> 対談一覧 > 第106回『ラーメン店がファストパス?』
ラーメン店の生存戦略は「1万円のコース料理」
安田ラーメンって1,000円の壁を超えるか超えないかに「生き残りがかかっている」と言われてまして。
原価上がってますもんね。
生田
安田そうなんですよ。材料費は高いし、人件費は高いし、燃料費も高いし。
値上げできない店がどんどん潰れていまして。
高い店も増えてきた印象ですけど。
生田
安田なんと人気店は2,000円を超え始めたそうです。
ですよね。
生田
安田しかも人気店の中に「ファストパス」なるものを導入するお店が出てきまして。
ファストバスってあれですよね。お急ぎ便みたいな。
生田
安田ディズニーランドの横入りチケットみたいな。
はいはい。お金持ちは並ばなくて結構です、みたいな。時間をお金で買う感じの。
生田
安田そのファストパスが500円で売られてたりするんです。
つまり予約制ってことですか?
生田
安田でしょうね。今いるお客さんを退かすわけにもいかないし。
人数分の席が確保されてる感じでしょう。
それが500円だと。いいじゃないですか。
生田
安田ラーメンを入れると2,000円〜2,500円するわけです。
時間かかってもいいから「安く食べたい」って人は並ぶだろうし。いいんじゃないですか。
生田
安田でもこれ人気のない店がやったら大顰蹙でしょうね。
並んでること前提じゃないと。ファストパスの意味がないですよ(笑)
生田
安田確かにそうですね。
花火もいちばん綺麗に見える場所を指定席で売る時代なので。
生田
安田花火を見るだけで数万円するそうです。これがまたあっという間に完売しちゃうそうで。
でしょうね。「お金で買えるならそっちがいい」って人はたくさんいますから。
生田
安田「もうラーメンは金持ちの食べ物じゃないか」みたいな意見もありまして。
インバウンドも多いじゃないですか。旅行だと使える時間も決まっちゃうし。
2,000円だろうが2,500円だろうが彼らにしたら安いもんでしょう。
生田
安田それで1時間〜2時間も短縮できるんだったら、安いと。
ぜんぜん安いでしょう。日本人はちょっとこの手のサービスに関して感覚が麻痺してるんですよ。
生田
安田海外ではラーメン2,000〜3,000円なんて普通ですもんね。
でも庶民の味方と言われていたラーメンがですよ。
ディズニーランドも夢の国と言われてのに、お金持ち優遇みたいになって。
僕はもうファストパスならぬスーパーファストパスとか、貸し切りシステムとか、やって欲しいですよ。
生田
安田ラーメン屋を貸し切るんですか?
友達たちと2〜3時間貸し切ってゆっくり食べる。その間に大将の仕込みの話も聞けて。
スープのこだわりとか。あとは麺やスープの食べ比べがあったり。
生田
安田もはやコース料理ですね。
それぐらい日本のラーメンって価値があると思うんですよ。
生田
安田確かにそうですね。
めちゃくちゃこだわって作ってますから。コース料理にできるかも。
ロサンゼルスやニューヨークなら1万円とか1万5,000円の世界になるわけですから。
生田
安田ラーメンだから「早く食べて早く帰らなくちゃいけない」ってわけじゃないですもんね。
ゆっくり味わいたい人もいるわけで。
そうですよ。わざわざ海外から日本に来て、今やラーメンもミシュランを取ってる店があるわけですから。
そういう高級志向のお店も出てきて然るべき。むしろ遅すぎる。
生田
安田味噌、醤油、塩とか、ちょっとずつ味変して提供するとか。
いいですね。
生田
安田そうなると2,500円でも安い気がします。
安いですね。業界全体的に「回転数で稼ぐ」という思考が強すぎるんですよ。
寿司屋だって回転寿司もあれば1日2組限定の店もあるじゃないですか。
生田
安田確かに。ネタもひとつずつ丁寧に説明してくれたり。お客さんに合わせて食材を選んでくれたり。
そういうお店に行けない人がネットで叩いたりするんでしょうね。
そこに合わせる必要はないですね。
寿司だって昔は庶民の食べ物だったんですから。時代とともに変わるんですよ。
生田
安田庶民的なラーメンが食べたければ日高屋さんとかに行けばいいわけで。
高級店を叩く理由がないですよね。
そもそも小さな店は高く売っていかないと。生き残れないですよ。
ラーメン1杯5000円とか。コースで1万円とか。発想を変えていかないと。
生田
安田何日もかけてスープを取ったり、焼き豚を作ったりするわけですからね。
でも値上げすることにはかなり抵抗があるみたいですよ。
2割、3割高くしようという発想が良くないんです。2倍、3倍でいかないと。
生田