> 対談一覧 > 第116回『日本の生活インフラはもう維持されない』
暮らす場所が「選択」から「判断」になる時代
崩れているのは、足元のコンクリートだけじゃない。
安田埼玉の道路が陥没して穴が開いちゃったじゃないですか。都会のど真ん中で。
全国でいろんなインフラが劣化し始めていますよ。
トンネルの天井が崩落したり、橋が落ちそうになったり。
生田
安田日本中のインフラが耐久年数の限界にきてるってことですよね。
バブル期以前のインフラはもう無理でしょう。耐久年数を超えてるから。
生田
安田せいぜい50年みたいですね。日本列島改造論がちょうどそれくらいで。
当時は日本経済も右肩上がりでお金もありましたけど。
その時はベストなインフラを作ったと思うんです。
ただ今はそれをリニューアルするお金がないし。リニューアルする労働力も足りないので。
生田
安田つまり補修ができないってことですよね。壊れても。
そういうことなんですよ。
生田
安田そこらじゅうで道路や橋がボロボロになっていくんでしょうね。
はい。間違いなく。
生田
安田「国が直しますよ」というのは現実的にもう無理じゃないですか。
無理ですね。財源もないし人もいないし。
生田
安田地方のインフラ整備はどうなっていくんですか。
伊勢に本社がある生田さんは他人事じゃないと思うんですけど。
会社までたどり着けなくなるかもしれないです(笑)
近鉄も古い電車が走ってますし。インフラは壊れる前に手を打つことが大事。
生田
安田事前にわかっているみたいですね。
もうあそこは危ないとか、壊れそうだとか。
能登の地震みたいに突発的に壊れちゃうこともあるんですけど。
劣化していくインフラに関しては大体予想がつくと思います。
生田
安田分かっていてもどうしようもないんでしょうね。
日本の下水道の長さって地球何周分もあるみたいで。
劣化しているかどうかの調査すら出来ないと言われています。
生田
安田たとえば50年以上経っている橋があるとして。
その向こうに住んでいる人たちはどうしたらいいんでしょう。
何人くらい住んでいるかですよね。
生田
安田もし15人しかいなかったら。15人のために掛け換えはできない。
それが現実なんですよ。だから計画的な移行っていうのが必要だと思います。
日本人はそういうのが苦手な感じがしますけど。
生田
安田能登に住んでいた人たちも引っ越しを考えているみたいですね。
いまだに復旧してないって言いますから。引っ越しせざるを得ないですよ。
生田
安田あえて復旧していないのか。現実的にできないのか。
どうなんでしょう。でもこれは日本中で起こることの前触れですよ。
生田
安田時限爆弾みたいなものですよね。必ずいつか壊れちゃうわけで。
都市部に人が集まって暮らすことはもう避けられないですか。
避けれないですね。マジョリティはもう都会に集まってきていますし。
生田
安田東京は人口が増え続けていますもんね。
じつは伊勢も維持はしています。
生田
安田え!そうなんですか。意外ですね。
なぜ維持されているかというと、周りの鳥羽や志摩からの引っ越し組がいるから。
生田
安田なるほど。鳥羽や志摩より都会である伊勢に移ってきていると。
都会というよりも仕事と学校が多いんですよ。あと交通が便利だし。
生田
安田つまり生活インフラですね。
はい。インフラがあるところに自然と集約していくんでしょうね。
問題は「移動したくない」って人をどこまで守っていくか。
生田
安田自己責任になっちゃいますよ。
なっちゃいますね。
生田
安田とは言え陥没したところに落ちちゃったら、助けに行かないわけにはいかないし。
そうなんですよ。
生田
安田逆にそういうことが起きない限り国は見て見ぬふりってことですか。
現実的にそうせざるを得ないでしょうね。
生田
安田志摩半島もいずれ電気や水道が無くなるんでしょうか。
自然だけがある場所になって。
そうなる可能性が高いですよね。「あなたの生活が守られていたのは人口が増加していたからです」って、ここをちゃんと理解してもらわないと。
生田
安田国はそういう計算もしているでしょうね。大々的に発表しないだけで。
あえて発表しなくてもどんどん住めなくなっていくので。
そんな社会において「どこで生きるかはあなた次第」ってことですよ。
生田
安田ある程度の人口が集まってくれないと生活インフラは維持できない。
これはもう決まりだと。
決まりですね。
生田
安田どうせならはっきり言って欲しいです。ここはもう修理しませんとか。
道路がなくなるかもしれないところにローンで家を建てちゃったりしたら悲惨ですよ。
それ言うと選挙で負けちゃうから。
言えないんですよ。議員って地方の代表なので。
生田
安田その仕組み自体を変えないともう無理ですね。