『ベーシックインカム×国家戦略』
宗教を引き、経済を足す。
逆算で作られた都市設計
ドバイという街は単なる観光都市ではなく「住みたい」と思う戦略で成り立っていると。
はい。「お金持ちが住みたくなる街」「そこで仕事したくなる街」を完全に意識しています。
実際に住みやすいんでしょうか?
ルールを守ればすごく住みやすいし仕事もやりやすいと思います。
どんなルールですか?
たとえばドバイにはゴミが全く落ちてないんですよ。なぜならドバイは罰金大国だから。
ゴミを捨てたら罰金ってことですか?
はい。ドバイは税制がめちゃくちゃ優遇されているので「お金持ちパラダイス」的なイメージあるんですけど。実は罰金制度が非常に多い。
たとえばどんな罰金ですか?
たとえば僕らみたいなIT業がドバイでビジネスをやりたいとなった時、すぐには仕事させてもらえないわけですよ。
そうなんですね。
はい。ドバイにはライセンス制度というのがありまして。
まず「コムデックはITのkintoneに関する役務はやっていいよ」という権利を取得する。
そしてその権利に対して毎月、毎年、お金を払う。
なるほど。
〇〇屋さんをやるんだったら「年間いくらですよ」みたいな。
そうそう。
で、うっかりkintone以外のITの商売をすると巨額な罰金が来るわけです。
そこは厳しいんですね。お金さえ出せばどんな事業でもやらせてくれるけど、許可した事業以外はやっちゃいけないっていう。
ある意味「ちゃんと交通整理されている」という捉え方もできます。
なるほど。国が参入障壁を作ってくれるわけですね。
そのルールさえ守れば移住するのは簡単ですか?
そうですね。基本的にはお金持ちウェルカムな国なので。
比較的スムーズに移住できると言われています。
ただし移住を誰に相談するのかがめちゃめちゃ大事。
誰に相談すればいいんですか?
多くの日本人はドバイの日本人に相談するんですけど。
これが結構怪しい人たちが多い。
そうなんですね。
やっぱり日本人って日本語が喋れる人を信用しがちなので。
わかります。
だけど現地にいる日本人が必ずしも正直な人ではなくて。
「ドバイ引っ越しトラブルあるある」と言われています。
ブローカーみたいな人たちに頼んじゃうと後でトラブルになる。
少しくらい高くてもちゃんとしたプロにお願いした方がいいと。
そういうことですね。
ちなみにドバイの地元の人たちってみんなお金持ちなんですか。
これはドバイを語る上では欠かせないテーマなんですけど。ほどほどなんですよ。
年収で言うと2〜3000万円レベルかなと思います。
めちゃくちゃすごいじゃないですか。日本人からしたら。
日本人の平均年収と比べたらそうですね。
ただ世界的に見たら富裕層ではない。ほどほどですよ。
確かに。ほどほどですね。
すごいのは、その2〜3000万に相当するような衣食住とか、生活に必要なお金が国から支給されていること。
仕事はしてないってことですか?
やってもいいし、やらなくてもいし。
それで成り立つんですか?ドバイという国は。
実はドバイ人口の6〜7割は外国人なんです。外国人がスーパーマーケットを経営していたり、レジをやってる人も外国人だったりするわけですよ。
なんと。
外国人が移住してきて、外国人が仕事して、外国人が商品やサービスを提供して、外国人が生活している街。
つまり外国人向けの商品を外国人が売って、外国人が買っていると。
はい。だからあまり現地の人と合わないんですよ。
現地の人は何をしてるんですか?やることないじゃないですか。
国が生活費をくれるので「働きたくないんだったら家でゆっくりしてていいぞ」「衣食住は担保してやるからな」という感じ。
なるほど。ベーシックインカムみたいなものですね。
国からのある種メッセージ付きの支援なわけですよ。
メッセージ?
世界中から富裕層を呼ぶ時にバキバキにイスラム感が強かったら、ちょっと引いちゃうじゃないですか。
確かに。住むのは躊躇しちゃうかも。
だから「あまりイスラム感を出すなよ」っていうメッセージですね。
なるほど。目立たないように生活してくれと。
その代わり2000〜3000万円のベーシックインカムは払いますよと。
そういうことです。