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「なぜ?」が大事
 安田
安田決めたことを自ら疑える組織?
そうじゃないと、これから生き残っていけないでしょう。
 生田
生田 安田
安田1回決めたことを、そのままやり続けるのは危険だってことですか。
僕は毎日思うんですけど。「なんで赤信号を守らないといけないのか」って。
 生田
生田 安田
安田生田さんは守らない派ですか?
夜は守らないですね。まわりを360度確認して、リスクがなければ。
 生田
生田 安田
安田車が来てなければ渡る?
はい。車を運転している時は信号無視はしないですけど。
 生田
生田 安田
安田そういう人が多いですよね。歩行者の時は信号無視するけど車では信号無視しない。
多いでしょうね。
 生田
生田 安田
安田車がまったくいない道路で「赤信号を守る意味があるのか」ってことですよね。
はい。
 生田
生田 安田
安田私もそれについては考えたことがあります。なぜ歩行者は信号無視するのに車はしないか。
これはやっぱり罰金の大きさだと思うんですよ。
そうですね。リスクの大きさの違い。
 生田
生田 安田
安田でも罰金の重さによって行動が変わるってことは、ルールを決めた人に行動をコントロールされていることになりませんか?
なるでしょうね。
 生田
生田 安田
安田私は人にコントロールされるのが嫌なので、歩行者のときも「絶対赤信号は渡らない」と決めてます(笑)
なるほど(笑)
 生田
生田 安田
安田他人に自分の行動をコントロールされるというのが耐えられなくて。
安田さんは「絶対走らない」って決めていますもんね(笑)
 生田
生田 安田
安田そうなんです。重要なアポイントに遅れそうでも絶対に走らない。
だから予定よりもかなり早く出かけます。
徹底してますね。ちなみに僕が言う「決めたことを疑う組織」というのは、存在意義ってことなんですよ。
 生田
生田 安田
安田存在意義ですか。
たとえばコムデックの存在意義は「中小企業や経営者の困りごとを解決すること」なんですよ。
だけど「困りごとってコロコロ変わるよね」ってことですね。
 生田
生田 安田
安田なるほど。確かに課題は変わりますよね。
そうなんです。だから「言われた課題にはちゃんと答えました」なんてことには意味がなくて。
 生田
生田 安田
安田日本の法律みたいですね。環境はぜんぜん違うのに法律だけ昔のままで。前例に則ってとか言っちゃって。
それと同じことがビジネスの場面でもよく起こります。
「ここにこう書いてあります」とか。「先月○○って言ってました」とか。
日本は「事実」を基準にしているので。
 生田
生田 安田
安田事実はそうだけど、その通りやっても意味ないことってありますもんね。
僕らの業界はとくにそういうことが多くて。「仕様書にこう書いてあります」とか。
 生田
生田 安田
安田メガバンクのシステムもそれで大変なことになってます。
マイナンバーカードのトラブルとか。根っこは全部同じです。決めたことを疑わないから。
 生田
生田 安田
安田でも、決めたことを変えるって勇気が要りますよね。
大企業でも「いまさら実力主義とか言われても困る!」って人がたくさん出てきて。
そういう人はもう辞めてもらうしかないです。
 生田
生田 安田
安田辞めてもらうしかないですか(笑)
私もつい最近、家族手当を廃止しました。
お子さん1人目に対して1万円、2人目からは5,000円×人数という手当だったんですけど。
 生田
生田 安田
安田なぜやめたんですか?
今は共働きも多いし「どっちの扶養なの?」ってなる。家族構成も多様化してるし、シングルも多いし。
 生田
生田 安田
安田時代にそぐわないってことですね。
そもそも「家族がいる・いない」で給料を変えるっておかしいですよね。
合理的な判断だと思えない。
 生田
生田 安田
安田「貢献度は低いけど家族がたくさんいる人」の給料が高くなってしまいます。
でも日本の会社はそういうウエットなことを重要視してきました。
現代社会にはそぐわないと思いますね。
 生田
生田 安田
安田「若い頃に頑張ってくれたから」ではダメですか。
もちろんリスペクトはあるんですけど。それを報酬にしてしまったら若い人がついてこない。
 生田
生田 安田
安田確かにそうですね。
「昔こうしてました」「こう言ってました」「こう書いてます」「こう教えられてます」っていう、当時の事実で物事を判断する日本人があまりにも多い。
 生田
生田 安田
安田確かにそれは日本人の悪い癖ですね。
「うちの会社は価値基準だ」と伝えてます。
「お客様の困った」が変わったり、「自分たちのあるべき姿」が変わった瞬間に朝令暮改、君子豹変するのは当然だよって。
 生田
生田 安田
安田社長として「この方針でいくぞ」って決めたことでも、時間とともに変わることがあるじゃないですか。
ありますね。
 生田
生田 安田
安田そういう場合はどうするんですか?「黙ってついてこい」って感じですか。
いや、謝りますね。「あれ間違ってたわ、ごめん。こっち行くからついてきて」って。
 生田
生田 安田
安田一応謝るんですね(笑)なるほど。
だって人生を賭けてくれていた人たちの時間を、ちょっと無駄にしちゃってるわけじゃないですか。そこに対する謝罪です。
 生田
生田 安田
安田たとえば社員に「自分で決めろ」って言ったけど、決めてきたことが全くダメだから「やっぱり俺が決める」みたいなこともありますか。
それは山のようにあります。どんどん権限は委譲しますし、やってみてもらってるんですけど、最後にハンコを押すかどうかは自分が決めます。
 生田
生田 安田
安田「決めたことを疑う」ことに関してですけど、レベルの問題ってありませんか?
どういう意味ですか。
 生田
生田 安田
安田たとえば末端の社員までいちいち考えてたら、組織として効率が悪いじゃないですか。
末端の社員は100パーセント盲目的についてこいって思いませんか?
思わないですね。
 生田
生田 安田
安田なんと!
「100パーセントあなたの言うとおりです」「何を言われても付いていきます」みたいな組織は、ちょっと気持ち悪いです。
 生田
生田 安田
安田そういう組織が好きな社長さんは多いですけど(笑)
社長より目標の方が大事なので。
目標が最も崇高であって、僕を飛び越えてもっと正しい判断ができるならやればいい。
1次情報は現場の人間のほうが持っているわけで。
 生田
生田 安田
安田社長の指示を盲目的にこなすだけじゃなく、「本当にこれでいいのか」って考える習慣をつけてほしいと。
そうです。とにかく「なぜ?」って聞かないと。ニーズとウォンツは違うので。
 生田
生田 安田
安田その分スピードはちょっと落ちますよね。
言った瞬間に動いて100%のクオリティが出せるほど、僕らの仕事は簡単じゃないので。
 生田
生田 安田
安田なるほど。
単純な仕事なら言ったとおりやってくれたら最大品質になる。
でも複雑性が増せば増すほど、「なぜそれをやらなきゃいけないのか」という前提を考えないと。品質はすごく毀損すると思います。
 生田
生田