> 対談一覧 > 第54話『人を軽く見る社会の末路』
日本の考えが日本経済を負けにしている
安田大谷翔平選手のドジャース入団が決まりました。なんと10年で1050億円。
すごいですよね。
生田
安田この額で東京スカイツリーが3本立てられるそうです。
要りません(笑)
生田
安田大谷選手は二刀流でピッチャー兼バッターじゃないですか。つまり2人分働いているわけですよ。
だから2人分の報酬ということなんでしょうね。計算的には。
生田
安田アメリカ社会ってそういうところがいいですよね。合理的に評価してくれるというか。
日本だったら2人分働いても1.2倍ぐらいの給与でお茶を濁される。
確かに、そうですね。
生田
安田今や日本のプロ野球とメジャーリーグでは10倍ぐらい収入差があります。
そもそもビジネスモデルが違うんでしょうね。
生田
安田どう違うんですか?
日本のプロ野球ってスポンサー企業の広告宣伝費で成り立ってるじゃないですか。
生田
安田そうですね。球団に企業名が付いていて。
アメリカの場合は野球そのものをビジネスとしてちゃんと捉えてる。
だから試合時間を短くするための工夫もするし。
生田
安田どんどんルールを変えていきますよね。
野球という娯楽ビジネスが発展することを第一に考えているんですよ。
大谷選手の報酬についてもちゃんとそこを計算してると思います。
生田
安田テレビの放映権も桁違いの金額みたいです。
大谷選手が出たら視聴率は上がるし、球場に来るファンも増えるし。グッズも売れるし。
生田
安田日本の企業やメディアからも莫大な広告収入が入ってきます。
ちゃんと回収まで考えているからこの金額を払えるんでしょうね。
生田
安田大谷選手がいるだけで「球団はめちゃくちゃ儲かる」という話を聞きます。
そこをちゃんと加味して評価するじゃないですか。日本は人に対して軽く見過ぎなんですよ。
生田
安田軽く見過ぎですか。
たとえば取引先の担当者が独立した時に、その個人に契約を切り替えることってあるじゃないですか。
生田
安田よくある話ですね。人に仕事がついていくっていう。
その時に発注金額を下げるんですよ。ヤマダくんが出すバリューは同じなのに。
生田
安田「前の会社が取っていた利益分は減らしてね」ってことでしょう。
だけどヤマダ君からしたら「同じ金額もらったらもっと頑張るのに」っていう。
生田
安田自分で値下げする人も多いですよ。「会社に搾取されてた分は値引きします」って。
そうなんですよ。自分も含めて日本人は人を軽く見すぎ。
看板とか、そういうところに目が行きがちで。本質や価値に重きが置かれてない。
優先順位を間違えてます。
生田
安田優先順位といえばメジャーリーグは戦力をできるだけ均衡化させようとするんです。
弱い球団にドラフトの指名権があったり。
はいはい。
生田
安田「同じ球団ばかり勝つようなスポーツは面白くない」という判断だと思うんですね。
当然でしょうね。
生田
安田だけど日本はナベツネみたいな人がいまだに権力を握っていて、「ジャイアンツが強い方が野球人気は上がるんだ」って思ってるわけですよ。
だから野球人気がどんどんなくなっていくんです。
生田
安田トヨタが頑張っていれば日本経済は安泰なんだ、みたいな。
だから経済でもどんどん負けていくんですよ。
生田
安田いい選手がどんどんメジャーに行っちゃいますね。経済でもこうなっていくんでしょうか。
間違いなくそうなります。優秀な人は外資に行ったら報酬が跳ね上がるので。
球団ファースト、企業ファーストはもう無理ですよ。もっと人に重きを置かないと。
生田