> 対談一覧 > 第103回『フェラーリの赤は16種類!?』
圧倒的な「赤」で熱狂させるということ
安田イタリアの小さな靴屋では70万円の靴がガンガン売れるって話でしたよね。
はい。イタリアの地方都市には凄いビジネスヒントが埋もれてます。
生田
安田聞くところによるとフェラーリにも見学に行かれたとか。
行きました。ただ社内見学っていう感じではなくて。
フェラーリ博物館に行って、広大な敷地をバスで回ってきました。
フェラーリ国と言っても過言じゃないぐらい広大な地域で。
生田
安田フェラーリ国?そんなに大きいんですか?フェラーリって。
車を作る工場もあるし、テスト走行してたりもするわけですよ。
そのエリア内をバスで観光する感じなんですけど。
生田
安田そこにある車は全部フェラーリですか?
フェラーリです(笑)
生田
安田そりゃそうですよね。フェラーリ国でトヨタが走ってたらおかしいですもんね。
でも従業員さんがみんなフェラーリに乗ってるわけじゃない。
そうじゃないのがまたおもしろい。
生田
安田靴屋さんと同じで、地元の人のためにフェラーリを作ってるわけじゃないですもんね。
そうなんですよ。
イタリアにはフェラーリもあるし、マセラティやランボルギーニもある。
生田
安田イタリアと言えば「車高が低いスーパーカー」というイメージです。
とにかく速くて低くて、かっこいい感じ。
そういうイメージですよね。
でもそういう車がイタリアの町を走ってるわけではないんです。
生田
安田走ってないんですか。
はい。1台も走ってなかったです。
生田
安田なんと!フェラーリの本社がある町でフェラーリが走ってないんですか。
走ってないですね。ベネチアでも走ってない。
そもそもイタリアにほとんど走ってないかも。フェラーリは石畳の道を走れないから。
生田
安田フェラーリは地元での走りには適してないと。
全く適してないですし、地元の人たちに向けた商品じゃないですね。
生田
安田そもそも乗用車として不向きですもんね。乗り心地がいいわけでもないし。
そうなんですよ。だけど、やっぱり欲しくなるっていう。
つまりフェラーリのお客さんは世界中のフェラーリファンなんですよ。
生田
安田フェラーリファンって世界中にいそうですよね。
ファンを超えて信者、オタクって言ってもいいかもしんない。
生田
安田富裕層や成功者の象徴ですよ。
ちなみにフェラーリーって赤色のイメージがないですか?
生田
安田まさに。独特の赤ですよね。
オレンジっぽい赤い色というか。そういうイメージです。
でも信者から言わせると違う。
生田
安田違うんですか?信者は何色が好きなんですか?
もちろん赤が好きなんですけど。
フェラーリの赤色は16種類あるんですよ。
生田
安田赤色が16種類?
はい。16種類の赤から選ぶんですって。
生田
安田つまり我々が街で目にする赤いフェラーリも微妙に色が違うと。
違うんですよ。
たとえばフェラーリを2台所有していて、どっちも赤だとするじゃないですか。
16種類だから「1番の赤と2番の赤を俺は持ってる」みたいな世界観です。
生田
安田それ、フェラーリを持ってる人にしかわかんないですよ(笑)
信者コミュニティの中でしか通用しないですね(笑)
つまり何が言いたいかって言うと、フェラーリという会社は赤い色だけでもファンを熱狂させる。
生田
安田そもそもイタリア人って色に対するこだわりがすごいですもんね。
そうなんですよ。ロゴとか作ると大変で。ほんの少しの色の違いに徹底的にこだわるから。
生田
安田逆にそれくらいのこだわりがないと、これだけのファッションの国にはならないですよね。
ならないです。ファッションしかりスーパーカーしかり。
こだわり=ブランディングみたいなことですよ。
生田
安田それだけ細かい色だと、ちょっとこすっちゃった時にカーコンビニ俱楽部には行けないですね。
それはご法度なんですよ。
自分で色を塗ったらフェラーリコミュニティから排除されるらしいです。
生田
安田え!自分で色塗ったらダメなんですか?
ダメです。バレたらとんでもないことになる。
2度とフェラーリが買えなくなる。
生田
安田それぐらいのこだわりがないと、これだけ強固なファンは生まれないってことですね。
「圧倒的なこだわり」とか「商売に対する誇り」みたいなものが、「お客さんを選べるポジショニング」を作り上げているわけです。
生田
安田燃費なんて関係ないと。
そんなことは全く眼中にないです。
どれだけ燃費が悪くても、とにかく早く走れてかっこいいことが大事。
かっこよくないと、もはや車ではない(笑)
生田