> 対談一覧 > 第85回『直販力はトップの決断で決まる』
直販の基本、知ってますか?
安田直販力をアップさせるために何したらいいの?って聞かれたら何と答えますか。いきなり営業マンを雇ってもダメでしょ。
営業マンは雇ってもダメですね。
会社のステージにもよりますけど、まずは自分たちの存在意義だとか、ミッション、ビジョン、商品のコンセプトみたいなものをしっかり価値発信しないと。
生田
安田その発信は誰がやるんですか?
価値を発信するのは営業マンではなくて、やっぱり社長やリーダーですよね。
生田
安田なるほど。
ファウンダーと言ってもいいかもしんないですけど。その事業の責任者みたいな人です。
生田
安田直販力を上げるとなると、すぐ営業にマンを増やす方向に行くんですけど。
あるいはルートセールスをやっている人に直販をやらせてみたり。
日本人あるあるですね。
学校で同じ教育を受けて、こうしろと言われたことを凡事徹底するのが日本人。勤勉なのが日本人なわけです。
一方で、工夫をしない、イレギュラーをしない、人と違うことを良しとしないっていう。
生田
安田イレギュラーが嫌いだし苦手ですよね。
若者は色んな価値観を持つようになってきましたけど。
で、何が言いたいかって言うと、日本人はすぐに商品やサービスの機能を話すんですよ。
生田
安田はいはい。
それはなぜかって言うと、同じ言語を喋って、同じバックグラウンドで育ってるから。
生田
安田そこに関係してくると。
だって「自分はこういう人間で、こういう価値観を持っていて、こういう歴史の元にサービスや商品を広めていきたい」とか説明する必要がないから。
生田
安田なるほど。
これがアメリカだったら全く違うんです。
商品やサービスの前に、まず自分はどういう人間かってプレゼンテーションをしないことには、商品が全く売れないわけですよ。
生田
安田人種もバックグラウンドもばらばらですからね。
そう。日本に今求められてるのはそういうことですよ。
自分たちがやってる仕事を、「どこにこだわって、どういうストーリーがあって、こういうサービスやってんだ」って、ちゃんと価値整理をして発信しないと。
生田
安田そこから始めないと直販はできないと。
今まで付き合ってこなかった人たちと仕事をするわけですから。そこは必須ですよ。
生田
安田他には何か必要なことはありますか。直販するに当たって。
自分で価格をつけることですね。今の販売先や同業者に合わせないで。
下請け気質の会社は「自分たちで値段をつけて提示する」という発想がなさすぎる。
生田
安田そんなことしたら「売れなくなる」という先入観があるんでしょうね。
むしろ売っちゃダメですよ。
生田
安田売っちゃダメ?
こちらから売ってはいけない。営業マンがたくさんいて「うちで買ってください」なんて言うと値打ちが下がるんです。
生田
安田なるほど。
「ブランド=認知−普及」なので。
まず発信する。価値の整理をして、コンセプトを再設計して、きちんと正しく伝えていく。
それが直販の基本です。
生田
安田いかにして「売らずに買いたい人を増やすか」ってことですね。
そうなんですよ。
生田
安田「直販=営業」というイメージですけど、実は広報やマーケティングに近い仕事だと。
それを社長自身が理解して自ら実行しないとダメってことですね。
生田
安田せっかく良い商品を持っているのに伝え方が下手ってことですか。
伝え方が下手というか、まずそういう思考が圧倒的に足りないですよ。
生田
安田なるほど。ちなみに価格設定は最初から高い方がいいんですか。
安売りはしない方がいいです。ただ値段は意外と後からついてきたりします。
生田
安田後からついてくる?
たとえばお寿司屋さんで最初はコース1万5000円だったけど、ミシュラン三つ星になって3万円になって、予約が取れなくなって5万円になるみたいな。
生田
安田勝手に上がっていくと。
勝手に上がっていくわけではないです。より良い商品にするために原価もかけて、その価値をちゃんと伝えて、価格も上げていく。
生田
安田クオリティを高め続ける約束みたいなものですね。
それがブランドを維持するための基本だと思います。
あとは売れるようになってもwebマーケティングや発信にきちんとリソースを割くこと。
専門家に代行してもらう費用まで価格の中に組み込んでおかないと、投資が続かなくなります。
生田