないと成功することが難しくなると思います。

    生田
  • 安田

    生田さんから見て、経営者はどの程度の失敗まで受け入れるべきですか?

  • 一言で答えるなら「潰れない程度の失敗」でしょうね。

    生田
  • 安田

    潰れたらまずいけど、潰れない程度の失敗ならやったほうがいいと。

  • はい。なぜかって言うと、成功というのは後からついてくるものなんですよ。
    成功した状態を言い換えるなら「中長期的に利益を創出できている状態」なわけですよ。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • そして中長期的に利益を創出できているということは、その会社は他社よりも優れている、これも言い換えると「他社と異なる何か魅力がある」ってこと。

    生田
  • 安田

    確かに。

  • つまり成功するためには「他社と異なる魅力・違い」っていうのが1番大事なんですよ。
    それが差別化戦略と言われるものの本質で。

    生田
  • 安田

    同じだったら価格競争になりますもんね。

  • はい。価格競争になると長期的に利益は創出できない。すなわち成功しないということになるわけです。

    生田
  • 安田

    つまり投資とは「違いを生み出すために」するものだと。

  • そうなんですよ。つまり「他社と同じ投資」「成功しやすい投資」というのは、そもそも矛盾しているわけです。

    生田
  • 安田

    だけど多くの経営者は、業界の先駆けみたいな人を横目で見て、それを真似して成功する同業者がたくさん出てきて、ようやく投資を決断する感じ。

  • おっしゃる通りだと思います。「ほぼみんなやってるよ」となってから投資する。
    これはほとんど意味がないってことです。

    生田
  • 安田

    そんなのは、もはや投資とは言わないと。

  • 誰が見ても「いい投資」「必要な投資」ってあるじゃないですか。
    たとえば最新の設備を入れるとか性能を上げることは当然いいことじゃないですか。

    生田
  • 安田

    新しいコピー機入れるとかですよね。

  • そうです。今までより綺麗だとかスピードが早いとか。それも確かに投資だけど、それはベターな投資なんです。

    生田
  • 安田

    ベターな投資?

  • はい。だけど経営者がやるべきはベターを追いかける投資じゃなく、ディファレントを追いかける投資。

    生田
  • 安田

    性能を高めていくことも大事だけど、それだけじゃダメってことですね。

  • ベターな投資は社長以外でも判断できるけど、ディファレントを生む投資は社長にしかできない。
    だけど多くの経営者はベターな投資しかやらないわけです。

    生田
  • 安田

    ほんとそうですね。

  • 人と違う投資をしないってことは「差別化は生まれない」ということで。
    その本質をちゃんと理解した上で「うちはどこで違いを出すか」を決めて、そこにベットしていく。
    レバレッジをかけていく。それが投資の本質ですよね。

    生田
  • 安田

    同地域の会社や同業他社が「どこもやっていません」ってことをやらなきゃいけない。

  • それって社長にしかできない決断じゃないですか。

    生田
  • 安田

    その投資によって自分だけが失敗してしまう可能性もあるわけですよね。

  • 同然です。ですから潰れない程度にやるということが大事なわけです。

    生田
  • 安田

    潰れない程度ってどれくらいですか。経常利益の何割までは失敗してもいいとか決めるべきですか?

  • はい。僕は決めています。投資するのは営業利益の10%〜15%で成功確率は3割が目標。

    生田
  • 安田

    7割は失敗してもしょうがないと。

  • しょうがない。

    生田
  • 安田

    勝率を上げることは考えなくていいんでしょうか?

  • 勝率7割を目標にするとベターな投資しかできなくなります。
    それは本末転倒ってことですね。3割で全体の投資を上回る価値を生み出せば十分なんですよ。

    生田

生田智之 伊勢で働く社長のチャンネル生田智之 伊勢で働く社長のチャンネル

※掲載されているすべてのコンテンツの無断での転載、転用、コピー等は禁じます。©Copyright Comdec. All Rights Reserved.