> 対談一覧 > 第24話『アップルと国家の関係』
あなたもアップルファンですか?
安田日本政府がアップルに「アプリストアを開放しろ」と言ってます。
そうみたいですね。
生田
安田「もっと安く日本企業に開放しろ」ということだと思うんですけど。
まあ、しないでしょうね。
生田
安田しませんか。日本政府にそんな力はない?
GAFAクラスになるともう圧倒的に力がありますから。国家というレベルを超えてますよ。
生田
安田国がコントロールして言うことを聞かす、みたいなのはもう無理だと。
無理じゃないですか。国家の力自体が落ちてきていますし。
生田
安田それはどういうところで感じますか?
国家は社会システムを保障することが役割だと思うんです。
通貨とかセーフティネットとか。
生田
安田そういうイメージです。
そのうち、まず通貨に関しては、もう国を介さなくなってきてます。
今ちょっと下火ですけどブロックチェーンとか。
生田
安田いずれ通貨は国が保証するものではなくなると。
そうなっていくでしょう。社会システムもそうなっていくと思います。
生田
安田インフラは必要だと思いますけど。
今みんな家から出ないじゃないですか。
生田
安田出なくなりましたね。仕事も買い物も家でできてしまうから。
遊びや娯楽も家で完結するし。運動もできるし。病院にも行かない。
となったら「国よりもアップルでしょ」という人が増える。
生田
安田病院にはいくでしょう(笑)
よほど重症でなければネットで調べませんか。
生田
安田調べますね。そのためのアプリをアップルが提供するってことですか。
アップルはべつにアプリの会社じゃないんですよ。
Apple Watchを介してウェルネスを提供しているわけです。
生田
安田ウェルネス?「よりよい暮らし」ってことですか。
そうですね。よりよい暮らし。
健康とか、病気に対する対策とかを提供する会社になっているわけです。
生田
安田確かに気遣ってくれてる感じがします。「運動が足りてない」とかメッセージが来たり。
そうそう。だって体の状態とか、運動量とか、必要な運動とか、ぜんぶ親切に教えてくれるわけですよ。
Apple Watchを付けているだけで。
生田
安田国より親切ですよね。病院も流れ作業みたいなところが多いし。
セキュリティとか健康とか日々の暮らしとか、国が保障して提供するものではなくなっていくと思います。
生田
安田国がやるべきことがどんどん減っていくと。
オンラインでの生活が主体になればなるほど、そうなっていきます。
生田
安田そうなると国と会社の力関係が逆転するんでしょうか。
逆転するかどうかはわかりませんが、日本の法律で会社を縛るのは難しくなりますよね。
日本は中国みたいに「Googleやアップルは禁止」とか言えないじゃないですか。
生田
安田そんな事をしたらユーザーが暴動を起こしますよ「ふざけんな!」って(笑)
Googleやアップル無しではもう生活できないじゃないですか。
生田
安田出来ないですね。ちなみに生田さんもアップルファンですか。
好きか嫌いかでいえばどっちでもないです。
昔は「iPhoneいいね」と思ってましたけど、いまは「ライトニングケーブルめんどくせーな」って思います(笑)
生田
安田面倒くさいですか(笑)
だってパソコンもいろんな電子機器も、どんどんType-Cになっていっている中で、iPhoneだけが違いますから。
生田
安田カッコ良さにこだわってるんでしょうか。
そこは頑なですよね、アップルは。
生田
安田ジョブズが生きていたら違ったんですかね。
ジョブズは絶対にType-Cとかにしないと思います。
生田
安田独自の世界観にこだわってましたもんね。
好きな人はいいんでしょうけど私はちょっと面倒くさい(笑)
生田
安田ちなみにコムデックではアプリ制作はやらないんですか?
やらないです。集中と選択でさよならしました。
生田
安田今はアプリを作っても儲からないんですか。
それって下請け仕事じゃないですか。
アプリを作る仕事の需要は半永久的にあるけど、自分の土俵で商売ができるわけじゃない。
生田
安田自分の土俵で商売するにはどうしたらいいんですか。
課題解決の親元になることが重要ですね。
それにはWebサービスが必要で、Webサービスはスマホでサクサク動かないから「アプリ化しましょう」という話。
生田
安田じゃあ最終的にはアプリが必要になると。
いや、最近はスマホでもWebサービスがサクサク動き始めているので。必ずしもアプリである必要はないかなと。
生田
安田そうなんですか。
昔はアプリじゃないとスマホに通知ができなかったんですよ。
生田
安田「記事が更新されました」みたいな通知ですか。
そうです。ユーザーに便利な体験をしてもらうには、アプリじゃないとダメだった。
けど今はアプリっぽいWebサービスでいろんなことが出来るようになってきてる。
生田
安田アプリを使わないメリットって何ですか?
「コスパがぜんぜんいい」っていうのがBtoB系ですね。
生田
安田BtoCは?
リテラシーの低いカスタマーを取り込んで、可処分時間を増やしてもうには、やっぱりアプリじゃなきゃダメです。
生田
安田なるほど。
たとえばNetflixが2個あったとして、アプリで提供されているNetflixと、Webサービスで見られるNetflixだったら、アプリのほうが操作性は絶対いいので。
生田
安田そうなんですね。
はい。だから需要はなくならないですけど、それで飯を食っていくのは大変だと思います。
昔よりも需要は減ったし、下請け的な仕事なので価格競争も厳しい。
生田
安田ちなみに「感性の法則」のアプリ化って考えてますか?
それはないですね。BtoBとBtoCは違うので。
生田
安田BtoBはアプリ化する意味がないってことですか。
BtoBは情報をパソコンで取りにいく可能性が高いので。僕らの記事に関しては95%ぐらいパソコンですね。
生田
安田アプリ化することで取り込めていないユーザーが増えませんか。
それはあると思いますが、だったらツイッターやFacebookでやったほうがいい。
拡散力はやっぱりSNSのほうがありますよ。
生田
安田「アプリストアを開放しなさい」なんて日本政府が躍起になる必要はないんですかね。
義務化したところで、アップルは「はい、わかりました」って言わないし。
そんな素直な会社じゃないですよ(笑)
生田