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Conversation対談

2026.06.15

第173回「失敗を売るビジネスは成功するのか?」

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

成功より失敗が人を惹きつけるワケ

  • 安田

    失敗という経験はお金になると思いますか?

  • 失敗にもよりますね。
    価値ある失敗体験ならビジネスになると思います。そもそも成功ノウハウみたいなものがコモディティ化してきたので。

    生田
  • 安田

    じつは私も失敗をお金に変えたことがありまして。
    失敗を語る人って意外と少ないみたいで重宝されたんです。

  • そうでしょうね。みんな自分の成功体験を語りたいわけで。

    生田
  • 安田

    会社が潰れた時の失敗体験談はすごくニーズがあって。
    1年ぐらいそのネタで講演して食べていました。失敗体験そのものを売ったのはその時だけですけど。

  • あえて講演を減らしていったんですか?

    生田
  • 安田

    いえ。ニーズがなくなりました。
    講演で食べられたのは1年ぐらいですね。今は全く違う商品を売って生計を立てています。

  • なるほど。
    でも安田さんのビジネスモデルってそこがベースになっていませんか?

    生田
  • 安田

    はい。
    失敗談そのものを売りにしているわけではないですが、その時の経験や思考を発信することが今の仕事のベースになっています。

  • それって安田さんならではのビジネスモデルですよ。

    生田
  • 安田

    そうみたいですね。私以外でこういうビジネスをやっている人は少ないです。
    意外と失敗体験って仕事になるんですけど。「失敗体験を売る」ってやらしく聞こえるんでしょうか。

  • そんなことないと思います。失敗体験ってめちゃくちゃ価値がありますから。
    私自身も過去の失敗体験含めなんでもオープンにしていますし。

    生田
  • 安田

    確かに。
    パチプロだった過去とか、大学中退とか、キャバクラの黒服だったこととか、語ってますもんね。

  • 黒服は失敗ではないと思うんですけど(笑)

    生田
  • 安田

    確かに(笑)ただ経営者はあまり語りたがらないキャリアですよね。

  • 語りたがらないですね。
    僕は大学中退とかも含めて全然平気で語りますけど。

    生田
  • 安田

    それって戦略的に語ってるんですか?

  • いえ、戦略的に語ってるつもりはないんです。ただ失敗っていうのは成功の裏返しみたいなところがあるじゃないですか。
    ユニクロの柳井さんも「一勝九敗」という本を書いていますし。

    生田
  • 安田

    確かにそういう一面はあります。失敗なくして成功なしというか。

  • つまり失敗も生田智之を構成する大事な要素ってことなんですよ。

    生田
  • 安田

    それなくして今の自分はなかったと。

  • なかったですね。
    だから事業の話をする時とか考え方を話す時とかに、失敗を語ることは避けては通れないわけですよ。

    生田
  • 安田

    なるほど。でも避けようとする人は多いですよ。

  • それでは因果が弱くなりますよ。
    こういう失敗で、こういうことを学んだから、こういう意思決定をして今に至るという。
    現在の企業力やブランド力の一部って確かにそこにあるわけで。

    生田
  • 安田

    本当そうですよね。
    私も「失敗した経験もひっくるめたサービス」として自分の仕事をブランディングしています。

  • 失敗を100%受け入れて、それを前提に今の自分がある。こういうことがあって、こういう学びがあって、こういう挫折があって、だからこういう考え方なんですっていう。
    それこそがブランドの根っこじゃないですか。

    生田
  • 安田

    確かに。
    そこまで開示しているからこそ共感してくれる人が生まれるのかもしれない。

  • そうなんですよ。

    生田
  • 安田

    でも多くの経営者さんって、あまりネガティブな情報を出したがらないですよね。

  • もったいないですよ。絶対に失敗や挫折ってあるはずなんですけど。
    それがあることで選ばれたり差別化されたりするケースもあるわけで。

    生田
  • 安田

    挫折も葛藤もなしにポンポン作られた商品や成功には魅力がないですもんね。

  • 俳優とか芸人さんも売れない下積み時代の苦労がある人って、味があるじゃないですか。

    生田
  • 安田

    サンドウィッチマンも昔は売れていなかったみたいですね。

  • その時の苦労があるからああいう愛されるキャラが滲み出てくるんですよ。
    苦悩とか失敗とかってめちゃめちゃ美味いスパイスになるってことです。

    生田
  • 安田

    「失敗を上手く利用する」というより「等身大の自分を見せる」というイメージでしょうか。

  • マイナス部分も含めて見せた方が人とのつながりは強くなるってことですね。
    とくに今の時代はそうだと思います。
    挫折や失敗が見えることでその人の魅力にも深みが出るというか。

    生田
  • 安田

    失敗を語る番組とか人気ありますもんね。

  • はい。ただテレビの失敗番組とは根本的に違うところがあって。

    生田
  • 安田

    ほう。それは何ですか?

  • テレビって視聴率が取れればそれで良いわけですよ。
    だけど我々のようなビジネスの場合は最終的に商品を買ってもらわなくちゃいけない。

    生田
  • 安田

    そりゃそうだ。

  • だから最終的には成功体験や成功の秘訣を語る必要があって。
    そこと表裏一体のものとして失敗体験やその過程における苦悩をセットで語ることが大事ってことです。
    説得力も共感も段違いになるので。

    生田
  • 安田

    なるほど。失敗談でウケを狙うだけではダメだと。

  • 柳井さんも1勝9敗だから魅力的なわけで。0勝10敗だったら、それは誰も買いませんよ。

    生田

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