> 対談一覧 > 第49話『地方都市は最小公倍数で』
地方都市は最小公倍数を取りに行け
安田コムデックさんはずっと伊勢本社ですよね。
はい。伊勢は大好きですから。
生田
安田なぜ日本にはシリコンバレーができないと思いますか?都心にばかり企業が集中して。
アメリカは地方都市からすごい企業が出てくるじゃないですか。
安田さんは何が足りないと思いますか?
生田
安田私は大学が首都圏と関西圏に集中してることが原因かなと思ってます。
だから多くの若者が首都圏か関西圏で就職しちゃう。
熊本ですごいベンチャーをやろうと思っても優秀な人を集めることがすごく難しい。
アメリカも西海岸と東海岸に大学が集中してるイメージですけど。
生田
安田確かにそうですけど日本ほどではないです。
それにアメリカ人は移動することに抵抗がないように感じます。
日本の場合は「メディアが作った先入観」みたいなのがあるんじゃないですか。「東京すげえ」みたいな。
生田
安田「東京で何かやってみたい」「東京に住んでみたい」という若者は多いですね。
承認欲求が満たされるというか。自分の力がいろんな人に認められることが都会と結びついている。
テレビの影響なのかそういうバイアスがかかっちゃってる人が多い。
生田
安田単なるバイアスってことですか。
だって今の時代はどこにいても授業を受けられるし、どこにいても有名人になれるので。
生田
安田今やN校は日本最大の高校ですもんね。
でも有名人になるなら「やっぱり東京に行かなきゃ」となるんじゃないですか。
この前サイボウズのイベントで千葉に行ってたんですけど。5000人ぐらいのイベントで。
なんと10人に1人は僕のこと知ってるんですよ。
生田
安田すごいですね。YouTubeの影響ですか。
そうです。
「いつもYouTube見てます。参考にしてます」「kintone芸人、応援してます」って。挙句の果てに写真撮ってくださいって言われるんですよ。
生田
安田もはやファンですね(笑)
僕なんてほとんど伊勢から出てないのに。つまりどこにいても知名度なんて上げられるんですよ。
生田
安田日本の場合は東京にいろんな機能が集中しているから。政治からメディアから娯楽から全部。
アメリカは砂漠の真ん中にラスベガスがありますもんね。
生田
安田そう。ラスベガスはカジノの街で、ハリウッドは映画の街で、ワシントンDCは政治の街で、シリコンバレーはベンチャーの街みたいな。
それぞれ特徴があるんです。
確かに。機能を分散しているというか。
生田
安田日本はあらゆるものが東京に集中してるじゃないですか。まさに一極集中ですよ。
国会議事堂なんて東京じゃなくてもいいのに。おじいちゃん達が集まって寝てるだけなんだから。
地方にも問題があるんですよ。もっと独自性を出さないと。
鈴鹿なんて街中F1のフラッグで装飾した方がいいんです。
生田
安田街中!それはすごいですね。
そしたらF1バレーみたいになりますよ。
生田
安田F1好きな人が集まってきてF1関連の仕事が増えていく感じですか。
そうやって繋がっていくと思うんです。
ウチは「令和のお伊勢参り」というコンセプトでイベントをやってます。僕は外様だから余計に伊勢に執着するんですけど。
本当は地元の人がもっとこだわればいいのにと思います。
生田
安田地方の人は個性よりも利便性を求めているので。だから似たような街になっちゃう。
もうちょっと何かにこだわればいいと思うんですけど。
生田
安田振り切って「ヘビースモーカーの街」にしちゃうとか。
それ最高ですね(笑)
生田
安田でも日本では無理みたいです。地元人たちの反対がすごくて。
恩恵を受けない人たちがものすごく怒るんですって。
そうなんですか。
生田
安田何かに集中するってことは、それ以外を排除するってことじゃないですか。
まあそうですね。
生田
安田そこに配慮しなくちゃいけないので出来ないみたいです。
日本の政治は「それぞれの主張を聞いて、そこそこ便利で、そこそこ個性があって」となっちゃう。
いちばんダメな戦略ですね。最大公約数を取りに行くとみんな同じようになってしまう。
地方都市は最小公倍数を取りに行かないと。
生田
安田だから日本の地方都市はどこに行っても同じなんですよ。