はい。皆さんが美味しい肉を召し上がられている裏側では、生産者の方が牛さんたちをしっかり育成しているわけですよ。

美味しいお肉に成長していく育成プロセスがあるんですけど。

そういうのもあります。ビールを飲ませてウシの腸内環境をコントロールしたり。
その効果でお肉が柔らかくなると言われていて。

例えばどのタイミングでどの程度のビールを飲ませるのか。
どの条件が牛にとって一番いいのかが明確になっていなかったわけですよ。

そうなんです。牛って約30ヵ月かけて育成するんですけど。3ヶ月の時点で体重が何キロとか、どれくらいご飯を食べたとか、今まではアナログで管理してたんですね。

そんな感じですね。それをデジタル化することによって記録や集計のスピードが上がっていく。
そういった意味での業務効率化もお手伝いしています。

はい。牛も病気になったりするわけですけど。
「あれ？お薬飲ましたっけ？」みたいなことが起こるわけです。

「薬を飲ました」って入力すると全員に通知されて抜け漏れがなくなる。
そういう所にITやクラウドシステムを使うわけです。一次産業の現場ではまだこういう課題がたくさんあって。

それもあります。ただ僕たちが一番取り組もうとしているのは「もっと美味しいお肉を作っていくためにはどうしたらいいのか？」っていう課題。

はい。日本酒で言うところの獺祭みたいなものですね。

そういうことです。

ABテストを繰り返していくしかないです。そこがデジタルの強みでもあるので。

数値があるから比較できる。そしてデジタルがあるから数値化できるわけです。

牛も生き物ですから。成長していく過程で十分なスペースとか、清潔な水とか、適切な湿度とか、換気とか、風の通りとか、必要なわけです。

数値化して、その数値によってお肉の品質がどう変わっていくのかを記録していくわけです。
その辺りって何が最適かわかんないですし再現も難しいじゃないですか。

そこにデジタルを入れることで再現性を高めていくわけです。

ならないですね。
牧場ごとのノウハウもあるし地域性みたいなものもありますから。

そう。ブルゴーニュの冷涼な地域で、ちょっと標高の高いところで作ったワインは「エレガント且つ酸が立つ」みたいな。

一子相伝のノウハウの中には、その土地土地のオリジナリティというか、性質みたいなものがあるわけです。
それを最大限に付加していくには、まだまだ科学的な伸びしろがあって。

はい。美味しいお肉が生み出されたとしたら「それはどういう過程だったのか」っていうのを、もっともっと紐解いていくことが必要なんです。

そうですね。
今回の「肥育×IT」という仕事は、そういうところにチャレンジしていくものです。

そのノウハウを特定の人に留めないってことですね。
誰かが突然亡くなっちゃっても同じ味の牛が継続的に作れる。
それがブランドになっていくってことです。

そう思います。