> 対談一覧 > 第123回「実在するベーシックインカム3000万円の世界」
『ベーシックインカム×国家戦略』
宗教を引き、経済を足す。
逆算で作られた都市設計
安田ドバイという街は単なる観光都市ではなく「住みたい」と思う戦略で成り立っていると。
はい。「お金持ちが住みたくなる街」「そこで仕事したくなる街」を完全に意識しています。
生田
安田実際に住みやすいんでしょうか?
ルールを守ればすごく住みやすいし仕事もやりやすいと思います。
生田
安田どんなルールですか?
たとえばドバイにはゴミが全く落ちてないんですよ。なぜならドバイは罰金大国だから。
生田
安田ゴミを捨てたら罰金ってことですか?
はい。ドバイは税制がめちゃくちゃ優遇されているので「お金持ちパラダイス」的なイメージあるんですけど。実は罰金制度が非常に多い。
生田
安田たとえばどんな罰金ですか?
たとえば僕らみたいなIT業がドバイでビジネスをやりたいとなった時、すぐには仕事させてもらえないわけですよ。
生田
安田そうなんですね。
はい。ドバイにはライセンス制度というのがありまして。
まず「コムデックはITのkintoneに関する役務はやっていいよ」という権利を取得する。
そしてその権利に対して毎月、毎年、お金を払う。
生田
安田なるほど。
〇〇屋さんをやるんだったら「年間いくらですよ」みたいな。
そうそう。
で、うっかりkintone以外のITの商売をすると巨額な罰金が来るわけです。
生田
安田そこは厳しいんですね。お金さえ出せばどんな事業でもやらせてくれるけど、許可した事業以外はやっちゃいけないっていう。
ある意味「ちゃんと交通整理されている」という捉え方もできます。
生田
安田なるほど。国が参入障壁を作ってくれるわけですね。
そのルールさえ守れば移住するのは簡単ですか?
そうですね。基本的にはお金持ちウェルカムな国なので。
比較的スムーズに移住できると言われています。
ただし移住を誰に相談するのかがめちゃめちゃ大事。
生田
安田誰に相談すればいいんですか?
多くの日本人はドバイの日本人に相談するんですけど。
これが結構怪しい人たちが多い。
生田
安田そうなんですね。
やっぱり日本人って日本語が喋れる人を信用しがちなので。
生田
安田わかります。
だけど現地にいる日本人が必ずしも正直な人ではなくて。
「ドバイ引っ越しトラブルあるある」と言われています。
ブローカーみたいな人たちに頼んじゃうと後でトラブルになる。
生田
安田少しくらい高くてもちゃんとしたプロにお願いした方がいいと。
そういうことですね。
生田
安田ちなみにドバイの地元の人たちってみんなお金持ちなんですか。
これはドバイを語る上では欠かせないテーマなんですけど。ほどほどなんですよ。
年収で言うと2〜3000万円レベルかなと思います。
生田
安田めちゃくちゃすごいじゃないですか。日本人からしたら。
日本人の平均年収と比べたらそうですね。
ただ世界的に見たら富裕層ではない。ほどほどですよ。
生田
安田確かに。ほどほどですね。
すごいのは、その2〜3000万に相当するような衣食住とか、生活に必要なお金が国から支給されていること。
生田
安田仕事はしてないってことですか?
やってもいいし、やらなくてもいし。
生田
安田それで成り立つんですか?ドバイという国は。
実はドバイ人口の6〜7割は外国人なんです。外国人がスーパーマーケットを経営していたり、レジをやってる人も外国人だったりするわけですよ。
生田
安田なんと。
外国人が移住してきて、外国人が仕事して、外国人が商品やサービスを提供して、外国人が生活している街。
生田
安田つまり外国人向けの商品を外国人が売って、外国人が買っていると。
はい。だからあまり現地の人と合わないんですよ。
生田
安田現地の人は何をしてるんですか?やることないじゃないですか。
国が生活費をくれるので「働きたくないんだったら家でゆっくりしてていいぞ」「衣食住は担保してやるからな」という感じ。
生田
安田なるほど。ベーシックインカムみたいなものですね。
国からのある種メッセージ付きの支援なわけですよ。
生田
安田メッセージ?
世界中から富裕層を呼ぶ時にバキバキにイスラム感が強かったら、ちょっと引いちゃうじゃないですか。
生田
安田確かに。住むのは躊躇しちゃうかも。
だから「あまりイスラム感を出すなよ」っていうメッセージですね。
生田
安田なるほど。目立たないように生活してくれと。
その代わり2000〜3000万円のベーシックインカムは払いますよと。
そういうことです。
生田