『20万円の修行体験』が示す、伝統寺院のブランディング革命
高野山って行ったことありますか?
高野山はないですね。奈良と和歌山の県境ですよね。空海で有名な。
そうです。弘法大師(空海)が開いた真言宗の大本山。
なんとそこに1泊20万円のすごい宿泊施設ができたそうで。
高野山に?それはすごい。
高野山って修行僧のたまり場みたいな場所だったんですけど。
ですよね。
そこに宿坊というものがあって、宿泊体験したい外国人が年間2万人も来るんですって。
いわゆるインバウンド向きに高級な宿泊施設ができたってことですね。
そうです。
ただ作ったのが恵光院さんという歴史ある由緒正しいお寺でして。
お寺の中に作ったんですか?
そうなんですよ。
コロナで人が減ったのもあり「単価を上げて、利益率の高い施設をつくろう」と。
お寺がこんなこと考えるんですね。
お寺も商売ですから。食べていかなきゃいけないし。
住職の奥さんが「どうせなら高野山で1番の部屋作ろう」と提案して。
なんと2人で1泊20万〜25万のお部屋をつくった。
いいですね。どんどん儲けるべきですよ。
部屋の名前が「月輪」と書いて「がちりん」と読むそうです。
名前もいいですね。インバウンド受けしそう。
お金を払いたくなるポイントがたくさんありますよ。
宿泊すると修行や瞑想ができるそうです。
どれくらいの広さなんですか?
なんと100平米ですよ。しかもゴージャスなお庭が付いてる。
部屋にお風呂まで付いてる。
ベッドルームもすごい広くて「これが修行なのか?」っていう。
いやあ、人気あるでしょ?
もう予約で常に一杯だそうです。
今見たら、最新式の床暖房まで付いてますね。
お風呂も半露天風呂で。
高野山は寒いので。
それにしても床暖房までつけて修行になるんですかね。
いいじゃないですか。富裕層の修行って感じで。
泊まる人の8割以上が外国人だそうです。
日本人は宿泊にこんな大金払わないですよね。
海外の富裕層は逆に「1泊10万以下のところには泊まりたくない」って言ってる。
だけど日本の地方には少ないんですよ。
1泊10万円は日本人には高すぎます。
インバウンド向けでしょうね。
20万、25万なんて彼らには全く問題ないと思います。
インバウンドの人は修行目的で泊まるんでしょうか?
まあ修行というより「修行体験」でしょうね。
修行ではないと。
本気の修行ではない。修行に床暖房はいらない。
だけど睡眠はきちっと取りたい。
お庭の景色も楽しみたいし、露天風呂にも入りたい。
その体験だけで20万も払いますか?わざわざ高野山まで行って。
払いますよ。外国人の方からしたら、わざわざ日本に飛行機でやってきて、高野山まで時間をかけてやってきて、宿泊料金2〜3万円なんて求めてないです。
「宿泊費は抑えよう」って日本人なら考えますけど。
おそらく全体の予算が桁違いなんですよ。
20万なんて1%にも満たないんじゃないですか。
そんなに?海外の富裕層は桁違いですね。
やはり個別最適化の時代ですから。修行も十人十色ということですよ。
それにしても1200年の歴史あるお寺がやりますかね。
星野リゾートが買い取って「20万の部屋を作った」という話なら理解できるんですが。
きっとブーイングもあると思うんですよ。
だけど1200年の歴史を持つ寺の住職さんが決意して自分たちで作ってる。
そこに価値があるんでしょう。プロデュースby本物ですから。
確かに。こういう発想って中小企業の経営者にこそ必要なのかもしれませんね。
「うちはこういう業界だから」とか「うちの地域では」とか言い訳しますけど。
そうなんですよ。どう考えても世の中のニーズは変化していくわけで。
地域や業界の常識に縛られてる場合じゃないですよ。
この部屋に泊まりに行って修行をしたほうがいいかもしれませんね。
常識を入れ替える修行と思えば安いもんですよ。