> 対談一覧 > 第8話『なぜ給料は下がっていくのか』
無駄な努力はいくらでも省けるし省くべき
安田「残業禁止」と言われて久しいですが。
はい。
生田
安田実際には残業手当が減ったぶんを、副業で稼ぐ人が増えてます。
結局そこでも時間を売ってるだけなんですよ。
生田
安田ですね。
先細ることは火を見るより明らかなんですけど。
生田
安田1日24時間しかありませんからね。時間を売って稼ぐことの限界というか。
「365日・24時間働けますか?」っていう伝説のCMが昔あったんですよね?
生田
安田リゲインです。生田さんは知らない世代なのか。
当時のサラリーマンはみんなリゲインを飲んで、残業の多さを自慢してました(笑)
そこから「まだ脱却しきれていないんじゃないか」って気がします。
生田
安田一方で「限界までやるからレベルアップする」という考え方もあるじゃないですか。
ありますね。
生田
安田「限界まで量をこなして、ようやく質の話んなるんだ」って。
私はどちらかというと「走りながら考えることはできない」という考えなんですけど。
間違いなく、量は質に転嫁すると思います。
ただ、量は質に転嫁するんだけど、ウンコはどれだけ量を重ねても宝石にはならない。
生田
安田凄いたとえですね(笑)
でもその通りだと思います。間違った努力は報われない。
まずは方向性が合っているかどうか。
一度市場に出してみるとか、先輩に相談するとか。そういうのが昔より重要になってきてる。
生田
安田自分じゃ分からないってことですか?
「自分で1回考えてやってみろ」ってのはリスクが高い。なぜかというと選択肢が多すぎるから。
生田
安田確かに。
いまどきの優秀な人間って、ゼロイチをやる人間ではないと思う。
生田
安田なるほど。
「目の前の使える素材」と「自分でゼロイチができる才能」とを天秤にかけて、先人の知恵やデータベースから答えを導きだす。
生田
安田それが現代の優秀な人材だと。
そう思います。車輪の再発明をしない人間のほうが圧倒的に優秀。
生田
安田そのために書籍や学問があるわけですもんね。
そう思います。その上で、仕事の量をこなすのがいいかどうか。
生田
安田やっぱり量は大事ですか。
24時間を余すことなく使うのはいいと思う。だけど同じことばかりやるのはヤバい。
生田
安田どういう意味でしょうか?
たとえば動画編集みたいな仕事があったとき、「会社でそれをやってます。副業で他の会社からも受けてます」「1日18時間動画編集して月100万円稼いでます」みたいな。
生田
安田それは優秀な人の稼ぎ方ではないと。
非常にリスクがあるよね、先がないよね、という話です。人に限らず会社も。
生田
安田量をこなし続けても、その先に豊な未来はないと。
そういうことですね。それ自体がどんどんコモディティ化していきますし、自動化していくので。
生田
安田どういうやり方が理想なんですか?たとえば動画編集なら。
自分で動画編集をするのではなく、AIに編集させることに自分の時間をピボットするとか。その次に来るであろう普遍的なものに自分の時間をBETする。
生田
安田なるほど。
動画編集で稼げるのなんて一時のブームだと思う。
生田
安田間違いなく単価は下がり続けるでしょうね。
そういうことです。
生田
安田やっぱり「間違った努力は報われない」ですか。
報われないでしょう。
生田
安田イチローさんも毎日素振りばかりやってたわけじゃないでしょうし。
毎日素振りをするとしても、すごく短い時間で「正しいフォーム」を意識してやってると思います。
生田
安田長時間やることが、必ずしも「質を高める」ことにはならないですよね。その違いが分かっていない人が多い気がするんですけど。
努力せずに成功することはないと思うんです。けど無駄な努力はいくらでも省けるし省くべきだと思う。
生田
安田プロスポーツの場合、お金を稼ぐ試合時間より練習時間のほうが長いじゃないですか。
そうですね。
生田
安田動画の編集って試合時間みたいなもので。
お金を稼ぐ時間がすごく長くて、スキルアップとか見識を広める時間が、極端に少ない気がします。
スキルアップで他者との違いを作って、「1日2時間働けば十分稼げる生活」が理想的ですよ。
難しいけどそういうサービス設計を考えるべき。
生田
安田お金に直結する時間を増やすほうが手っ取り早いんでしょうね。
だから残業して稼ぐ発想になっちゃうんです。けどそれだと、どこかで必ず行き詰まります。
生田
安田稼ぐ時間を減らして、時給を上げるための時間を増やすべきだと。
どう考えてもそれしかないですよ。
生田
安田その時間って1円にもならないし、下手したらお金が出ていくじゃないですか。
それが自己投資というやつです。
生田
安田私はよく理解できるんですけど。日本人の多くは会社員生活に慣れちゃってるので。
社内研修でスキルアップする時間も給料をもらえたりするから。
生田
安田あれはやめた方がいいですよ。稼げない人への道をまっしぐらって感じ。
だけど会社としたら教育しないわけにもいかないし。
生田
安田研修時間に報酬を払わないと労働法に引っ掛かる。おかしな国です。
だから、どんどん格差が広がるんです。
起業家や投資家って、みんなそういうマインドじゃないですか。
生田
安田ですよね。でも会社員にそんなマインドを持てというのも無理な話で。
どうしたらいいと思いますか。
イレギュラーを増やすことですね。
生田
安田イレギュラー?
社員って基本的には会社で指示されたことをやっていくじゃないですか。
生田
安田はい。それしかやりません。
みんなそれがレギュラーになってしまう。気づいたときには稼ぐためにレギュラーの時間を延ばすという選択になってる。
生田
安田気づいたら動画編集している時間が8時間から10時間に延びてると。
そう。でもレギュラーな仕事はコモディティ化で単価が下がっていくんです。
なのでまずレギュラーを減らしましょう。イレギュラーを増やしましょう。
生田
安田イレギュラーを増やすにはどうしたらいいんですか。
違う時間の過ごし方をすることですね。
インプットを変える以外にアウトプットを変える方法はないですよ。
生田