 >  対談一覧  >  第17話『テスラは何を売っているのか』
  >  対談一覧  >  第17話『テスラは何を売っているのか』
新しい体験
 安田
安田イーロン・マスクはトヨタを超えると思いますか?
イーロン・マスクは「トヨタを超えよう」なんて考えてないと思います。
 生田
生田 安田
安田考えてないですか?電気自動車で「世界一のトヨタを超えるぞ!」って。
そもそも電気自動車をつくる目的というか、スタート地点が違うと思います。
 生田
生田 安田
安田どう違うんですか。
彼らのスタート地点はバッテリーマネジメントシステムです。
「世の中を電気でうまくマネジメントする」というのが彼らのコア・コンポーネント。
 生田
生田 安田
安田トヨタなんて眼中にないと。
眼中にないというより、目指しているものが違うって感じ。
 生田
生田 安田
安田ちょっと悲しいですね。
そうですか。
 生田
生田 安田
安田だって車は日本のお家芸だったじゃないですか。
まあそうですね。
 生田
生田 安田
安田国内から「トヨタを超える電気自動車をつくるぞ!」って会社が出てきて欲しいです。
出ないでしょうね。
 生田
生田 安田
安田なぜそう思うんですか?
日本人はそういう気質ではないので。
 生田
生田 安田
安田だけど現にトヨタは世界一の自動車メーカーになったじゃないですか。
トヨタも狙ってこうなったわけではないと思います。
 生田
生田 安田
安田世界一までは狙ってなかったということですか。
日本は戦後「飛行機をつくってはいけない」ということで、熱化学エネルギーのエンジニアがみんな車に集中投下されたわけです。
 生田
生田 安田
安田ほう。
エンジンをつくることに適した職人気質もあっただろうし。いろいろな偶然と状況が功を奏して、世界一になったんだと思います。
 生田
生田 安田
安田狙っていたわけではないと。
うまく得意な領域に集中できたことと、GHQの施策でそこに行かざるを得なかったこと。偶然が重なったんだと僕は思ってます。
 生田
生田 安田
安田意図的に新たなマーケットを生み出すのは、日本人には難しいですか。
日本人は抽象度の高いところで戦うのが苦手だから。
 生田
生田 安田
安田抽象度の高いところ?
日本の大企業って、コンセプトで勝負している感じはしないですよね。
 生田
生田 安田
安田確かに。
電気自動車ってまさに新時代のコンセプトですから。
 生田
生田 安田
安田技術の粋を集めたものではない?
パソコンと似てますよ。箱があって、ポンポンと部品を詰め込んだら動くっていう。
 生田
生田 安田
安田電池とモーターとタイヤを繋ぐだけですもんね。
もちろん技術も必要だと思いますけど。基本的にはコンセプト勝負だと思います。
 生田
生田 安田
安田コンセプト勝負だとイーロン・マスクがトヨタに圧勝しそうです。
対トヨタというよりも「新しいライフスタイルの提案」でしょうね。
 生田
生田 安田
安田スティーブ・ジョブズみたいな。
そうですね。「ポケットにコンピュータを」ぐらいな感じでしょう。
 生田
生田 安田
安田ガソリンより環境にいいとか、静かだとか。コンセプトは日本車にもありますけど。
それだけでは売れないでしょうね。充電場所もそんなにないし、電池もそんなに長持ちしないし。
しかもガソリン車より高い金額で売るわけですから。
 生田
生田 安田
安田もっと魅力的なコンセプトがないと売れないと。
「これこれこういう理由だから、ガソリン車よりいいよ」っていう売り方では、絶対売れないです。
 生田
生田 安田
安田なるほど。
じつは私も車をテスラの「Model 3」に替えました。
 生田
生田 安田
安田そうなんですね!替えてみてどうですか?
最高です。
 生田
生田 安田
安田日本車と何が違うんですか。
iPadみたいなので操作するんです。
フィジカルにあるのは、アクセルとブレーキだけ。しかもワンペダル走行なのでブレーキはほぼ踏まない。
 生田
生田 安田
安田ブレーキを踏まないってどういうことですか。
アクセルを緩めたら勝手に減速するんです。
 生田
生田 安田
安田へぇ~
本当にシフトとウインカーとハンドルぐらいしか触らないです。あとはぜんぶタッチパネル。静かですし。
 生田
生田 安田
安田タッチパネルに何を入力するんですか?行き先とか。
それもありますけど、たとえばステーション情報とか。充電するためのスーパーチャージャーというのがあって。
 生田
生田 安田
安田スーパーチャージャー?
テスラ製の凄い充電器ですね。
それがステーションに10台あったとして、「いま何台空いている」とか「待ち時間が何分」とかが分かるんです。
 生田
生田 安田
安田なるほど。ちなみに充電は何分ぐらいかかるんですか。
フル充電は40~50分ぐらいかかります。
 生田
生田 安田
安田結構かかりますね。
はい。だから会社で充電してます。
 生田
生田 安田
安田テスラってすごく高いイメージですけど。充電器も必要なんですね。
みんな自宅につけてますね。でもそんなに高くないですよ。テスラ自体の値段も下がってきてるし。外車と考えれば安いです。
まあ「プリウス」よりは高いですけど。
 生田
生田 安田
安田生田さんは、なぜテスラを買おうと思ったんですか。
単純に新しい体験がしたかったから。
 生田
生田 安田
安田新しい体験は出来ましたか?
はい。テスラがスマホだったらガソリン車はガラケーですね。
 生田
生田 安田
安田なんと。ハイブリッドを最初につくったのはトヨタなのに。
ハイブリッドもエンジンじゃないですか。テスラはエンジンついてないですから。
 生田
生田 安田
安田エンジンもないのになぜこんなに高いんですか。ブランド代ですかね。
システム部分がすごく高いとか?
さあ。なぜでしょうね。ただ一回乗ると、もうガソリン車に乗ろうと思わないです。
 生田
生田 安田
安田へえ〜。トヨタも社長が代わって若返りましたけど。
トヨタから完全なバッテリー車が出てきたら、それは購入対象になるんでしょうか?
どうでしょう。たぶん乗らないでしょうね。日産の「リーフ」は乗せてもらったことがあるんですけど。
 生田
生田 安田
安田時代を超えた新しさは感じませんでしたか。
やっぱり何かが違いますよ。
 生田
生田