「人が採れない会社こそ、人材紹介を使ってはいけない」
採用市場のマッチポンプ構造を見抜け
今、人材紹介という分野がすごいことになっていまして。
年収の50%を紹介料で払うケースも出てきているとか。
年収600万の人を採用したら紹介料が300万かかるってことですか?
そうなんですよ。しかも紹介された人が定着してくれる保証もなくて。
一定期間が経つと紹介料は1円も戻って来ません。
紹介会社自体が広告で転職を煽っていますよね。
はい。入社して6ヶ月くらい経つと紹介会社からスカウトメールが来たりします。
なぜ人材紹介を使うんでしょうね。
社長さんは広告にお金を払って「1人も採れない」「応募すら来ない」というのが嫌なんですよ。
人材紹介は成果報酬なので入社しなかったら1円もかからない。
そういうことですか。
はい。でも生田さんがおっしゃる通り、紹介会社って一方で紹介しながら、もう一方では転職を促すCMをガンガンやっているわけです。
恐ろしい仕組みですね。
恐ろしいですよ。なぜこんなビジネスが成立するのか。
僕はIT企業を15年間やってますけど、一度も紹介系のプラットフォームは使ったことがないです。
つまり紹介料を払ったことがないと。
払ったことないですね。だって構造的におかしいですもん。
ガンガン転職を煽って。かたや経営者に人材紹介の良さをPRして。
ビズリーチさんが有名ですけど。
すごいですよね。あれだけテレビで転職を煽っておいて。
恐ろしいマッチポンプですよ。
なんであれを見て人材紹介を使おうと思うのか。ほんと不思議です。
一種の情弱ビジネスみたいなものでしょうか。
コストを抑えて採用する方法なんていくらでもあると思うんですけど。
知らない人が引っかかってしまう。
そうですね。ただそのプラットフォームの中での勝者はいるんでしょうね。
全員が不幸になっていたらさすがに継続していないと思うので。
勝者ってどんな会社ですか?
要は採用が出来て、定着して、引き抜かれない会社ですね。
そういう会社が一定数あるんでしょう。
紹介会社を使って上手くいく会社って、採用力のある会社なんですよ。
紹介料はかかるけど結構優秀な人が来てくれて。
そうですよね。
しかも紹介会社がある程度選考までしてくれる。
それなりにコストはかかりますけど効率はいい。
そう考えるとポイントが見えてきますね。一定のレベルを超える採用力がある会社にとっては有効で、募集が来ないような会社は紹介を使うべきではない。
とはいえ困っているのは採用力が低い会社の方で。
そうなんですよね。
これは採用事業における矛盾でもあるんですが。採用する側と就職する側の双方がハッピーなのって「採用力のある会社」と「就職力のある人材」だけなんですよ。
うん、確かに。そうですよね。
でも売上に繋がるのは「採用力は高くないけど人が欲しい」という会社。
紹介した人をどんどん採用して、どんどん辞めていく会社が一番儲かる。
そうなりますね。
紹介した人がみんな定着して、誰も転職活動しなくなったら、紹介会社は食べていけません。
人材が流動化すればするほどマーケットが拡大する仕組みですからね。
そうなんですよ。だから心から定着を願うわけにもいかない。
基本的なビジネスモデルにすごい矛盾がある。
だけど目の前のエージェントが持ってくるリストが眩しく見えるんでしょうね。
「今度こそ定着してくれるんじゃなかろうか」ということで採用しちゃう。
頼っちゃうんでしょうね。
だけど、やっぱり採用力がない会社は紹介を使っちゃダメだと思う。
お金をドブに捨てているようなものですから。
でも採用力100点の会社にはニーズがないし。
0点のところは紹介しても決まりませんけど。
ボリュームゾーンは40点から70点ぐらいの会社でしょうか。
70点が食い物にされていると思うと、ちょっと悲しいですね。
70点の会社には80点90点の人を紹介するんだと思います。
少なくとも80点90点に見える人。
なるほど。相応の人を紹介すると。
はい。40点の会社には50点60点の人材を紹介する。
そうですね。あまりレベルが高いとマッチングしないだろうし。
そうなんですよ。仮に入社しても時間とともに抜けていくので。
自社の戦闘力以上の求職者が来るってこと自体がイレギュラーですからね。
普通に考えればありえないです。
戦闘力以上の人材は業務委託で協力してもらうのがいいかも。
採用にこだわらなければ仲間集めっていかようにも選択肢があるから。
私もそう思います。自社の採用力以上の人なんて絶対に雇用できない。
まずは自社の採用力を高めるか、あるいは外部人材を使うことを考えないと。