> 対談一覧 > 第53話『価格を変えることへの抵抗』
安いサービスに固執するな
安田日本は世界的に見て自動販売機がめちゃくちゃ多いそうです。
やっぱり治安がいいからでしょうね。貯金箱を置きっぱなしにしてるみたいなものですから。
生田
安田コカコーラの自動販売機が変動性価格を導入するらしくて。
夜間に10円安くするそうです。
いいと思いますよ。普通に考えたら夜間はお客さんが少ないはずなので。
生田
安田なぜ今までやらなかったと思いますか?
「夜間に安くして売る」って発想としては普通じゃないですか。
アイデアとしては普通ですけど凄く手間がかかるんでしょうね。
生田
安田そうなんですよ。
今までは1個1個機械を設定しに行かないといけなかった。
ところが今は遠隔操作で一気に価格を変えられるそうです。
今なら簡単に出来るでしょうね。
生田
安田これって凄くないですか。
全国津々浦々にある自動販売機の価格設定を瞬時に変えられるんですよ。
オンラインビジネスはそれが当たり前ですけどね。いつでも価格を変更できるので。
生田
安田でもオンラインでしょっちゅう価格を変えてる会社ってあまり見ないです。
AmazonやZOZOはしょっちゅうセールしてるじゃないですか。
生田
安田ホントですね。でも普通の会社で出来ますかね。
簡単にできますよ。もっと価格変動を武器に使ってもいいと思います。
生田
安田それこそ夜中にホームページを発注してくれたら安くするとか。
可能ですね。
だけど何を根拠に価格変更するかは重要なポイントです。
生田
安田そこが難しいところですよね。生田さんはコミケって知ってますか?
知ってます。コミックマーケットですよね。
ビックサイトでやってる大きなイベント。
生田
安田そうそう。オタクみたいな人たちが自分で描いた漫画とかを売るんですよ。
じつはそこに特化した印刷屋があるらしくて。
はいはい。ありますね。
生田
安田ところがその印刷屋さんが人気すぎて「今年はもう仕事を受けられません」「他に行ってください」ってお断りしているそうです。
もったいない。
生田
安田もったいないですよね。最大の儲け時なのに、仕事が多すぎて受けられないっていう。
基本的に印刷業界って波がありますから。
生田
安田忙しい時期に仕事が集中するそうです。
「急ぎでやれ」「あと10冊しか残ってない」って言われる。
「なぜもっと早くオーダーしないんだ」というのが業界あるあるだそうです。
それこそ価格を変えればいいんですよ。早く頼めば安くするとか。
生田
安田私もそう思いました。さっきの自動販売機みたいに閑散期は安くするとか。
特急料金を取るとかね。
生田
安田値段を上げることには凄く抵抗があるみたいです。
そんなことしたら「他社にクライアントが流れてしまう」って。
やっぱり価格を上げると売上は下がりますか?
いや、上がるでしょ。
売上も上がるけど利益はそれ以上に増えます。だって機会損失は無くなるし、在庫は残らないし。
予約販売しないとダメですよ印刷会社は。
生田
安田お客さんの要望ばかり聞いてちゃダメだと。
絶対にダメですね。客に合わせすぎるとスタッフが疲弊しますから。
どんどん辞めていきます。しかも儲からないし。
生田
安田医療クリニックでそれが問題になってます。
土曜日や夕方に患者が集中しすぎて疲弊しちゃうそうです。
土曜日だけ高くするとか、平日に来てくれたら安いとか、クリニックも変動価格にした方がいいですね。
生田
安田平日に有給休暇をとって歯医者に行く人も増えてるみたいです。
時代はそういう流れだと思いますよ。
日本人はみんな同じ時に働いて同じ時に休みすぎなんです。だから賃金もずっと同じで。
生田
安田「急患は高い」「VIPは早い」ってなると「ひどいクリニックだ」って書き込みされそう。
海外だったら当たり前なんですけどね。
生田
安田エアラインなんて露骨にえこひいきしてますよね。
高いお金を払ってる人はこちらのラウンジへどうぞ。
安い人はこのラウンジには入れませんって。
それでいいんです。選ぶのは顧客なので。
生田
安田高い料金を払ってくれるお客さんほど文句を言わないし。
安いサービスを売りにするほど顧客層は低下していきますよ。
生田