ただの「落書き」が1000万円になる?
「羊」に学ぶ、認知×ストーリーのブランド戦略
羊界のバンクシーって知ってますか?
羊飼いのバンクシーですか?
いえいえ。羊を飼っている人ではなくて。
バンクシー並みに絵が上手い羊がいるんですよ。
ああ、羊の世界の中にバンクシーがいると?
そう。羊が描いた絵になんと1点40万円の値段が付くそうです。
どんな絵ですか?
私から見ると「これ落書きじゃないの?」って感じ。
口で筆を持ってただ塗りたくっているだけなんですけど。
なるほど。それが1点40万円。
そうなんです。その羊のバンクシーがなんと誘拐されてしまいまして。
羊を盗んだってことですか?
盗難というより誘拐。バンクシー並みの絵を描く羊ですから。
身代金目的か。あるいは絵を描かせて売るのか。
金の卵を産むニワトリみたいなものなので。
う〜ん。話を聞くと何やらきな臭いですけれども。
きな臭い?
だって僕も安田さんに教えてもらうまで「羊世界のバンクシー」を知らなかったわけですよ。
安田さんはご存知でしたか?
いや、誘拐されたというニュースで知りました。
ですよね。誘拐されたことで安田さんも知ったわけじゃないですか。
確かに。
これはある事件に共通する匂いがします。それは「モナ・リザ」です。
あの有名なモナ・リザですか?レオナルドダヴィンチの。
はい。今となっては70億人全員が知っていると言っても過言ではないモナ・リザですけど。
モナ・リザも確か1回盗まれているはず。
なんと。それまでは大して有名じゃなかった?
もちろん有名だったんですが、やはり盗まれて騒ぎになると全世界が知ることになるから。
誰もが知るモナ・リザになったという。
なるほど。じゃあこの羊くんも?
ちょっと誘拐商法の匂いがしますね。
確かに。戻ってきたら絵の価格が爆上がりしそう。
今頃ホテルのスイートルームでお休みになられている可能性もあります(笑)
すごく大事にされてるでしょうね。
はい。間違いなく。
誘拐前で40万円だったわけですから。10倍ぐらいになったって不思議はない。
認知度はかつての100倍、1000倍になっているでしょう。ブランド=認知−普及ですから、ブランド価値は今回の誘拐によって爆上がりします。
ただの落書きにしか見えなかったですけど。1000万円くらいになるかもしれない?
欲しい人が増えれば間違いなく上がります。
考えてみたら確かに怪しいですよね。
仮に絵を描かせることが目的で誘拐したとしたら、売った瞬間に誘拐したのがバレちゃうし。
本当にその「バンクシー羊」が描いた絵かどうかも分からないじゃないですか。
確かに。
僕はひょっこり出てくると思いますね。
高い身代金とか要求されて。
その身代金が絵の価値に乗っかってくるわけですよ。
なるほど!
すごいニュースになるし。同情も集まるだろうし。
1000万円も払って買い戻したんだから「400万で買ってあげよう」みたいな。
「誘拐された羊が描いた絵」っていうだけでストーリーができます。
人間ってこういう「いわく付き」商品が好きですよね。
そうなんですよ。日本の中小企業はこういうのを参考にしないと。
ストーリー作りってことですね。
そう。人を引きつけるストーリー。
頑張って集客するのではなく、勝手に集まってくる仕掛けを作る。
お金を払って「羊バンクシー」の広告を打つのは下策だと。
お金をかけて宣伝するより、宣伝になるようなアクションを羊に取らせたほうがいい。
まさに今回の事件ですね(笑)生田さんの予想ではひょっこり出てくると。
ひょっこり出てくる。今頃スイートルームで休んでおられる。
結果を楽しみにしています(笑)